本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第22回目はスパイダーマン・アクションの最新作「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」を取り上げる。
用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは6種類の合計22種類のビデオカードだ。GeForceにはRTX 40シリーズが、RadeonにはRX 7000シリーズが登場したことで、第18回より一部カードを入れ替えた。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。
また、ベンチの様子を動画にもまとめたので、下記の動画も参考にしてほしい。
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テストの条件だが、グラフィックのプリセットを最上位の「非常に高い」に設定。アップスケーラーは使わずに、アンチエイリアスは「TAA」に設定している。
このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、セントラルパーク脇の大通りを60秒ダッシュした際のフレームレートをCapFrameXで計測した。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。
Marvel’s Spider-Man: Miles Moralesは、第8回に紹介したMarvel’s Spider-Man Remasteredのスピンオフ作品だ。
PS4/PS5版は2020年11月に発売されており、ここで取り上げるのはPC版となる。2022年11月に発売され、SteamとEpic Gamesで配信中だ。
ニューヨークをリアルに再現したグラフィックの負荷は高め。画質プリセットの最上位「非常に高い」では、フルHD解像度でも快適なプレイの目安を60fpsとすると、GeForce系ではGTX 1660 Ti以上、Radeon系ではRX 6600 XT以上とミドルレンジクラスのGPUが必要と言える。高画質でプレイしようと考えた場合、エントリークラスでは厳しい。
4K解像度では、かなり厳しくなる。平均60fpsを超えたのは、GeForce系ではRTX 3080以上、Radeon系ではRX 6900 XT以上とハイエンドクラスが必要だ。
ただ、今回測定した地点はオブジェクトの数が多く描画負荷が特に高い。表示するオブジェクトの数が減った場所では20fpsほどアップするケースもあり、RTX 3070やRX 6800でも4K解像度でプレイできるレベルにあると言ってよいだろう。
ちなみに、レイトレーシングを有効にしたり、RTXシリーズで使えるアップスケーラーの「DLSS」を使うとどうなるのか。
試しにRTX 3070を利用し、まずは同じ画質でDLSSを「パフォーマンス」に設定し、4K解像度でテストを実行してみた。
平均80.6fpsとDLSS無効時と比べて、約1.58倍もフレームレートが向上。大きな効果を確認できた。そして、DLSSをパフォーマンス設定のまま、レイトレーシングを有効、関連する設定をすべて最上位の「非常に高い」にして同じくベンチマークを実行したところ、平均24fpsと厳しい結果に。DLSSを使ってもレイトレーシングを有効すると描画負荷は跳ね上げる。
グレード別にフルHD解像度を見ると、GeForce系ではGTX 1650/1630、Radeon系ではRX 6500 XTはプレイするのが厳しいフレームレートしか出ていない。
エントリークラスのGPUなので基本性能が低いのに加えて、これらのGPUはビデオメモリが4GBしか搭載されていない。
前回のDead Spaceでもそうだったが、最近の描画負荷の高いゲームは、フルHD解像度でもビデオメモリが4GBだとフレームレートが伸びないのが現実だ。重量級ゲームを高画質でプレイしたければ、ビデオメモリは6GB以上のGPUを選んだ方がよいだろう。
使用PCはCore i9-13900KF搭載のパソコン工房の「LEVEL∞ R-Class」
この連載で使用しているPCはパソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」のうち先進機能を持ち込み、カスタマイズ性も高いR-Classの「LEVEL-R779-LC139KF-RBX」だ。
CPUはCore i9-13900KF(24コア32スレッド)、マザーボードはZ790チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、冷却力に不安はない。ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源については、このPCは標準だと700Wだが、推奨電源が850WのRTX 4090を扱うことも考慮し、BTOで選択できる最上位の1,200Wタイプに変更した。
なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が253WとIntelの仕様通りの設定となっていた。
ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧
使用したビデオカード一覧
第18回の「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」より一部カードの入れ替えを行なった。RTX 40シリーズとRadeon RX 7000シリーズの追加にともなって、RX 5000シリーズをカットしたほか、RTX 3080/3070/3060 Ti/3050のカードも変更となった。一部紹介しておこう。
なお、ここで使用しているビデオカードは定格クロックでの動作が中心だが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。
ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。
また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。
GPU | 製品名 | シェーダ数(CUDA・SP) | メモリバス幅 | ビデオメモリ | ブーストクロック(定格) | カード電力(定格) |
---|---|---|---|---|---|---|
GeForce RTX 4090 | NVIDIA GeForce RTX 4090 Founders Edition | 16,384 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2520MHz (2520MHz) |
450W (450W) |
GeForce RTX 4080 | NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition | 9,728 | 256bit | GDDR6X 16GB | 2510MHz (2510MHz) |
320W (320W) |
GeForce RTX 4070 Ti | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC | 7,680 | 192bit | GDDR6X 12GB | 2625MHz (2610MHz) |
285W (285W) |
GeForce RTX 3080 | GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G | 8,704 | 320bit | GDDR6X 10GB | 1845MHz (1710MHz) |
350W (320W) |
GeForce RTX 3070 | GIGABYTE GeForce RTX 3070 VISION OC 8G | 5,888 | 256bit | GDDR6 8GB | 1815MHz (1730MHz) |
220W (220W) |
GeForce RTX 3060 Ti | NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition | 4,864 | 256bit | GDDR6 8GB | 1665MHz (1665MHz) |
200W (200W) |
GeForce RTX 3060 | GIGABYTE GeForce RTX 3060 GAMING OC 12G | 3,584 | 192bit | GDDR6 12GB | 1837MHz (1777MHz) |
170W (170W) |
GeForce RTX 3050 | ASUS TUF-RTX3050-O8G-GAMING | 2,560 | 128bit | GDDR6 8GB | 1845MHz (1777MHz) |
150W (130W) |
GeForce RTX 2080 | ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING | 2,944 | 256bit | GDDR6 8GB | 1860MHz (1710MHz) |
245W (215W) |
GeForce RTX 2070 | ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI | 2,304 | 256bit | GDDR6 8GB | 1650MHz (1620MHz) |
175W (175W) |
GeForce RTX 2060 | ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO | 1,920 | 192bit | GDDR6 6GB | 1755MHz (1725MHz) |
183W (160W) |
GeForce GTX 1660 Ti | ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING | 1,536 | 192bit | GDDR6 6GB | 1770MHz (1770MHz) |
120W (120W) |
GeForce GTX 1650 | ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK | 896 | 128bit | GDDR5 4GB | 1710MHz (1665MHz) |
75W (75W) |
GeForce GTX 1630 | ASUS PH-GTX1630-4G | 512 | 64bit | GDDR6 4GB | 1785MHz (1785MHz) |
75W (75W) |
GeForce GTX 1060 | ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition | 1,280 | 192bit | GDDR5 6GB | 1772MHz (1708MHz) |
120W (120W) |
Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XTXリファレンスカード | 6,144 | 384bit | GDDR6X 24GB | 2500MHz (2500MHz) |
355W (355W) |
Radeon RX 7900 XT | Radeon RX 7900 XTリファレンスカード | 5,376 | 320bit | GDDR6X 20GB | 2400MHz (2400MHz) |
315W (315W) |
Radeon RX 6900 XT | ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING | 5,120 | 256bit | GDDR6 16GB | 2335MHz (2250MHz) |
300W (300W) |
Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800リファレンスカード | 3,840 | 256bit | GDDR6 16GB | 2105MHz (2105MHz) |
250W (250W) |
Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6700 XTリファレンスカード | 2,560 | 192bit | GDDR6 12GB | 2615MHz (2581MHz) |
230W (230W) |
Radeon RX 6600 XT | ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING | 2,048 | 128bit | GDDR6 8GB | 2607MHz (2359MHz) |
160W (160W) |
Radeon RX 6500 XT | ASUS Dual Radeon RX 6500 XT OC Edition | 1,024 | 64bit | GDDR6 4GB | 2820MHz (2815MHz) |
107W(107W) |
【使用ドライバ】GeForce Game Ready 528.24、Adrenalin 22.11.2
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