【Mac Info】「Meta Quest Pro」で仮想空間内の「Magic Keyboard」を使って文字入力!

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 昨年10月末にリリースされたばかりの最新VRヘッドセット「Meta Quest Pro」には、物理的なキーボードを仮想空間内に表示する「トラッキングキーボード」機能が搭載されています。これを利用することでMeta Quest Proでのキーボード操作が格段に快適になります。Macユーザーにお馴染みのAppleの「Magic Keyboard」をトラッキングキーボードとして利用する方法や使い勝手をレポートします。

Meta Quest Proのトラッキングキーボード機能を利用すれば、仮想空間上で文字入力する際にAppleのMagic Keyboardを利用できます

VRでのキータイピング問題

 VRヘッドセット(VRゴーグル)と聞くとゲームやエンターテイメント用のデバイスと思われるかもしれませんが、Meta(旧Facebook)が発売した「Meta Quest Pro」は“ビジネス利用”を想定した最新のVRヘッドセットです。

 つまり、従来の「Meta Quest 2」とは異なり、新たな「仕事のためのデバイス」として開発されており、VRやMRを活用したミーティングやコラボレーション作業、クリエイティブワークなどに威力を発揮します。

 そこで欠かせないのが、PCと同じように文字入力を行なうためのキーボード。Meta Quest Proにはソフトウェアキーボードが搭載されており、専用コントローラやハンドジェスチャを使って操作することで仮想空間内で文字入力が行なえます。

 しかし、実際に試したところ、指で押してタイプする物理的なキーボードではないので非常に使いづらく感じます。

 また、Meta Quest ProはBluetoothで各種デバイスを接続できるため、Bluetoothキーボードをつなげて文字入力することも可能ですが、VRゴーグルをかぶってしまうと視界が覆われるため操作ができないという問題があります。

 そこで活用したいのがMeta Quest Proに搭載されている「トラッキングキーボード」です。この機能を利用すると、VRゴーグルに搭載されたカメラでトラッキングしたキーボードを仮想空間上に表示し、実際のキーボードと同様の感覚で使えます。

 対応するキーボードは一部に限られますが、なんと現在はAppleの「Magic Keyboard」(テンキー付き/テンキーなし/Touch IDおよびテンキー付き)も利用できます。

 Macユーザーとして、普段使い慣れたAppleのキーボードを利用できるのはとても魅力的。

 現在サポートされているのは英語配列(US)のキーボードに限られますが(日本語配列のMagic Keyboardを接続しても仮想空間内には英語配列のキーボードが表示されます)、それでも専用コントローラやハンドジェスチャーよりも快適にタイピング操作を行なえるはず。

 普段は日本語配列のキーボードを搭載したMacBook Air(M2, 2022)を使用する筆者ですが、Meta Quest Pro専用に英語配列のMagic Keyboardを購入してみました。

ソフトウェアキーボードに専用コントローラを向けながらトリガを引いて行なうキー入力は、お世辞にも快適なユーザーインターフェイスとは言えません。ハンドジェスチャーによる操作もあまり快適ではありません

Meta Quest Proに搭載されたカメラで物理的なキーボードを検知して、仮想空間上にリアルな形状で再現するトラッキングキーボードの機能。自分の手も映るので、手元を見ながらキー操作ができます

VR上にリモートデスクトップを構築

 Magic Keyboardによってキーボード操作が快適になると、Meta Quest ProのアプリライブラリやExplore上で文字入力による検索も格段にしやすくなります。

 英語配列のMagic Keyboardでは一部装飾キーの配列が異なるものの、基本的な文字入力は従来通り行なえるので、ソフトウェアキーボードや専用コントローラと比べると文字入力の速度が桁違い。

 次第に「これならMacを使った諸々の作業も仮想空間で行なえるのでは?」と思うようになり、実際に試してみることにしました。

 Meta Quest ProではMetaが提供するバーチャル会議室アプリ「Horizon Workrooms(ベータ版)」と、PC接続用アプリ「Meta Questリモートデスクトップ」を組み合わせることで、仮想空間内にMacなどのPCの画面を表示して操作することが可能です。

 設定を行なうには、まずはMeta Quest Proのホームから[アプリを検索]で「Horizon Workrooms(ベータ版)」を探して、Meta Quest Proにインストール。そして、次にMetaの公式サイトから「Meta Questリモートデスクトップ」をダウンロードしてMacにインストールします(アプリはそれぞれ無料)。

 これで設定は完了です。あとはMeta Quest ProでHorizon Workroomsを開いてログインすると、目の前の仮想空間上に自分のオフィスが出現します。

 そして、Mac側でMeta Questリモートデスクトップを起動させた状態で、仮想空間上のオフィスのデスクトップにある[コンピュータ]ボタンをクリックすると自分のMacの画面が表示されます。

 これで普段Macを使うように仮想空間上でもマウスやトラックパッドを使ってMacを操作できますし、さまざまなアプリを起動してメモを取ったり、書類を作成したりなどのタイピング作業がMagic Keyboardで行なえます。

 もちろん、Macを現実世界で利用するほうが今はまだ使いやすく感じますが、現時点でこれだけのことができるのであれば、VRヘッドセットを身につけながらVR空間でMacを利用するのも近い将来当たり前になるかもしれません。

 Meta QuestリモートデスクトップでMacの画面を表示した際は最大3画面のマルチスクリーンを利用できるので、実際に複数のモニタを所有していなくても仮想空間上で手軽にマルチスクリーン環境を実現できるのもメリットです。

検索のキーワード入力もトラッキングキーボードを使えばスピーディに入力できます。ソフトウェアキーボードとコントローラの比ではありません

それぞれのアプリをインストールしたあと、Mac側でMeta Questリモートデスクトップを起動させた状態でHorizon Workroomsにログインすると自分のオフィスが表示されます。Macの画面を表示するには、[コンピュータ]ボタンをクリックします

このようにMacの画面が仮想空間上に表示され、トラッキングキーボードとして設定したMagic Keyboardで文字入力が可能です。Horizon WorkroomsMeta Questリモートデスクトップの組み合わせでは、最大3画面までのマルチディスプレイ環境が実現できます

Horizon Workroomsを利用すると、バーチャルな空間でメンバー同士でホワイトボードを共有してミーティングやコラボレーションワークの際にMagic Keyboardを利用できます

最新ソフトウェアでは新機能が搭載される見込み

 このようにMeta Quest Proを快適に利用するには、トラッキングキーボードの機能の利用が欠かせません。

 Magic Keyboard以外のキーボードとしてはLogitech製のキーボード(Logitech K830やLogitech K375s等)がサポートされていますが、それらも英語配列のキーボードとなっているため、Macユーザーであれば使い慣れたMagic Keyboardのほうが使いやすいと感じることが多いでしょう。

 Meta Quest Proのみならず、Meta Quest 2でも同様にMagic Keyboadをトラッキングキーボードとして利用できますし、Horizon WorkroomsMeta Questリモートデスクトップも楽しめるので、VRゲームやコンテンツ視聴にしか使っていなかった方もぜひ利用してみてください。

 なお、Metaによると近々リリースされる最新のソフトウェアアップデートでは「ダイレクトタッチ」機能が試験的に導入され、ソフトウェアキーボードを指を使って入力できるようになるそうです。

 原稿執筆時点ではまだリリースされていないので試すことはできませんが、特に物理的なキーボードに慣れた方はトラッキングキーボードの機能を利用するほうが便利なようにも感じます。

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