WBCで14年ぶりの世界一に輝いた侍ジャパン。選手たちの頑張りに胸を打たれた野球ファンは多いだろう。ただ、一息つく間もなくプロ野球のシーズンが開幕する。2023年3月30日に日本ハム―楽天(エスコンフィールド北海道)、翌31日に5試合が開幕戦を迎える。
スポーツ紙記者は「WBCの激闘で選手は心身ともに疲れているでしょう。休息が必要だと思います。無理をして開幕から稼働すると故障のリスクがある。慎重に調整して欲しいですね」と語る。
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WBCで優勝した侍ジャパン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
投手陣の調整もデリケートに
故障を抱えながら戦い続けた選手もいる。源田壮亮(西武)は1次ラウンド・韓国戦で、二塁への牽制球で帰塁した際に右手小指を骨折。患部の状態が心配されたが、準々決勝以降もスタメンで出続けた。源田の強い意志でチームに帯同し、試合に出場したとみられるが、短期決戦のWBCと違って長いペナントレースになると事情が変わってくる。患部が完治しないまま試合に出続けると選手寿命を縮める恐れがある。松井稼頭央新監督率いる西武で、「不動の遊撃手」が開幕から戦線離脱することになれば大きな痛手だが、無理をさせるわけにはいかない。
投手陣の調整もデリケートになる。戸郷翔征(巨人)、高橋宏斗(中日)、宮城大弥(オリックス)、高橋奎二(ヤクルト)、伊藤大海(日本ハム)はWBCでリリーバーとして奮闘したが、各球団でエース格の先発投手だ。長いイニングを投げるスタミナを含めて帰国後に、もう一度コンディションを作り直す時間が必要になってくる。投手陣はNPB公式球と滑りやすさ、縫い目の高さ、球の大きさが違ったWBC公式球にアジャストするために練習を重ねてきた。今後は投げやすいNPB公式球に戻るが、肩と肘への負担を考えると急ピッチで仕上げようとすれば故障に見舞われる恐れがある。
過去のWBCに出場した選手たちのデータを見ると、大会後に行われたシーズンで成績を落とすケースが少なくない。将来が嘱望されている選手たちだけに、開幕に無理して合わせる必要はないだろう。(中町顕吾)