パンデミックとテック界の不況は、思わぬところにまで影響を及ぼしています。今回、Googleの方向転換の1つが「サンノゼを破壊した」と、テックメディア「ars Technica」が報じています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:CNBC ,ars Technica ,SAN JOSE Spotlight
Googleが巨大キャンパス建設計画を「最初の取り壊し段階」でとつぜん停止
Googleは2021年から、カリフォルニア州の都市サンノゼに、ダウンタウンの大部分を占める80エーカー(東京ドーム約7個分)のメガキャンパスの建設計画を進めていました。しかし米メディア「CNBC」の報道によると、Googleはわずか2年の建設期間を経てこの構想を「一時停止」したとのこと。
Google、サンノゼに80エーカーのメガキャンパスを建設へ 景気減速の影響を考慮し保留に
サンノゼ市は今、 その代償を払うことになるかもしれない。何千もの新しい住宅ユニットと15エーカーの公共公園を備えた「ダウンタウン・ウェスト」と呼ばれるメガキャンパスになる予定だった場所は、大部分が取り壊し区域となり、長期的に目障りで経済的ゼロとなる危険性がある。CNBCの取材によると、今年初めに実施されたグーグルの人員削減の一環として、同社はサンノゼ・キャンパスの開発チームを縮小した。
秘密保持契約により名前を伏せた関係者によると、2023年末までに着工するはずだった建設プロジェクトは一時停止され、建設再開の計画は請負業者に伝えられていないという。関係者は、いつかはキャンパスが建設されると楽観視しており、Googleの代表者はそれに対するコミットメントを表明していると述べていますが、プロジェクトが当初のマスタープランで約束した規模に達しないかもしれないと懸念しています。
— 出典:CNBC
80エーカーの「複合施設地区」には、730万平方フィートのオフィススペース、4000戸の住宅、15エーカーの「公園、広場、緑地」、50万平方フィートの「小売、文化、芸術、教育、ホテルなど」専用のスペースが建設されるはずでした。「ダウンタウン・ウェスト」と呼ばれるこのプロジェクトの建設費用は、190億ドル(約2.5兆円)に達すると試算されています。
とはいえ、それほどGoogleの資金に余裕があったのは2年前のことです。CNBCのレポートによると、コスト削減を進め始めたGoogleは、このプロジェクトを現在「保留」としたとのこと。さらにGoogleは「近い将来、このプロジェクトを復活させる計画はない」そうです。
サンノゼにとって最悪だったのは、Googleが「最初の取り壊し段階」を進めた2年後に中止を発表したということです。CNBCは「プロジェクトの解体段階では、サンノゼの歴史的なランドマークがいくつもなくなり、他のランドマークは移転を余儀なくされた」と述べています。
プロジェクトが保留された現在、この地域は「大部分が取り壊し区域で、長期的に目障りで経済的なゼロになる危険性がある」とのことです。
「ars Technica」はこのGoogleの方向転換について、現状でオフィススペースを作るのはGoogleにとって「あまり意味がない」と指摘しています。
サンノゼの街を破壊したグーグルは、キャンパス計画を保留にした。
パンデミックの余波で在宅勤務の流れが加速し、Googleがコスト削減と「シェアデスク」ポリシーに動いたことで、そうしたオフィスの仕事は二度と戻ってこないように思えます。しかし、COVIDは2019年にスタートし、建設が始まった2021年半ばには、グーグルのオフィスは1年以上空き家になっていた。
— 出典:ars Technica
なお、地元メディア「SAN JOSE Spotlight」によれば、取り壊し後もGoogleは「実際にキャンパスを建設する法的義務はない」とのこと。計画再開はのぞみ薄です。
Googleは、サンノゼのコミュニティファンドに数百万ドルの資金を遅らせる可能性がある
サンノゼの経済開発部門のディレクターであるNanci Klein氏は、San José Spotlightに、コミュニティファンドの1億5500万ドルは、Googleがオフィスを完成させるまでは支給されないと確認した。また、同社は実際にキャンパスを建設することを法的に義務付けられているわけではありません。
— 出典:SAN JOSE Spotlight