ニセモノ感を漂わせる「Megatrands」というスペルミスのステッカーが貼られたチップは模造品なのか?

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Dellのネットワークスイッチのレビュー中に、偶然チップに貼られたステッカーのスペルミスを発見したIT系ニュースサイトのServeTheHome(STH)が、奇妙なスペルミスの理由をメーカーに問い合わせた結果を報告しています。

Dude this should NOT be in a Dell Switch… or HPE Supercomputer
https://www.servethehome.com/dude-dell-hpe-ami-american-megatrands/

事の発端は、STHが2021年10月4日に公開した、Dell EMC PowerSwitch S5232F-ONのレビュー動画です。

Why the Dell S5232F-ON is a Vastly Better 100GbE Switch – YouTube
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STHのムービーの視聴者であるHarry Johnson氏はこのムービーに、「BMCに『American Megatrands』というステッカーがついていますが、これはなんでしょう?」と疑問を呈するコメントを付けました。

以下が、コメントで指摘されたスペルミスのあるステッカーです。「AMERICAN MEGATRENDS」と表記されるべきブランド名が「AMERICAN MEGATRANDS」になっています。


その後、同じDellの「S5200-ON」シリーズの4つのモデルで同様のステッカーを発見したSTHのパトリック・ケネディ氏は、さっそくAmerican Megatrendsに問い合わせをしましたが、回答は要領を得ないものでした。そこで、STHは10月19日にDellの担当者と面会してスペルミスを認識しているかどうかを尋ねた上で、「24時間以内に回答がなければ、この問題を公開するつもりです」と伝えました。

ケネディ氏が24時間の期限をつけたのは、Dellがこの問題を以前から把握していたかどうかをテストするためとのこと。大手ハイテク企業で長年経営コンサルトを務めた経験を持つケネディ氏は、Dellのような大企業が態度をはっきりさせるには、多数の企業を巻き込んだ調整が必要なことから、「この問題がDellにとって既知の不具合なら回答の承認を得るだけで済むが、未知の不具合なら回答に時間がかかるはず」だと見込んでいました。

翌日、Dellからケネディ氏に「調査中」との連絡がありました。つまり、回答期限には間に合わなかったことになりますが、Dellから「American Megatrendsがスペルミスを認めた」という情報を引き出すことができたので、ケネディ氏はこの件の公表をしばらく保留にすることにしました。

そして10月21日に、ケネディ氏はAmerican Megatrendsの台湾支社から、正式にスペルミスを認める文書を受け取りました。その文書の1ページ目が以下。


声明文の中でAmerican Megatrendsは、ラベルに誤表記があったことを認めた上で、誤表記があるラベルは法的には有効であり製品が偽物や模造品ではないことを請け合いました。また、誤表記のあるステッカーが貼られた製品は、当面の間出荷され続けるとも書かれていました。


この調査結果からケネディ氏は、Dellがサプライチェーンのどの段階でもスペルミスを発見できなかったことを指摘し、「2018年にBloomberg発のスパイチップ騒動が起きた時、多くの人が目に見えないスパイチップを恐れましたが、Dellのデバイスには肉眼で見える欠陥が長年にわたり放置されていました。もし業界がこれほどあからさまな不具合を見つけられないとしたら、目に見えないスパイチップへの懸念が高まるのは当然と言えます」と述べました。

また、ケネディ氏はDellと同様にHPEにも問い合わせをしましたが、HPEは取り合わなかったとのこと。

HPEが以前見本市に出展したデバイスにも、スペルミスがある問題のステッカーが貼られている可能性が高いにもかかわらず、HPEがこの件を誠実に受け止めなかったことから、ケネディ氏は「Dellはこの問題の真相をはっきりさせる上ではいい仕事をしましたが、HPEは完全に遅れを取っています」と述べて、品質保証を軽視しているともとれる同社の対応を非難しています。


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