「iPhone経由が速くて便利? 自宅PC~会社PC間のファイルの移動方法を比較してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(140)【急遽テレワーク導入!の顛末記】

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自宅から会社へとファイルを持ち出すには、どの方法が最も速く、手間がないかを試してみた

 先週は自宅から会社にファイルを持ち出すにあたって、USBメモリやポータブルSSDへのコピーにかかる時間を計測してみた。ファイルの持ち出しについては、以前からさまざまなやり方を試してきたが、こうなると各方法のコピー時間の差も気になってくる。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから396日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は自宅と会社間を行き来する際に、最も手間なくスピーディーなファイルの持ち出し方法は何かを調べてみた。

【今回のハイライト】

iPhone経由のファイルコピーでは?

ファイル管理アプリを使ったらどうなる?

オンラインストレージ経由ではどうか?

4月17日(月):iTunes経由でiPhoneへのファイルコピーにかかる時間は?

 先日はUSBメモリなどにファイルをコピーする際の、接続コネクタによる転送速度の違いを計測してみた。ただ、業務の内容によっては機密性が高いものもあるため、USBメモリで持ち運ぶのは、セキュリティ的にマズいデータもある。

 そこで利用したいのが、iPhoneをUSBメモリ代わりに使う方法だ。iPhoneなら顔認証やPINでロックが掛けられるし、PCに接続してもロックを解除しなければ中のファイルは表示できない。万が一に落としても「iPhoneを探す」機能で場所を確認できるし、遠隔でデータを削除することも可能だ。

iTunesの「ファイル共有」から、iPhoneにファイルをコピー

iPhoneとPCをWi-Fiで接続する場合には、「設定」→「概要」の「オプション」欄で、「Wi-Fi経由でこのiPhoneと同期」のチェックをオンにする

 iTunesの「ファイル共有」画面では、インストールしているアプリを利用して、iPhoneにファイルをコピーできる。今回は「Documents by Readdle」というファイル管理アプリを利用。iTunesではLightningケーブルとWi-Fiの両方を利用して、PCからiPhoneにファイルをコピーできるので、それぞれの環境で1GBのファイルの書き込みにかかる時間を計測してみた。

【PC→iPhone】
Lightningケーブル経由 29秒97
Wi-Fi(IEEE 802.11ax)経由 47秒51

※PCからiPhoneにコピーする際にかかった時間を3回計測し、平均値を算出。PC側のファイルはM.2 SSDに保存。以降同様

 Lightningポートと同等と言われているUSB 2.0は、最大転送速度が480Mbps。一方、Wi-Fiは最大転送速度が1148Mbpsとなっているが、LANネットワークが混雑していることもあってか、実測値ではLightningケーブル経由の方が速くファイルをコピーできた。

 ただ、Lightningポートを使う場合は、ケーブルを用意する手間がある。さらに、設定によってはiTunesを起動すると自動でバックアップが始まってしまうので、総合的にはWi-Fi経由の方が手間なくファイルをコピーできる印象だ。

接続しているIoT機器が多いこともあってか、iPhone~ルーター間は上り/下りとも250Mbps程度しか速度が出ていない

4月18日(火):Documentsアプリでファイルのコピーにかかる時間は?

「Documents by Readdle」でLANネットワーク上にあるPCの共有フォルダにアクセス

 昨日は「Documents by Readdle」というアプリを利用したが、このアプリならほかにもいろいろな方法で、PCからiPhoneにファイルをコピーできる。せっかくなので、これらの方法についてもコピーにかかる時間を計測してみた。

【PC→iPhone】
PCの共有フォルダにアクセス 48秒38
DocumentsWi-Fi Transfer 38秒82

 「Documents by Readdle」では、同一ネットワーク上にあるPCの共有フォルダに保存されたファイルを、LAN経由でコピーすることができる。今回はWi-Fi経由でiPhoneをLANに接続したが、iTunesのときとほぼ同じタイムでファイルをコピーできた。この方法ならいちいちiTunesを起動しなくて済むが、ファイルが共有フォルダに保存されている必要があるので一長一短といったところだろうか。

DocumentsWi-Fi Transferでは、iPhoneに表示されたコードを、PCのブラウザーに入力することで、ファイルを転送できる

 一方、「DocumentsWi-Fi Transfer」では、PC側でブラウザーを起動して、公式サイト経由でファイルをiPhoneに送信する。iPhoneで表示されたコードを、PC側で入力する手間があるが、転送速度はWi-Fiを使った方法の中では最も速かった。

TP-Linkの無線LANルーター「AX5400」に外付けHDDを接続し、簡易NASとして利用する

 なお、「Documents by Readdle」では共有フォルダを開くのと同じ感覚で、同一LAN上にあるNASにもアクセスできる。以前にWi-Fiルーターに外付けHDDを繋ぎ、簡易NASを構築したことがあったが、ここに保存したファイルをiPhoneにコピーするのにかかる時間も計測してみた。

【簡易NAS→iPhone】
NASの保存ファイルをコピー 2分20秒69

 簡易NASの転送速度はルーターのCPU性能などに左右されるので、どうしても遅くなりがちだが、結果としてWi-Fi経由でPCと接続した時とは倍以上の時間がかかった。PCが起動していなくてもファイルに接続できるのは便利だが、あまり大容量なファイルをコピーしようとすると、それなりの待ち時間がかかりそうだ。

4月19日(水):オンラインストレージ経由での転送速度は?

普段からよく使っている「firestorage」と「GigaFile便」についても、転送速度をチェックしてみた

 ここ数日はiPhoneでファイルを持ち出す方法について速度比較を行ったが、自宅のファイルを会社に送るには、オンラインストレージを経由するという手もある。そこで、いつも使っている「firestorage」「GigaFile便」について、アップロード/ダウンロード速度を計測してみた。

【PC→オンラインストレージ】
firestorageアップロード 22秒88
GigaFile便アップロード 26秒24
【オンラインストレージ→PC】
firestorageダウンロード 5分37秒71
GigaFile便ダウンロード 59秒24

※平日の日中に、ルーターと有線LAN接続したPCで速度を計測。使用しているインターネット回線は「auひかり ホーム1ギガ」

 ファイルの受け渡しについて、firestorageではトータル6分0秒59、GigaFile便ではトータル1分25秒48かかった。もちろん利用時の回線やサービスの混雑具合にもよると思うが、ダウンロード速度では10倍近い差が出たので、大容量なファイルを受け渡す際にはGigaFile便を使った方がよさそうだ。

 なお、iPhoneで持ち出したファイルを使って会社で仕事をする際は、オフィスのPCにコピーするときもある。それにかかった時間は以下の通りだ。

【iPhone→PC】
Lightningケーブル経由(iTunes) 38秒6
Wi-Fi経由(iTunes) 1分13秒83
Wi-Fi経由(共有フォルダ) 58秒26

 以上の結果から、Lightningケーブル経由の場合はトータルで1分8秒57、Wi-Fi経由の場合は2分1秒34かかることが分かった。ちなみに、Wi-Fi経由の場合には、「Documents by Readdle」でPCの共有フォルダにアクセスしたほうが、書き込みタイムを15秒ほど短縮できる。

 どうやら、自宅~会社間でファイルを受け渡すのであれば、オンラインストレージを経由するよりも、iPhone経由にしたほうがコピー時間は短くて済みそうだ。ダウンロードURLを共有する手間も考えると、日常的に利用するなら、iPhone経由の方がストレスを感じずに済むだろう。

4月20日(木):VPN経由でのファイルコピーは結構時間がかかる……

iPhoneをVPN経由で会社のLANに接続すると、ネットワーク上にあるNASにアクセスできるようになる

 会社のオフィスにはNASが設置されており、自宅からVPN経由でアクセスできる。セキュリティを考えると、自宅PCからVPN経由で会社NASにデータを受け渡すのが一番よさそうだが、その転送速度についても計測してみた。

【自宅PC→会社NAS】
VPN経由 1分20秒97
【会社NAS→会社PC】
有線LAN経由 23秒01

※各PCを有線LAN接続した場合

 VPNルーターとNASを経由したということもあって、自宅からのファイルの転送にかなりの時間がかかった。クライアントアプリを起動し、VPNに接続するにも時間が必要なので、機密性の低い大容量ファイルは別の方法で持ち運んだ方が楽かもしれない。

 ということで、最終的に自宅PCの保存ファイルを、会社PCに保存するまでにかかった時間は以下の通り。

【自宅PC→会社PCのトータルタイム】
iPhone(Lightningケーブル)経由 1分8秒57
iPhone(Wi-Fi)経由 2分1秒34
firestorage 6分0秒59
GigaFile便 1分25秒48
VPN経由 1分43秒98

 先日は3.2 Gen2対応のSSDへのコピー時間を計測したが、会社のPCには同規格対応のポートがないので、性能をフルに発揮できない。となると、手持ちのUSBメモリではiPhoneと転送速度があまり変わらないので、日ごろから持ち歩いていることを考えても、普段使いにはiPhoneの方に分がありそうだ。

USB 3.2 Gen2対応のSSDは転送速度に優れているが、PCに対応するポートがなければ、その性能を発揮できない

 そして、転送速度についても、iPhoneは他の方法より優れている。いちいちダウンロードURLを共有したり、VPNクライアントを起動することを考えれば、操作の手間も比較的にかからなかった。

 もちろん紛失時のことを考えると、必ずしもiPhoneがベストな方法とは言えない。ただ、そこまで機密性の高くないファイルであれば、筆者の環境ならiPhoneで持ち運ぶのがよさそうだ。

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

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