税金や社会保険の仕組みを理解すると、なぜ毎月のお給料から引かれているのか、将来の資金計画をどう立てていけばよいのか、といったさまざまな事柄がクリアに――。
この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(酒井 富士子 著/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。
- 「給与明細」の見方を知って収入を把握しよう(別記事)
- 「所得税」と「住民税」の仕組みを確認しよう(別記事)
- 所得税は収入ではなく所得をもとに計算する(この記事)
- 給与明細から引かれている社会保険にはどのようなものがある?(近日掲載予定)
- 「健康保険」は職業や年齢によって3種類に分かれる(近日掲載予定)
月給から引かれている所得税は概算
所得税の計算には、所得に応じて段階式に税率が高くなる「超過累進課税制度」が適用されます。これは、所得が少ない人は税金が低めに、多い人ほど税金が高めに課税される仕組みです。超過累進課税で算出される最低税率は5%、最大税率は45%と定められており、7段階に区分されています。所得税の計算式は「課税所得金額×税率-控除額」で求められます。例えば課税所得400万円の人の場合、左ページの下の表を見ると、税率は20%で、控除額は42万7500円です。計算式は400万円×20%-42万7500円=37万2500円となり、納税額が算出できます。これは1年間に納める金額ですが、会社員の場合は、本人に代わって会社が所得税の見込み額を計算し、毎月の給与から差し引いて納税します。これを「源泉徴収」といい、年末には正しい税額を計算して納める手続き「年末調整」を行います。
年末調整は毎年10~11月頃に会社を通じて必要な書類を提出し、税金の過不足があった場合は、一般的に12月または1月の給与に反映されます。
一方の住民税の計算は、「所得割」と「均等割」の合計で決まります。所得割は課税所得に対して10%をかけた額。均等割は所得に関係なく一律に固定の金額で、自治体によって異なりますが、おおむね5000~6000円です。これも給料から天引きされます(第2回参照)。
2022年、高等学校の授業で家計管理の一部に「資産形成」の要素が導入されたことで、10代でも金融リテラシーを身につける時代になりました。「貯蓄から投資へ」という時代の流れとともに、学校では教わらなかった世代も家計管理やライフプランを見直し、資産形成のための投資や運用について学び直したい方は多いでしょう。
本書『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』は、そのような学校では学べなかった社会人に向けて、高校生から理解できる「お金の基本」をわかりやすく解説した書籍です。高等学校で採用されている教科書や金融庁の金融リテラシーに関する教材を参考に、社会人こそが知っておきたい金融知識を総まとめしました。
全編をマンガと図解で構成。家計管理、ライフプランニング、経済と金利の仕組み、お金を借りる、貯蓄する、投資で増やす、リスクに備えるといった基本をこの1冊でおさらいできます。
酒井 富士子(さかい ふじこ)
経済ジャーナリスト。金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』『マンガと図解でよくわかる 老後のお金 本当に必要な金額の答えと今からできる対策』(以上インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。