ノルウェーのソフトウェア開発者であるアンドレアス・エリクセン氏が、使用環境により最大2年バッテリーが持つコンピューター「PotatoP」を開発しました。
PotatoP | Hackaday.io
https://hackaday.io/project/184340-potatop
Andreas Eriksen’s PotatoP Is a Lisp-Powered Laptop with a Battery Life Measured in Years – Hackster.io
https://www.hackster.io/news/andreas-eriksen-s-potatop-is-a-lisp-powered-laptop-with-a-battery-life-measured-in-years-2f5d79653f24
PotatoPには1万2000mAhのリチウムイオンポリマーバッテリーが搭載されているほか、太陽光を電力に変えるソーラーパネルも備わっています。消費電力が極めて低いことから、周囲の明るさ次第で最大2年は動作するとのこと。
PotatoPのマザーボードにはSparkFunの「レッドボード Artemis ATP」を使用しており、この上でマイクロコントローラ向けに設計されたプログラミング言語「uLisp」でプログラムした「PotatOS」を実行しています。
ディスプレイにはシャープ製の4.4インチモノクロディスプレイ「LS044Q7DH01」を採用。このディスプレイは電子ペーパーと従来の液晶ディスプレイの中間的な技術で作られており、バックライトがなく、最小限の電力しか消費しないのが特徴だそうです。また、ソーラーパネルにはPowerFilmの「LL200-2.4-75」を、バッテリーには「PiJuice 12000mAh Battery」を採用しています。
PotatoPが実際に動作している様子は以下の動画で見ることができます。
Programming my homebrew computer – YouTube
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PotatoPのプロトタイプはこんな感じ。エリクセン氏はPotatoPの消費電力を5mWとすることを目標として開発を進めていましたが、当初はキーボードで文字を打つことすらままならなかったそうです。
改良を重ねた結果、画面に文字を表示させることに成功します。このときの消費電流は6mA、消費電力は約22mWで、これなら1回の充電で約83日間使えるという計算になったとのこと。その後もグラフィックやリフレッシュレートの問題を改善していった結果、消費電流は最大2mAにまで低下します。
PotatoPが抱えていた問題の1つは「microSDカードの電力使用量が多すぎる」というものでした。一般的なmicroSDカードは動作に最大300mAが必要で、これはシステム全部を合わせたよりも何十倍も多く、ソーラーパネルが供給できる量の4倍にも相当します。このため、エリクセン氏は消費電流が最大30mAの特殊なSDカード「Adafruit SPI Flash SD Card」を購入しました。
改良の結果、待機電力を2.64mW、フラクタルを描くuLispコードを実行している時は5mWにまで落とすことに成功したそうですが、それでも矢印キーをすべて押し続けると電力が16.4mWまで跳ね上がるような設計ミスがあったそうです。エリクセン氏は記事作成時点で「使用時の電力を6mW以下にし、待機時には0に近づける」という目標を立てて設計を見直しており、最終的にPotatoPを光だけで動作するようにしたいと考えているそうです。
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