AppleがiPhoneやiOSのリークをしていた人物をおとり捜査で特定

GIGAZINE
2023年05月12日 11時15分
メモ



2022年秋頃から活動を始め、「iPhone 14 Pro」の上部に表示される黒いアクティビティ表示スペース「Dynamic Island」に関する詳細な情報をリークしたことなどで知られた人物がAppleのおとり捜査により特定されました。Appleは複数の内部関係者に「偽の日付」を伝えて泳がせていたようです。

Leaker claims Apple used ‘multi-step sting’ operation to identify and fire their source ahead of WWDC – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2023/05/10/apple-leaker-sting-operation-source-fired/

今回特定されたのは、Analyst941のユーザー名で活動していたリーカー。Analyst941は2022年にiPhone 14 ProのDynamic Islandに関する情報をテクノロジー系メディアのMacRumorsに共有したことで初めて認知されました。Analyst941がもたらした情報はそれまで公になっておらず、このとき明らかにされた「パンチホールとノッチの間の空白をソフトウェアで埋める」というDynamic Islandのコンセプトは誰も予想していなかったため、この情報は大きく注目を集めました。結果的に、リークされた情報はおおむね事実であったことが分かっています。


Analyst941はその後もiOS 17やWatchOS 10に関する情報を提供。2023年5月には、AppleのmacOS向けソフトウェア「Final Cut Pro」のiPad版が2024年に、「Logic Pro」のiPad版が2025年にリリースされる予定との情報をリークしました。

しかし、このリークからわずか数日後、Appleはプレスリリースを通じてiPad版のFinal Cut ProとLogic Proを正式に発表しました。このソフトウェアのリリース日はAnalyst941が話していた時期よりも早い2023年5月23日だと告知されたため、Analyst941の信頼性に疑念が生じました。

そして今回、Analyst941が知った「2024年および2025年」という情報は、Appleのおとり捜査によって流された偽の情報であったことが分かりました。


Analyst941本人がMacRumorsのフォーラムに寄せたメッセージによると、「多段階のおとり捜査」によって、Appleに勤めていたAnalyst941の妹(または姉)が解雇されてしまったとのこと。どうやら、Analyst941は家族から情報を得ていたようです。

リークがばれてしまったのは、Final Cut ProまたはLogic Proの開発について知っている複数の人に対し、Appleがリリース日をバラバラに伝えていたためだったそうです。Analyst941が流した日付が妹に対して伝えられた日付と一致した上に、その他の要因も合わせて決め手となり、情報流出源が特定されてしまったとAnalyst941は話しています。

Analyst941は「妹はAppleを解雇され、残念ながら、次は私たち2人に対して別々に法的措置が取られることになります。自分がこんなことをしたなんて信じられない。妹とApple全体に申し訳ないと思います。これ以上何を言っていいのかわかりません。妹が壊れているのは知っています。妹も今の私を憎んでいます。私は十分楽しみました。情報源を入手する人なら誰でも、詳細は最小限に留めてください。コストがかかるかもしれません。さようなら。私に会うために時間を割いてくれてありがとう。私から学んで、あなたやあなたの愛する人に同じことが起きないようにしてください」と述べました。


テクノロジー系メディアの9to5macは、Analyst941が話した内容以上に、特定につながる要素がいくつかあったと分析しています。まず、Analyst941が自ら「情報源はAppleのソフトウェアチームで働く兄弟で、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のCraig Federighi氏と直接仕事をしている」と述べていた点が大きく影響していると考えられるとのこと。

また、Analyst941は明らかにソフトウェア開発につながる情報を多くリークしており、ハードウェアに関する詳細なリークはほとんどなかったことも考慮すべきポイントとのことです。このことから、情報を知り得た人物はソフトウェアに明るい人物の可能性が高いと考えられます。9to5macは「ソフトウェアのリークはAppleにとって追跡・監視しやすいものです。Analyst941のこの話が本当なら、まさにAppleの巧みな能力を示す最新の例と言えるでしょう」との見解を示しました。

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