では今回からは、スマホの画面をミラーリングする方法について具体的に解説していきます。まずは日本で特にユーザーの多いiPhoneから。なお、本稿の解説ではiPhone 7をベースとしています(iOS 15.7.2を適用済み)。iOS 16の提供が受けられない旧式モデルではありますが、現役でご利用の方も少なからずいるはず。最新のiPhone 14とは画面遷移などが異なる点に注意しつつ、参考にしていただければ幸いです。
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「Lightning – Digital AVアダプタ」さえあれば、とにかく簡単
簡単さ・確実さが両立した方法としてオススメしたいのが、Appleの純正アクセサリー「Lightning – Digital AVアダプタ」を使った、テレビとの有線接続です。
このアダプタは、端的に言えば、HDMIケーブルをiPhoneに接続するための変換器です。これをまずiPhoneのLightning端子に接続。そしてアダプタとテレビを、別途用意したHDMIケーブルで接続します。
準備は基本的にこれだけ。あとはもう常時、iPhoneの画面が原則そのままテレビに出力されます。ホーム画面からアプリへの移行、さらにはその逆も全てテレビに表示されますし、iPhoneを横向きにすればテレビ表示もそれに連動します。むしろ、Safari(ブラウザー)の操作時にはタブや検索履歴などまで表示されてしまう点に注意が必要です。
また、音が出るアプリを操作すれば、その音はiPhoneのスピーカーではなくテレビのスピーカーから出力されます。
このアダプタには、HDMIとLightning端子が1つずつ搭載されているので、HDMIによるテレビ出力をしながら、同時にiPhone本体の充電もできます。よって、動画のテレビ出力を1時間~2時間にわたって続けるとか、電力消費の激しいゲームをテレビ画面にも映したいといった用途にも適しています。
自宅Wi-Fiがあるなら「Apple TV」で無線ミラーリング
同様のミラーリングをHDMIケーブル接続なしで行いたいときは、「AirPlay」を使う方法があります。AirPlayとは、Apple製デバイスで表示した映像・音楽などをさらに別のデバイスに出力する機能のこと。これを使って、同じくAppleが発売しているハードウェア「Apple TV」へiPhoneの画面をミラーリングすることができます。
Apple TVは一般に「セットトップボックス(STB)」と呼ばれるハードウェアの一種で、HDMIケーブルでテレビに接続して使います。そのうえで、Wi-Fiもしくは有線LANでインターネットに接続して初めて、フルに機能を活用できます。一人暮らしで自宅にWi-Fiがないといった方は、前述の「Lightning – Digital AVアダプタ」による有線接続をオススメします。
なお、現在販売中のモデルは「Apple TV 4K」という機種ですが、今回は終売モデルの「Apple TV HD」を使っています(tvOS 16.2を適用済み)。
Apple TVのネットワーク接続が完了していれば、AirPlayの利用は簡単です。iPhoneのコントロールセンターを開く(iPhone X以降であれば画面右上角から下にスワイプ、それより前のモデルは画面下端から上にスワイプする)と、画面ミラーリング」を示すアイコン(画面が2つ重なっているようなデザイン)という表示があるのでこれをタップ。
続いて、ミラーリング先となるデバイスの一覧が表示されるので、ここで目的のApple TVを指定します。このあとはもう、「Lightning – Digital AVアダプタ」による挙動とほぼ同じ。iPhoneに表示された画面の内容、音がほぼそのまま、テレビに出力されます。ミラーリングの終了も、コントロールセンターから実行できます。
無線を使うとなると、動画再生の安定性などが気になりますが、その点AirPlayはなかなか優秀。動画再生時のコマ落ち感もほぼなく、「Lightning-Digital AVアダプタ」を使っているのと同じくらい安定してコンテンツ再生できました。
なお、Apple TVはそれ自体が高性能な映像視聴・ゲーム用デバイスでもあります。「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などのメジャーな映像配信サービスであれば、iPhoneと連携せずとも、Apple TVのリモコン操作で楽しむことができます。
それと、もし最近テレビを買い替えた方は、そのテレビが「AirPlay 2」に対応しているかをどうかチェックしてみてください。Apple TVを買わずとも、AirPlayによる無線のミラーリング機能が利用できます。国内では、ソニー、TVS REGZA(旧・東芝)などの製品で採用例があります。