税金や社会保険の仕組みを理解すると、なぜ毎月のお給料から引かれているのか、将来の資金計画をどう立てていけばよいのか、といったさまざまな事柄がクリアに――。
この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(酒井 富士子 著/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。
- 「給与明細」の見方を知って収入を把握しよう(別記事)
- 「所得税」と「住民税」の仕組みを確認しよう(この記事)
- 所得税は収入ではなく所得をもとに計算する(近日掲載予定)
- 給与明細から引かれている社会保険にはどのようなものがある?(近日掲載予定)
- 「健康保険」は職業や年齢によって3種類に分かれる(近日掲載予定)
所得税と住民税は納める先が違う
給与から天引きされる税金には「所得税」と「住民税」があります。
「所得税」は国に納める国税です。その名の通り所得をもとに計算します。所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間のすべての収入から所得控除を差し引いた金額(課税所得)に、一定の税率を適用して算出されます。
所得とは収入から必要経費を差し引いたもので、下の図のように、さらにそこから「所得控除」と「税額控除」の2種類の控除を差し引いて、最終的な納税額が決定する仕組みです。
会社員の場合、収入から差し引かれる必要経費にあたるのが「給与所得控除」です。給与所得控除は年間の収入額(給与と賞与の合計)に応じて6段階に設定されています。
一方の住民税は市区町村や都道府県を合わせた「地方税」です。その年の1月1日時点に居住していた市区町村に納めます。住民税は前年の1月から12月までの所得に対し課税され、その年の6月から翌年の5月にかけて納めます。よって社会人1年目は住民税の徴収はなく、2年目の6月から納めることになります。
住民税の税額は、所得に対して一律10%(市町村民税6%+都道府県民税4%)の税率で課せられる「所得割」と、所得にかかわらず均等に課せられる「均等割」の合計額になります。
2022年、高等学校の授業で家計管理の一部に「資産形成」の要素が導入されたことで、10代でも金融リテラシーを身につける時代になりました。「貯蓄から投資へ」という時代の流れとともに、学校では教わらなかった世代も家計管理やライフプランを見直し、資産形成のための投資や運用について学び直したい方は多いでしょう。
本書『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』は、そのような学校では学べなかった社会人に向けて、高校生から理解できる「お金の基本」をわかりやすく解説した書籍です。高等学校で採用されている教科書や金融庁の金融リテラシーに関する教材を参考に、社会人こそが知っておきたい金融知識を総まとめしました。
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酒井 富士子(さかい ふじこ)
経済ジャーナリスト。金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』『マンガと図解でよくわかる 老後のお金 本当に必要な金額の答えと今からできる対策』(以上インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。