ChatGPTが生成した質問をする記者と答える官房長官 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/3/2~3/8】

INTERNET Watch

1. ChatGPTの波紋はさらに広がる

 「ChatGPT」が誰でも使える環境になってきた。インターネットサービスの企画・開発を手掛けるpiconは「ChatGPT」のAPIを利用したLINE bot「AIチャットくん(ID: ai_chat)」をリリースした(ITmedia)。おなじみのLINEのインターフェースなら多くの人が利用できる。使い方は簡単だ。LINEで友達に追加するだけだ。すでに発表から3日後に「累計登録者数が20万を突破」という。使ってみなければ関心も湧かないだろうし、理解も進まない。

 米国ではオライリーメディアが「Technology Trends for 2023」(2023年版テクノロジートレンド)レポートを公表した(ZDnet Japan)。それによると「2022年に開発者の学習意欲が最も高かったテーマは予想通り、人工知能(AI)だった」という。これからの技術人材はこの分野に向かうとみられる。

 また、米国バンク・オブ・アメリカはAIで注目される20銘柄をピックアップした(Forbes JAPAN)。想像どおり、マイクロソフトやグーグルが入っているが、日本からも2社がランクインしている。詳細はニュースソースを参照のこと。

ニュースソース

  • ChatGPTをLINEで使える「AIチャットくん」 登録者数20万突破[ITmedia
  • AIへの関心高まる–O’Reilly「2023年テクノロジートレンド」[ZDnet Japan
  • バンク・オブ・アメリカが推す「ChatGPT銘柄」20選 日本企業も2社[Forbes JAPAN

2. 300台以上の河川カメラに不正アクセスか

 国土交通省の河川カメラ、300台以上が不正アクセスを受けた疑いがあると報じられている(NHK)。記事によれば「複数の専門家はカメラが別のサイバー攻撃の踏み台として悪用された可能性を指摘」している。また、「行政機関が管理するインターネットにつながった『IoT機器』が大規模な不正アクセスを受ける事件は何年も前から繰り返されている。セキュリティーの甘いカメラの製品を使っている可能性もあるが、そもそも担当者が運用に慣れていないのではないか」という指摘もある。

 しかし、「慣れていない」人が担当するとはどういうことなのだろう。まさか伝統的技能のように、技術の伝承が世代交代などでできないのか。それともセキュリティを甘くみているのか。マニュアル化はされていないのか。そもそも2019年には総務省がIoT機器の一斉調査を行ったことを覚えている人も多いと思うが、そのときの問題意識はすでに消滅したのだろうか。疑問は募る。

ニュースソース

  • 国交省河川カメラに不正アクセス 別のサイバー攻撃の踏み台に悪用か[NHK

3. デジタル社会を見据えた規制改革が進む

 政府はデジタル技術の活用を妨げている、いわゆる「アナログ規制」を見直すため、関連する法律の改正案を閣議決定した(NHK)。これは技術の進歩に法律の整備が追いついていないことにより生じている規制をなくすものだ。例えば点検業務で「目視」が義務付けられているような法律があるとドローンや画像認識の応用が進まないということだ。そこで、合わせて9669項目について、見直すとしている。その他、住民生活にも関連のある事務手続きも含まれている。

 また、政府はマイナンバーカードの健康保険証一体化やマイナンバー利用範囲の拡大に向けた法律の改正案を閣議決定した(Impress Watch)。「社会保障、税制、災害対策以外の行政事務でも利用促進を図る。新たに、理容師・美容師、小型船舶操縦士、建築士等の国家資格や、自動車登録、在留資格に係る許可等に関する事務において、マイナンバーの利用を可能とする」ということだ。

 そのマイナンバーだが、「3月1日までの累計申請件数は9,416万件、人口比で74.8%と人口のほぼ4分の3が申請」というところまできた(Impress Watch)。

ニュースソース

  • 「アナログ規制」9669項目を見直しへ 関連法改正案を閣議決定[NHK
  • マイナカードの保険証一体化やマイナンバー利用拡大など閣議決定[Impress Watch
  • マイナンバーカード申請、日本の人口の3/4に。9416万件[Impress Watch

4. ChatGPTが生成した質問をする記者と答える官房長官

 「ニコニコ動画」の記者が「ChatGPT」を使って作成した文章で、松野博一官房長官に質問をしたことが話題となっている(Yahoo!ニュース)。

 質問の内容は「チャットGPTが世界的な発展をもたらし、米国や中国などで生成系AI搭載の対話型検索の開発が急ピッチで進んでいます。政府はこうした取り組みや動向をどう見ていますか。また、日本では、企業等が独自に開発を進めるといった話は今のところあまり聞きませんが、経済成長や生産性の向上、国民へのサービスの向上をもたらす可能性が高いこうした開発への支援等について、いかがお考えでしょうか」というものだ。

 これに対して、官房長官は無難な回答をしたようだが、これまでは何となく予定調和的に行われてきた記者会見でも、丁々発止のやりとりが行われるようになるのだろうか。あるいは想定問答もChatGPTで用意するようになるのか。まさか多くの記者がChatGPT頼みになったりはしないと思いたいが。

ニュースソース

  • 「ニコ動」記者、官房長官会見で「チャットGPT」使い質問[Yahoo!ニュース

5. メタバースの成功に自信――メタ社メタバース部門トップ

 「フェイスブック」という社名を「メタ」にまで変更して取り組んできたメタバース。十数年前にブームになったリンデンラボ社の「セカンドライフ」のよみがえりかと揶揄されつつも、コロナ禍で人と人が直に触れ合うことが制限される中で、その意味を考えさせられるタイミングとあいまって、新たな可能性を感じさせる部分もあった。日本国内の企業でもメタバースに取り組む事例が増え、実証実験をしたり、イベント型サービスを提供したりしてきた。展示会に行っても、メタバースに関連する事業を出展するブースはひときわにぎやかだ。一方で、コロナ禍後のインフレによる景気減速などもあり、メタ社の株価は下落、さらには人々を惹きつけるユースケースも生まれず、メタバースへの期待もかつてほどではなくなってきたように感じる。長く待ちすぎたのか。

 日経ビジネスではメタ社のメタバース責任者ビシャル・シャー氏への独占インタビューを掲載している(日経ビジネス)。「メタバースに対して成功する自信はありますか?」という問いに、開口一番「答えは『イエス』です」と答えている。将来的には「ホライゾンワールド」で必要なゴーグルは必要なくなり、より多くの人が参加できる条件が整うという。インタビューではフェイスツーフェイスの人間関係を補完するかたちでメタバースが利用されていく将来も語っている。

ニュースソース

  • 独占60分、メタのメタバース責任者が熱弁「イエス、自信はある」[日経ビジネス

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