DrakeとThe Weekndの新たな「コラボ曲」を最近ソーシャルメディア上で聴いた人は、ボーカルを含む全体の音楽が人工知能(AI)によって生成されたと聞けば驚くかもしれない。
提供:Ollie Millington/Contributor/Getty Images
「Heart On My Sleeve」と題されたこの曲は、TikTokで「Ghostwriter977」を名乗るユーザーがAIと両アーティストの過去の声の音源を使って作成したものだ。
Ghostwriter977のTikTokアカウントのほか、他のウェブサイトにも投稿され、数百万回再生されている。例えば、同曲が再生されていたあるTwitterの投稿は、2000万以上のビューを記録している(現在は再生不可)。
Listen to this AI generated song featuring Drake & The Weeknd.
It goes so damn hard.
It’s by “Ghostwriter977” on TikTok and it’s blowing up on socials + streaming platforms.
UMG, which controls around 1/3 of the global music market, has already asked streaming platforms to ban… pic.twitter.com/roz2EfI48M
— Roberto Nickson (@rpnickson) April 16, 2023
この曲は、トラップビート(ヒップホップ系のリズムトラックの一種)の伴奏に、DrakeとThe WeekndのAIで生成されたボーカルが乗っている。実際に聴くと、2組のアーティストが出した本物のコラボ曲に思えるほどよくできている。
「Heart On My Sleeve」は大人気になり、Spotifyや「Apple Music」などの音楽ストリーミングプラットフォームで共有され、数十万回もストリーミング再生された。
AI Drake + The Weeknd banger “heart on my sleeve” at over 250k streams on Spotify already pic.twitter.com/DcOSFsAXPz
— Jenny AI (@jenny____ai) April 16, 2023
しかし米国時間4月17日、同曲は著作権侵害の申し立てにより、YouTubeを含むさまざまな音楽ストリーミングプラットフォームから削除された。
この申し立ては、The Weekndが契約している音楽レーベルのUniversal Music Group(UMG)から提出されたものと考えられる。Financial Timesが入手した複数のメールによると、UMGはストリーミングプラットフォーム各社に対し、UMGの契約アーティストらに著作権がある音源からAIによって生成された楽曲をブロックするよう要請したという。
それでも、ファンたちは「Heart On My Sleeve」に夢中になり、この曲を各自ダウンロードしてTikTokやYouTubeなどに再投稿しているので、今でも聴くことはできる。
Ghostwriter977は自身の動画の1つでこうコメントしていた。「私は何年もゴーストライターをして、大手レーベルの利益のためだけに微々たる報酬を得ていた。未来がやって来たのだ」
AIが生成した楽曲を許可すべきかどうかの議論は、興味深いテーマとして今後注目されるだろう。Ghostwriter977のように、音楽を民主化できるという意見もあれば、音楽レーベルのように、AI生成曲が野放しになれば失うものが大きいという意見もある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。