アメ横で見つけた調理用バナナ「ラニーバナナ」が不思議とうまい

デイリーポータルZ

アメ横の地下を散策していたら、見慣れないフォルムのバナナに遭遇した。どっしりと短く、怪獣の爪を思わせる。

緑色の調理用バナナは、近所のスーパーでも見かけたことがあるが、このタイプを見るのは初めてだ。果たしてどんな味がするのだろう?一房買って食べてみた。

件のバナナがこちら。房は短く太く、どっしりとしている。バナナの世界のお相撲さんという印象だ。
スーパーに売っているいつものバナナと並べてみた。同じフルーツと呼んでいいのか不安になるほど違う。これなら、梨と林檎の方がまだ近い。 ​​​​​​

このバナナを買ったアメ横の地下街は圏外で、スマートフォンは使えず、日本語を話さない店員さんも多い。「どうやって食べるんですか」と訊く勇気も出ぬまま買ってきてしまった。一房600円だった。

このバナナが何者かを知る手がかりは、掠れたシールだけだ。おそらく産地であろう「PHILIPPINE」と、「ラニーバナナ」の印字。そうか、君はラニーバナナというのか。

インターネットは素晴らしく、「ラニーバナナ」と検索したら、食べ方を紹介するブログがいくつも出てきた。
どうやら調理用のバナナで、熟していれば生で食べてもおいしいらしい。

一本(この形状の場合”本”というカウントが適切なのか分からない)もぎとってみた。

こうしてみると、 ますます知らないフルーツだ。
これが完全に未知で、初対面のフルーツなら積極的に食べるところだが、知っているフルーツの知らない形となると少し怖さもある。
普段食べている甘いバナナの先入観が強すぎるのだ。

が、剥いてみたら親しみやすいテクスチャだ。街中で急に声をかけられ、話してみたら高校時代の同級生だった、みたいな安心感がある。

皮の質感からしてよく熟しているようなので、このまま一口食べてみよう。

なんだか不思議な食感だ。ふわふわモチモチで、柑橘のような酸味が後からやってくる。甘さはそう強くないが、特に癖があるわけでもない。

「こういうものだ」と慣れれば違和感なく食べられるなと思った。ふわふわ感が強い分、食べ応えがあり、「フルーツっぽい芋」を食べているような気分。火を通したらどうなるのだろうか?

フライパンにバターを熱して、切ったラニーバナナを焼いてみた。普段食べているバナナよりも、種がぎっしり詰まっていることが見てとれる。
甘酸っぱくていい香りがしてきた。いつものバナナは、ソテーにすると溶け崩れてしまうことがあるが、ラニーバナナは身の質がしっかりしている。
シンプルに塩だけ振っていただきます。
うまい!!パンケーキとスイートポテトの中間くらいの感じ。表面はカリカリで、中はもちもち、ほんのり酸っぱくてとてもおいしい。

塩を少し振ったことで、濃厚な甘さを引き立ててくれている。

ネットの情報だと、鶏肉と共に炒めるとおいしいと書いてあったが、シンプルなバターソテーでも十分おやつになる。ヘルシーな代替パンケーキとして流行りそうな味だ。

メープルシロップをかけたら、甘じょっぱ酸っぱくて複雑なおいしさのスイーツになった。

皮が真っ黒になるまで待てば、生で食べても濃厚な甘さを感じられるほどになるらしい。
難点としては日本で買うには少々高級すぎる(一房600円)ところだが、このバナナを買ったお店では、裏手の棚の隅にほとんど真っ黒になった個体が安く売られていた。きっと食べ慣れている方はそちらを買って行くのだろう。

 

不思議な酸味と芋のような食感のラニーバナナ、見つけたらぜひ買って食べてみていただきたい。

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