「あの時はありがとうございました!」――好きなキャラクターが描かれたワインボトルを購入できなかった元男子学生と、その少年に空瓶をプレゼントした成人男性が、10年ぶりにツイッターで再会した。
男性によれば、元少年がお礼を伝えるために連絡してきたという。取材に対し2022年3月29日、「よく10年も覚えていたな」と振り返る。
「居ても立っても居られなかった」愕然とした未成年の後ろ姿
冒頭のエピソードを披露したのは、ツイッターユーザーのぱらきんさん(52)。強面のキャラクターに扮することが得意なコスプレイヤーで、コスプレイベントのスタッフなどを務めている。取材に対し、次のように経緯を説明した。
ぱらきんさんは2012年の「さっぽろ雪まつり」期間中、同じ趣味を持つ友人4人と札幌市内のファミリーマートを訪れた。目当ての品は、地元企業であるクリプトン・フューチャー・メディアの展開するバーチャル・シンガー「初音ミク」たちとコラボした商品だった。
ぱらきんさんたちは、ピンクのロングヘアが特徴的なバーチャル・シンガー「巡音ルカ」を愛好する集まりだった。コラボワイン「名もなき生ワイン 巡音ルカラベル(赤)・(白)」などをカゴに入れ、レジに向かうと、中学生くらいの男の子が同じ商品の会計を進めていた。
カゴの中身から「きっと俺達と同じキャラクターが好きなんだな」などと見守っていると、少年は店員から身分証の提示を求められた。未成年が酒類を購入できないことを知らなかったようで、強いショックを受けていたという。ワイン以外のグッズを購入し店を後にした。
「そんな彼の後ろ姿を見て居ても立っても居られず、商品の支払いを仲間に任せて彼を追い声をかけました。
最初は私や仲間の見た目が怖かったらしく警戒されておりましたが、既に他店にて購入していた商品などを見せてようやく納得してもらえましたね」
会計を済ませて出てきた友人らと話を聞くと、少年は酒ではなくボトルのラベル部分が欲しいという。ぱらきんさんらは、購入したワインのラベルをはがそうとするも、簡単には外れなかった。しかし未成年にワインを渡すわけにはいかない。そこで、大人たちは思い切った行動に出る。