メモ
ヨーロッパ、アメリカ、中東、東アジアの高級ホテルや大使館に爆破予告がされる事件が十数件発生した件について、ニュースメディアのAxiosが「中国政府に批判的な海外在住の中国人3名を標的とした嫌がらせの一環だった可能性がある」と報じています。
Chinese activists’ names used in bomb threats across U.S. and EU
https://www.axios.com/2023/03/29/chinese-activists-false-bomb-threats
2022年10月以降、アメリカ・オランダ・ベルギー・ドイツ・トルコ・中国の香港とマカオなど少なくとも6カ国で、何者かが高級ホテルで高価な部屋を予約したとのこと。予約者の名義は、ドイツ在住でRadio Free AsiaのレポーターであるSu Yutong氏、活動家であるWang Jingyu氏とBob Fu氏となっていました。もちろんSu氏ら本人は自身の名義でホテルが予約されていることは認識しておらず、予約した何者かが勝手に3人の個人情報を利用したとみられています。
Su氏によると、イスタンブールのホテルがSu氏の名前で予約されており、その後爆破予告が行われていたとのこと。ホテルのスタッフがSu氏と直接会話したことで爆破予告が狂言であることが判明したそうで、記事作成時点で事件の捜査は継続中。
また、Wang氏とAxiosによると、爆破予告はホテルだけではなく、オランダとノルウェーの中国大使館に対しても行われており、犯人はWang氏の名前をかたっていたそうです。そのため、警察は実際にWang氏を拘束したとのこと。さらに、ニューヨークとヒューストンのホテルで、Fu氏の名前で予約が行われ、その後に爆破予告があったそうです。ホテルはFu氏に電話をかけて確認したそうで、この事件も記事作成時点でFBIと地元警察が捜査中。
Su氏、Wang氏、Fu氏はAxiosに対し、一連の爆破予告事件が中国政府による策略であると述べています。実際、オランダの警察は、爆破予告が中国と香港のIPアドレスから行われた可能性が最も高いと報告しています。Axiosによれば、海外にいるターゲットを地元の法執行機関への通報で拘束しようとする手法は「co-optation」と呼ばれるとのこと。
Su氏ら3人は全員、中国政府からマークされていました。Su氏は1989年の六四天安門事件で戒厳令を敷いた李鵬元中国国務院総理に関する本を出版し、2010年に自宅軟禁され、中国から脱出してドイツに逃げたという経歴があります。Wang氏は、中国とインドの国境紛争について中国を批判するコメントをソーシャルメディアに投稿して勾留された経験があり、記事作成時点ではオランダに在住。また、Fu氏は中国で迫害されているキリスト教徒やイスラム教徒などを支援する非営利団体を運営しています。
なお、アメリカ国務省はAxiosの取材に対してコメントを拒否。オランダ外務省は「いかなる外国の干渉もまったく受け入れられません。オランダのすべての人は、海外政権からの脅迫から解放され、安全だと感じるべきです。望ましくない干渉の兆候がある場合、私たちは2国間でしっかりと協議し、必要に応じて行動を起こします」とコメントしました。
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