今回は、Androidスマートフォンにおけるミラーリングの方法を見ていきましょう。ただ、iPhoneとはかなり勝手が異なります。「有線だと面倒、Wi-Fi(無線)のほうがカンタン」なのですが、その実態やいかに?
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有線ミラーリングでは、スマホが「Alternate Mode」に対応しているか要確認
HDMIケーブルなどを用いて有線でミラーリングしたい場合、まず確認しなければならないのはスマホ側の対応です。というのもAndroidスマホの場合、発売時期やグレードによって、画面ミラーリングの仕様が大幅に異なり、必要となるアダプターの端子形状が違うのはもちろん、そもそもミラーリングできない機種も数多くあるためです。
Androidスマホは2017年ごろから、充電・機能拡張用端子としてUSB Type-Cを採用する例がグッと増え、現在もデファクトスタンダードとなっています。こうした機種でミラーリングしたい場合は、USB Type-CをHDMIに変換するためのアダプターないしケーブルが必要になってきます。
この要求を満たす製品は、周辺機器メーカーからいくつか発売されていますが、今回は「Anker PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」を選びました。価格は2390円。変換アダプターなので、HDMIケーブルが別途必要です。
そして重要なのが、スマホ側で「DisplayPort Alternate Mode(Alt Modeとも)」に対応しているかどうか、です。Alt Modeをサポートしていないスマホに変換アダプターを差しても、機能しません。
Alt Modeの対応については、スマホのカタログなど公式な資料であっても言及されていないケースが大半で、調べるのにも一苦労するはず。最終的にはメーカーのサポート窓口に問い合わせる必要があるかもしれません。
筆者の私物のスマホでいくつか試してみましたが、対応していたのはサムスンの「Galaxy S8」(2017年発売)と同「Galaxy S22」(2022年発売)。また、レノボのAndroidタブレット「Lenovo Tab P11 Pro」(2020年発売)でも機能しました。
一方、Googleの「Pixel 5」(2020年発売)と「Pixel 7 Pro」(2022年発売)、ASUSの「ZenFone 5(ZE620KL)」(2018年)では機能せず。Pixelシリーズで非対応になっているのが象徴的ですが、「ハイエンドCPUを採用しているから」「20xx年以降に発売された機種だから」といった基準で対応が決まっているわけではありません。必ず確認をお願いします。
対応の確認さえとれれば、利用は比較的簡単です。ケーブル(と変換アダプター)をテレビに接続すれば、基本的にそのまま画面がミラーリングされます。Galaxy S22の場合は、「DeX」と呼ばれるサムスン独自の拡張機能が起動しますが、端末の設定画面の「接続デバイス」から、このDeX機能を一度オフにすれば、あとはケーブル接続だけでミラーリングが開始します。
そして、充電には注意しましょう。スマホには通常、Type-C端子が1つしかないため、変換アダプターを接続してしまうと、充電ケーブルを接続できません。長時間ミラーリングをし続けたい場合は、HDMI端子に加えてさらにType-C端子が付いているような“USBドッキングステーション”的な製品の利用についても(やや割高になりますが)検討してみてください。
自宅にWi-Fiがあるなら「Chromecast」が便利
自宅にWi-Fiがある方なら、「Chromecast」を使った画面ミラーリングがオススメです。テレビのHDMI端子に接続する小型映像デバイスとして、Googleが2014年に国内販売を開始。以後、継続的に改良モデルが市場投入されています。
現在販売されている製品の名称は「Chromecast with Google TV」で、画面解像度4K対応のバージョンが7600円、HD対応バージョンが4980円です。なお、ソニー、TVS REGZA(旧・東芝)、シャープ、フナイなどのメーカーからは、Chromecast相当の機能をあらかじめ搭載したテレビも売り出されています。だたし、どの場合でも多少のセットアップ作業が必要です。
ここからは「Chromecast with Google TV」の4K対応版の利用例を見ていきます。まず、AndroidスマホとChromecastを同一のLAN(自宅のWi-Fiなど)に接続。あとの操作は基本的に全てスマホから行います。今回はPixel 7 Pro(Android 13適用済み)の例をご紹介しますが、他社製スマホと共通している部分はかなり多くなっています。
では、画面上部から「クイック設定パネル」を引き出しましょう。プッシュ通知などの確認に使う、あのパネルです。
パネル内には各機能のアイコンが並んでいるので、その中から「画面のキャスト」を選びます。名称はスマホメーカーによって若干違い、単に「キャスト」だったり、サムスン端末では「Smart View」だったりします。
なお、一覧内に該当するボタンが見当たらない場合は、そのボタンが非表示になっている可能性が高いです。ボタン一覧を“編集する”機能がクイック設定パネル内にあるはずでので、そこから表示を有効化させましょう。
キャストの項目を選択すると、今使えるChromecastデバイス一覧が表示されるので、ミラーリングしたいデバイスを選択。するとしばしの待ち時間の後、ミラーリングがスタートします。有線ミラーリング同様、音声もテレビから出力されます。
画面の遷移アニメーションなどは全体的にスムーズなのですが、気になるのが画面表示と音声のズレです。人物の口の動きに比べ、実際の発声内容がやや遅れた感じになります。旅行写真やプレゼン資料を無音で再生するには何の問題もないのですが、ライブ鑑賞やミュージックビデオの再生に際しては、許容できない人が多いと思われます。
前回ご紹介したiPhoneでのミラーリングに比べ、Androidスマホのミラーリングはかなりクセが強いです。しかしChromecastを使った無線ミラーリングのポテンシャルはこんなものではありません。“アプリ”からのキャストの使い勝手が優れていて、さらには一部のiOSアプリからも利用できます。早合点せず、第5回の記事をお待ちください。
その前に、次回の第4回は、Windows PCにおけるミラーリングの方法を取り上げますので、どうぞお楽しみに。