寝ている人とコミュニケーションを取るための「言語」が開発されている

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人間は睡眠時に脳が活性化する「レム睡眠」と脳が休息する「ノンレム睡眠」を繰り返しています。脳が活発に動き、このときに夢を見るともいわれるレム睡眠に着目し、眠っている人が起きている人と交信するための「言語」を開発する取り組みが研究機関により進められています。

Unmuting lucid dreams: Speech decoding and vocalization in real time.
https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/cns0000353


“Sleep language” could enable communication during lucid dreams | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2023/05/sleep-language-could-enable-communication-during-lucid-dreams/


明晰夢、睡眠麻痺(金縛り)、幽体離脱などの研究を専門とするPhase Research Centerは、眠っている人が意図的に動かした筋肉の動きを読み取り、眠っている人の意思を読み取るという研究を行っています。

人間の中には、夢を見ている最中に夢であることを自覚できる人がいます。この「明晰夢」と呼ばれる夢を見る人の一部は、夢の内容を自分の思い通りに変えることが可能であることから、Phase Research Centerは、明晰夢を見ている人に特定の筋肉を動かしてもらおうと考えました。


Phase Research Centerのマイケル・ラドゥーガCEOは、特定の単語を表情筋に対応させ、顔の筋肉を動かすことで自分の意思を伝えるという仕組みを考案。これを実験の参加者にも共有し、習得させた結果、起きている間は意思疎通ができるようになりました。筋肉の動きを言語の代わりとするこの仕組みは「Remmyo」と名付けられています。

次に、参加者は筋電図センサーを取りつけて入眠し、明晰夢を見ている間に表情筋を動かすよう求められました。ラドゥーガ氏は「明晰夢を見ている人は、情報を3文字以下の単語で転送することができます」と主張。実験の結果が期待されました。


しかし、その結果は不確かなものでした。予定されていたフレーズを言語に翻訳したところ、その精度は13~81%だったことが判明。ラドゥーガ氏は「主な問題は、人々が顔の筋肉を1つだけ使うのは難しいということです。人は意図せず複数の筋肉を緊張させてしまい、筋電図センサーがすべて検出してしまうのです」と述べました。なお、寝ている人が発した言葉は「no war」や「freedom」であり、後者に至っては合計11回にわたって発せられたとのこと。

この結果は学術誌の「Psychology of Consciousness」に掲載されています。ラドゥーガ氏は「今は手書きのアルゴリズムだけで翻訳していますが、今後は機械学習やAIを使って精度を向上させます。将来的に翻訳方法をレベルアップすることで、結果がより安定することを期待しています」と話しています。

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