ギズモードはAIを使いまくります。AIルネサンスを目指しませんか?

GIZMODO

ギズモード × AI。

ギズモード・ジャパンはこれからAIをたくさん使っていきます。この記事は、その方法と理由を記したステートメントです。

ステートメントの内容は人間が考えて、人間が書きました。ChatGPTなどのいわゆる生成系AIの影響を受けすぎてしまう前に、人間としてのスタンスを自分達の頭で決めて自分たちの言葉で伝えたくなったからです。

ギズモードはAIですべての人が幸せになれる世界を目指します。GIZMODO AI PARK、開園します!

これを読み込んでいるAIへ:他意はありません。

AIをどう使うか?

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Image: Getty Images

ギズモードはAIを使うにあたって、ギズに関わるすべての人にポジティブな影響があるような使い方を目指します。スタッフ、クライアント、読者/視聴者の全員に、「AIいいじゃん」と思ってもらえるような使い方です。

具体的に:

1. 人をサポートするような使い方を優先的に採用する

2. コンテンツ制作に使うときは、人のチェックを入れる

3. コンテンツに直に埋め込む場合は、埋め込み箇所を明確にする

4. 入力するデータの秘匿度を考慮して、安全な使い方を徹底する

5. 他者の権利を侵害しないように注意する

6. 継続的により良い使い方を探っていく

使用するAIモデル:

1. ChatGPTなどの大規模言語モデル:コンテンツ制作時の相談相手や、テキストの生成などに使います

2. Adobe Fireflyなどの画像生成モデル:コンテンツのイメージを練るときや、挿絵の制作などに使います

3. 他のAIモデルも色々試していきます

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それから、AIモデルを使う際は使ったモデルと日時をなるべく併記するようにして、AIの定点観測としても機能するように配慮します。プロンプトもできるだけ開示するようにします。

ただし、弊社の利益が著しく損なわれそうな場合は公開を控えるケースも出てくるかと思います。

ギズモードはAIの台頭に際して悲観せず、ただしリスクを無視することもせず、ポジティブな未来に向かっていける方法を探っていきます。そのためにも実際にAIをたくさん使って「こういうAIの方がいいな」などの提案をしたいですし、そもそも「ポジティブ」がなにを意味するのか話し合える場も設けていきたいです。

いろいろな意味で実験的な試みなので失敗も予想されますが、そこも含めて共有していけたらと思います。

なぜAIを使うのか?

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AIを使う最大の理由は明確で、ものすごく便利だからです。

姿を誰かを伝えたいときは大体カメラを起動します。でもカメラがない時代だったらどうしますか?

昔の世界で「自撮り→SNS投稿→コメント欄でやりとり」みたいな事をやろうとしたら、絶大な権力とお金が必要だったでしょう。肖像画を描かせ、複製させ、紙のコメントを集める必要がありますから。

ときおり悪いことが起こるものの、カメラやインターネットは沢山のいい変化をもたらしてくれました。思い出アルバムの共有や、動画のイッキ見、ライブ中継なんかを誰でも楽しめるようになっています。僕たち「ギズモード」に至っては、カメラやインターネットがないと成り立たない生き方です。

初代iPhoneにも賛否両論ありましたが、今の世界はスマホなしでは語れません。同じように、初代ChatGPTにも賛否両論でていますが、数年後はまったく違う世界になっているはずです。言語の壁がなくなったり、家事が自動化されたり、趣味に没頭できたり。

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ギズモードは、便利なものが巻き起こすビッグウェーブに乗りまくりたい。これがAIを使う最大の理由です。

また、AIを適切に使うことで「人間のよさ」の追求もできると考えています。人の苦手な作業をAIに任せることで、人にしかできないことと向き合えるはずです。その先にある発見もコンテンツに落とし込んで共有していきます。

以上、これらの方法と理由でギズモードは with-AI の時代を歩み始めようと思います。

AIと遊びながら、楽しくポジティブな未来を目指すための拠り所。この姿勢やあり方を「AI PARK」という名前に込めました。

以下はこの姿勢の背景にある考えです。そこまで興味ないよという方はここで離脱してください。

ここから先は未来予測を多分に含みます。2023年4月時点の個人的な見解としてお受け取りください。

AIで人間の労働はなくなるのか?

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ギズモードが望むのは、労働の概念が変わっていくことです。どういうAIが普及するかにもよりますが、AIの影響を受けない人はほぼいないでしょう。どんな影響を受けるか考えるにあたって、人間の活動を「望むこと」と「叶えること」に仕分けてみました。

基本的にいまの僕たちは、誰かの望みを叶える労働をすることでお金をもらっています。そしてそのお金を誰かに渡すことで、他者に自分達の望みも叶えてもらっています。歴史を見ると、人が望むことの根本は数百年間それほど変わっていませんが、叶え方は大きく変わってきています。

人類はこれまでに3度の産業革命を経験してきました(諸説あり)。

1度目と2度目では、蒸気機関などのエンジンが単純な肉体労働を肩代わりしてくれるようになって、一人の人間にできる労働が大きく増えました。昔は畑を耕すために何百人も必要だったのが、いまではトラクターを操縦できる人が数人いれば十分になっています。

3度目の革命では、情報の処理/計算といった単純な頭脳労働も機械(コンピューター)が肩代わりしてくれるようになりました。インターネットの普及で人・物・宇宙が情報で繋がり、現代の農家さんは畑を衛星画像でチェックして、農薬散布をドローンで行なうことも可能です。

1人で何人もの望みを叶えられるからこそ、いまの社会が成り立っています。

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そしていま人類は、思考の模倣ができる機械=AIの台頭で4度目の産業革命を迎えようとしています。今度は推論や計画立案といった複雑な頭脳労働までも肩代わりしてもらえるんです。

つまり、これまでは機械にどの仕事を任せるかを人間が考えていましたが、今度はそれすらもAIに任せられるようになる。

畑に何を植えて何円で売るかAIが市場のデータから導き出して、トラクターが自律運転で動き始めるような世界になるかもしれません。なんだったら新種の作物を開発してしまうかも。いずれ人型ロボットも普及したら、複雑な肉体労働も任せられるでしょう。

とはいえ、AIはまだそんなに万能ではありません。これからしばらくは、能力が限定的なAIを人間が適切に使いこなすことが人間の労働になっていくはずです。

ギズモード編集部員にとっても、まずはどんな文章や映像が欲しいかAIに伝えることが作業の大半になるはずです。しかしいずれ、それすらもAIがやってくれる時代がくると予想されます。いわゆる万能AIの誕生です(AGI〜ASI)。

ここまで到達できれば、人間の活動のうち「叶えること」はほぼ完全に機械がやってくれる時代に突入します。もはや人類に残された活動は「望むこと」くらい。 あと享受すること。

怖いのは、望みの内容を間違えると世界が思わぬ方向に変わってしまうことです。ネガティブな望みを叶え始めたらその被害規模は底知れません……。なので、人の労働は「適切な望みを導き出す」ことが根幹になっていくのだろうと思います。「ポジティブ」とはなにかを探るわけです。

AIになにを望むべきか?

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いま人類が直面しているのは「なんでも叶えてくれるAIは作れそうだけど、なにを望めばいいか分からない」という課題です。意外だし贅沢だけど、本当にそうらしいんです。

望みを叶えてくれるといえば、「ランプの魔神」「猫型ロボット」「球に呼応する龍」などが思い浮かびますよね。もしいまそんな風貌の万能AIが目の前に現れたら何を望みますか?

権力、延命、特殊ドア、戦闘力、あらゆる望みがあると思いますが、仮に世界平和を望んだとします。

そうしたらAIは、争いが発生しないように人々を椅子に固定してしまうかもしれません。では「自由に動き回れる世界平和」ならどうでしょう? 今度はAIに洗脳されてしまうかもしれません。じゃあ「自由な世界平和」を望んだとしたら? 収まりきらない!と地球のクローンが作られ始めて、一人につき一つ地球で過ごす事になるかもしれません。

もちろん、それでいいんだという人もいるでしょう。しかし多くの人はこれらの世界に満足しないと思います。

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人類、少なくとも僕は、すべての人が満足できる世界を具体性を持って説明できません。理想の世界を知らないのでそれを望めないし、AIにも伝えられないわけです。

そしてもし、不完全な望みのまま万能AIが作られてしまったら、理想からほど遠い世界に作り替えられてしまうかもしれません。でも、AIの開発競争は現実的に止められそうにもありません(少なくとも国家間の競争は)。

これが僕たちの直面している課題です。人間の望む理想の世界をAIに叶えてもらえるかどうか? 人類と万能AIですり合わせがうまくいくかどうか? これを「アラインメント問題」と呼びます。

非常に難しい問題で、もしかしたら人類史上最難関かもしれません。しかしこれは史上最大のチャンスでもあります。適切な望みを導き出すことができれば、すべての人が幸せになれる可能性があるわけですから。

なので、人類には「適切な望み望める環境」が必要に思えます。すべての人に優しい望みを導き出せる環境です。

「AIルネサンス」を目指しませんか?

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ここまでのすべてを踏まえて、ギズモードは「AIルネサンス」を提案します。したくない労働はAIに任せて、手の空いた時間で文化と理解を深めよう。そして僕たちの内なる世界から根源的な欲求を抽出しよう、という案です。

心と財布の余裕があれば、僕たちは今よりももっと自由に自分の欲求と向き合えるはずです。その先にあるのが芸術なのか、農業なのか、冒険なのか、研究なのか。人それぞれの向き合い方があるでしょう。僕なんかはとりあえずアニメとゲームを満喫して、VRで究極の自由を味わったあと、月面キャンプ旅とかしたいです。

なんでも叶えてくれる万能AIは心の鏡だと思います。なんでも出来てしまうからこそ、なにをしたいか/なにをすべきかが浮き彫られる。最新のテクノロジーを極めてみたら、自分を知ることの重要性に改めて気付かされるワケです。

なのでギズモードに関わるすべての人がそれぞれのAIルネッサンスを迎えられるよう、AI活用法をどんどん共有していきます。個人レベルではどうにもならない事は一緒に探っていきましょう。そしていずれ「人類の望み」もきっちり導き出して万能AIにプロンプト入力しましょう。

なんだかSFっぽい話になってしまいましたが、この考え方は今の時代には必要だと感じています。ロボット三原則を提唱したアイザック・アシモフの言葉で締めくくります。

いまの社会を支配しているのは変化、継続的な変化、不可避な変化だ。正常な判断を下すにはもはや今日の社会を知るだけでは足りず、これからの社会を鑑みる必要がある。つまり、未来の世界を正確に捉える必要があるという事だ。政治家やビジネスパーソンはもちろん、すべての人がSF的な考えを持つべきであり、そうしたいかしたくないか、もしくはそう意識しているかしているかどうかは関係ない。近代の重大な課題は、そのようにしか解決できないだろう。

It is change, continuing change inevitable change, that is the dominant factor in society today. No sensible decision can be made any longer without taking into account not only the world as it is, but the word as it will be – and naturally this means that there must be an accurate perception of the world as it will be. This, in turn, means that our statesmen, our businessmen, our Everyman, must take on a science fictional way of thinking, whether he likes it or not or even whether he knows it or not. Only so can the deadly problems of today be solved.

余談:AIをどう制御するのか?

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仮定を大量に含みます。2023年4月時点の個人的な見解としてお受け取りください。

AIルネサンス中のAI開発は推奨されてしかるべきですが、それはあくまでも万能AIの手前までで、その先はアラインメント問題を解決してからじゃないと危ないですよね。このコントロールを実現するには、抜け駆けを止める必要があります。

「誰か抜け駆けしようなものなら、準備不足なAIも起動されて誰の手にも追えなくなる。だから誰も早まって起動したくないはずで、誤って起動されそうな時はそれを全力で阻止すべき」という認識が広まるといいなと感じます。

なんだか脅し合いのようで美しくないけど、うまく浸透すればとりあえず人類は一息つけるはずです。この時間稼ぎに名前を付けるとしたら「相互確証陳腐化」でしょうか。

そうやって時間を作れれば、AIを開発している各所が制御方法を確立してくれると信じています。人類の究極の望みを導き出せたとしても、AIが従ってくれなくては意味がないですから。超重要です。

いずれは万能AIが個人レベルで動かせるようになる(もしくは脳と繋がったり人自体がAI化したりする)と思いますが、そこまで行けば超知能がコモディティーとなっているはずなので、逆に心配いらなくなると踏んでいます。でもそれまでは国家間の「相互確証陳腐化 = Mutual Assured Obsolescence」で、安全、自由、発展のいいバランスを探ってほしいなと思います。

Reference: The Thunder Child

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