絶対的な教祖などいない
幸福の科学の創始者であり総裁の立場だった、信者にとっては絶対的存在である筈の、太陽神エル・カンターレ、大川隆法氏が、突然亡くなった。
死因について、教団側は発表を控えているようだ。
確かに、俗人を超えた存在の教祖が、普通の死因であればそれは宗教的な意味合いをどう後付けするかに注目が集まるわけで、神も仏も一緒にごちゃ混ぜにして、そのすべての生まれ変わりが大川隆法総裁だと言ってきた教団にとって、俗世間から隔絶された絶対的な存在としての教祖の死に対して、今後、教団がどう言い訳を取り繕うかが、教団存続の意味でも重要になってくるだろう。
「幸福の科学」大川隆法総裁死去、死因は不明 2月28日に自宅で倒れ病院に搬送と複数の関係者
幸福の科学以外の一般の人の感覚からすれば、人間なんだから、突然死だろうと老衰だろうと、いずれは亡くなることは目に見えているし、有名人だから長生きしなかったことを残念がるというのも、感情論としてわからないでもないが、「人間はいつか死ぬ」という人類の誰一人として抗いようのない諚にエル・カンターレ大川隆法氏も逆らうことは出来なかったわけで、その意味で大川隆法氏もただの人だったのだ。
これは否定したくても否定できない、客観的な事実だ。
教団にしてみれば神格化された教祖が、あの世からでも教団を導いていくものとしたいだろうし、また熱心な信者はそう信じたいと思う。
イタコ芸で有名な大川隆法氏が、今度はそのイタコ芸を誰に伝承したかは、私は知らないが、少なくとも彼らが霊言と称するイタコ芸によって、今後も大川隆法氏が教団を導いていくのは間違いがない。
ただ、そうなると、誰がその重積を担うのか?という問題がある。
仮に大川隆法氏が生前に、自分のイタコ芸の能力を誰に引き継ぐか?を明言していたなら、教団としては早急にそれを信者に広宣しなければならないだろう。というのも、既に大川家の遺産相続問題が表面化するのは目に見えているので、そうなると当然だが宗教団体である以上、大川隆法氏の霊験あらたかな御業であるところのイタコ芸を継承できている人が、つまりは信者にとってもありがたい存在として崇められるに違いないし、私が信者でも、そう考える。
何せ、大川隆法氏が生前行ってきた霊言と称するイタコ芸は、本物であるか否かは、誰も証明ができない。
大川隆法総裁がそう言うから、信者はそれを真に受けていたと言うだけで、信者でもなんでもない外部の人間からしてみたら、「イタコ芸じゃん」が率直な感想でありそれ以上でもそれ以下でもない。
つまり、大川隆法氏は人類史上稀にみる高い霊籍の持ち主で、すべての人類を導く絶対的な存在だったかもしれないが、それにしては、いささか俗人趣味が拭えない人だなというのが、彼が亡くたった後、私が感じる率直な感想だ。
私はある関係で、大川隆法氏の著書を数冊、読むことになったのだが、そのいずれも、荒唐無稽とは言わないが、些か宗教学的に見ると無理が多い。
とは言うものの、それは外部から見た目線であり、例えば神仏混淆の考え方を持つ宗教団体は過去にもいくつもあり、大川隆法氏の言い分が取り立てて人類の未知なる叡智とは言えないものであって、少し、大宗教の基礎教理に触れていれば、どことどことくっつけて、どことどこで理屈を混ぜ合わせたかは容易に推測できる内容なのだが、それら宗教学の基礎の基礎を知らない、善良で無垢な信者にとってみれば、それはいかにも摩訶不思議なものだと感じるのだろう。
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以降、
・新興宗教はシンボルを欲しがる
・宗教が個人や社会を救うというのは幻想か?
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。
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