1. マイナンバーカードがAndroid端末へ
5月11日から、マイナンバーカードの機能をAndroid端末に持たせることができるようになる(既報のとおり、iOSへの実装は今後の課題である)。
これによって、まずは「機種によっては生体認証機能を4桁の暗証番号の代わりに用いることもできる」ようになる。また、5月11日からは「マイナポータルでの子育て支援申請や薬剤・健診、母子手帳のほか予防接種のお知らせの閲覧などに活用できる。このほか、2024年度の確定申告や7月からは引っ越し手続きの申請にも対応する」と発表されている。民間サービスとしては「銀行・証券口座開設や携帯電話、キャッシュレス決済の申込み」などもできるようになる(ケータイWatch)。
なお、「健康保険証としての利用」は「2024年4月ごろの対応予定」ということなので、物理カードとの併用が続くということか。これは病院の受付窓口に配備が進むマイナンバーカード読み取り装置の問題か? よく目にする機器は物理カードしか読み取れないように見えるのだが、そのまま使えるのか?
さらに、5月16日からは「公的個人認証サービスを利用した最新の利用者情報(4情報)提供サービス」が開始される。これは「金融機関などの利用者が引っ越した際、最新の情報が事業者側に伝わり、顧客情報のアップデートを円滑化する」という仕組みである(ケータイWatch)。
いろいろなアップデートが散発的に発表されていて、利便性も高まるようだが、いつのまにか複雑怪奇なものにならないように、さらに情報管理の徹底を願うばかりだ。
2. 生成型AIによるマイクロソフトの戦略
日本経済新聞の記事では、ChatGPTを開発したOpenAIへの出資をはじめ、Bing(ビング)への導入を進めるなど、一気にインターネットサービスの変革のリーダーとなりつつあるマイクロソフトのこれまでの動きをまとめている(日本経済新聞)。グーグルがブラウザーや検索技術などの基本的な部分で産業をリードしてきたが、ここにきて一気にパワーバランスを変えようとしている。具体的には、AIをマイクロソフトのOfficeスイートに組み込むことで、ユーザーの働き方にも変革を起こそうとしている。さらにAIはソフトウェアエンジニアの仕事も変える可能性がある。
もちろん、AIは技術の不完全さゆえにリスクも指摘されるところだが、ツールとしての完成度は今後さらに高まっていくことになるのは間違いないだろう。
また、マイクロソフトのブラッド・スミス氏が、NHKの単独インタビューに応じている(NHK)。そのなかで「『ChatGPT』などのAI=人工知能の開発とそれに関連する日本市場への投資を重視していく姿勢」を示している。また、今月開催される先進7カ国デジタル・技術大臣会合において、AIをめぐるルールなどが議題に上がるとされることから、議長国である日本のリーダーシップへも期待を示した。
3. Twitterに嫌気を起こしたユーザーが注目する「Bulesky」
イーロン・マスク氏がTwitterを買収し、CEOに就任して以来、経営の立て直し策だけでなく、ユーザーにも影響の大きな施策が次々を打ち出されてきた。こうした一連の混乱に嫌気を起こしたユーザーも少なからずいることだろう。そうしたユーザーは別のSNSへの移転なども念頭に置いていて、新たなSNSの登場も話題になっている。
注目されているものの1つが「Bulesky(ブルースカイ)」というSNSだろう。すでにiOS版とAndroid版のアプリのβ版がリリースされている。注目される理由には、Twitterの創業者でもある元CEOのジャック・ドーシー氏の支援を受けていることにより、「由来の正しさ」のイメージもあるからだろう。
Buleskyのポイントは「分散型のソーシャルネットワークで、サーバー同士の連携を可能にするオープンソースプロトコル『Authenticated Transfer(AT)Protocol』を使っている。また、Twitterと非常によく似たインターフェースを採用している」という点だ(CNET Japan)。つまり、サーバーの管理が1社に集中しないオープンな仕組みになっているということだ。ジャック・ドーシー氏はTwitterを中央集権的にしてしまったことを後悔しているとも伝えられている。
言うまでないことではあるが、少数のユーザーがTwitterから移動をしたところで、その先のSNSが同様に栄えるわけではないということだ。
ニュースソース
- Twitterの有力代替候補? 分散型SNS「Bluesky」の基礎知識[CNET Japan]
4. AI国家戦略への第一歩
自由民主党の「デジタル社会推進本部」は高市早苗科学技術政策担当大臣に「人工知能(AI)関連政策の司令塔を定めることなどを盛り込んだ提言」を提出した(ITmedia)。
この提言では、「対話型AI『ChatGPT』が世界に与えている衝撃を踏まえ、AIの進化と社会実装は『新たな経済成長の起爆剤となりうる』と位置づけ」、「政府に対し産業育成や行政での利活用など『AI国家戦略』を策定するよう求めた」という内容になっている。
また、政府はAIの活用について、「関係省庁の『AI戦略チーム』初会合」を開催した(日本経済新聞)。この会合では「霞が関での業務利用に向けた課題を話し合うほか、各省庁が所管する業界での活用についても情報を共有する」という。
農林水産省が公表済みの情報のみを扱う文書の作成でAIを使う方針とされているが、「回答の正確さや機密情報の漏洩といった問題」がある。さらに、AIには「著作権やプライバシーなど法律や権利に関わる問題」も指摘されていて、こうしたことが議論のポイントとなるだろう。
こうした問題点について頭では理解していても、うっかり信用してしまったり、その情報をそのまま使ってしまったりすることもあるだろう。あとから訂正できるうちはいいが、影響が甚大な場合もある。これをどう排除するかは難しそうだ。
5. ブラジルで36の海賊版サイトが閉鎖へ――官民協力の成果
ブラジル政府と民間企業・団体が協力して実施する海賊版サイト対策により、現地において36のサイトが閉鎖されたと一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が発表した(INTERNET Watch)。
今回閉鎖された36サイトの2022年12月~2023年2月における月間平均アクセス数は約8300万だった。2022年2月~4月のブラジルのアニメ海賊版サイト上位20のうち、12サイトが閉鎖されたとしている。さらに、「CODAでは、閉鎖された36ドメインのうち、22のドメインの譲渡を受け」ている。
地道な交渉活動が成果に結び付いている。そのためにはもちろん、現地政府との協力関係も重要だ。
ニュースソース
- ブラジルでアニメ海賊版サイトを一斉摘発する「Operation Animes(アニメ作戦)」、36サイトが閉鎖[INTERNET Watch]