今年の春に大手電力会社が相次いで電気代を値上げすると発表した。テレワークによって自宅で仕事をする日が増えているが、人ひとりが家にいると、どのぐらい電気代が増えているのかが気になってしまう。
……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから340日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は自宅で仕事をする際に利用しているPCやディスプレイなどについて、1日のうちにどのぐらい電気代を使っているのかを調べてみた。
【今回のハイライト】
2月17日(金):会社で使っているデスクトップPCの1日あたりの電気代は?
以前に購入したスマートプラグのおかげで、会社にあるデスクトップPCを遠隔操作でオンオフするだけでなく、電気の使用量もスマホアプリで確認できるようになった。
そこで、今日一日(8時間+休憩時間1時間)の仕事が終わった時点でスマホを確認してみたところ、このPCでは約0.23kWhの電気が使われていた。1時間あたりの使用量は約26Wh。TEPCOの公式ページによると、これは一般的なノートPCなみということなので、デスクトップPCの割に電力消費量は少なくて済んでいるらしい。
こうなると、自宅のPCもどのぐらい電気を使っているのかが気になってくる。このスマートプラグを持ち帰って、さっそく家でも検証をしてみたい。
今回計測したPC
- CPU:Intel Core i3-7100(3.91GHz/TDP51W)
- グラフィック:プロセッサー内蔵GPU
- 主な用途:MS Officeを使ったデスクワークなど
2月20日(月):自宅のデスクトップPCの1日あたりの電気代は?
今日は自宅でテレワーク。始業時間前にスマートプラグをコンセントに装着し、そこにデスクトップPCの電源ケーブルを装着。そのまま、会社にいる時と同じように、業務時間中ずっと書類仕事やネット検索などを行った。
作業終了後に電気使用量を確認すると、約0.78kWhの電気が使われていた。1時間あたりの使用量は約87Wh。このPCは昨年末に自作したもので、CPUにTDP65W(最大ターボパワー180W)の「Intel Core i7-12700F」を使用している。さらに、GPUに定格290Wの「GeForce RTX 3070Ti」を搭載したグラフィックボードを使用しているため、消費電力が一気に跳ね上がってしまったようだ。
このPCは昨年末に自作したもので、CPUにTDP65W(最大ターボパワー180W)の「Intel Core i7-12700F」を使用している。さらに、GPUに定格290Wの「GeForce RTX 3070Ti」を搭載したグラフィックボードを使用しているため、消費電力が一気に跳ね上がってしまったようだ。
なお、自宅ではTEPCOの従量電灯Bで契約しており、1カ月当たりの使用量が300kWhを超えているため、1kWhあたりの電気代は30.57円となる。このため、1日の電気代は約24円。2月は16日間テレワークを行うので、382円分の電気を使うという計算だ。
ただ、これはあくまでPC本体の電気代で、実際にはこれにモニターの電気代が加わることになる。トータルの電気代を確認するには、引き続きの調査が必要そうだ。
今回計測したPC
- CPU:Intel Core i7-12700F(最大4.9GHz/TDP65W)
- グラフィック:GeForce RTX 3070Ti
- 主な用途:MS Officeを使ったデスクワークなど
- 1日の電気代:約24円
2月22日(水):2台あるディスプレイの1日あたりの電気代は?
筆者の自宅ではデルの31.5型ゲーミングモニター「G3223Q」をメインに、サブディスプレイとして2009年発売の三菱電機製27インチモニター「RDT271WLM」を使っている。これらのディスプレイで同じように計測したところ、「G3223Q」は業務時間内に0.39kWh、「RDT271WLM」は0.17kWhの電力を使っていた。
以上の結果から、1日あたりの電気代は約17円(約11.9円+約5.2円)。2月は272円分の電気を使うという計算になる。
ちなみに、筆者はディスプレイの輝度がデフォルトのままで長時間作業していると目が痛くなるので、輝度を10%まで下げて使用している。各ディスプレイとも輝度を70~80%まで上げると、消費電力が約1.5倍になっていたので、初期設定のまま使っていると、もう少し電気代が高くつきそうだ。
今回計測したディスプレイ
【G3223Q】
- 画面サイズ:32型
- 輝度:600cd/m2
- 1日の電気代:約11.9円
【RDT271WLM】
- 画面サイズ:27型
- 輝度:400cd/m2
- 1日の電気代:約5.2円
2月23日(木): ハイブリッド式加湿器の1日あたりの電気代は?
冬場は肌がかさつくことから、手放せない存在になっているのが加湿器。最近では感染症対策のため、会社のデスクにもコンパクトな加湿器を設置している。
筆者の家では加熱式と超音波式を組み合わせたハイブリッド式の加湿器を使っており、出力を3段階から調整可能。目標湿度を設定しておくと、それに合わせて加湿を行ってくれるのだが、ヒーターを使っている時は消費電力が一気に跳ね上がるようだ。
なお、加湿器の作動中にレベルを上げたところ、1段階で約5Wずつ消費電力が増加した。さらに、超音波のみの稼働では最大約22W程度の消費電力で済んでいたものが、ヒーター利用時には最大約165Wまで増加した。
この加湿器を湿度55%になるように動作させたところ、1日で0.49kWhの電力を消費した。1日あたりの電気代は約15円で、2月は240円分の電気を使うという計算になる。ヒーターをOFFにすれば電気代を節約できそうだが、水道水に含まれるカルキが揮発するとPCなどの家電製品にダメージがあると聞いたので、このぐらいの電気代は許容範囲だと思いたい。……それなら純ヒーター式の加湿器を使うのが一番なわけだが、電気代が爆上がりしそうで手が出せないでいる。
今回計測した加湿器
【LOMAYA RRH940】
- 加湿量:550ml/h(ヒーターOFF時は300ml/h)
- 湿度設定:55%
- 1日の電気代:約15円
2月24日(金):電熱デスクパッドの1日あたりの電気代は?
先日は仕事机用に電熱デスクパッドを購入したが、これのおかげで朝イチからデスクワークをしても、天板に置いた手や腕が冷たくならないので重宝している。ただ、ずっとつけっぱなしにしていると、腕が低温ヤケドしてしまいそうなので、設定温度40℃で1時間に10分ぐらいつけては消して使うぐらいがよさそうだ。
そんな使い方をしていたところ、このパッドでは1日で約0.17kWhの電力消費が確認できた。なお、温度を上げる時には瞬間的に100Wで動作。数十秒で指定の温度に達すると、その後は70W程度の消費電力で動いているらしい。
今回計測した電熱デスクパッド
- サイズ:800×330×2mm
- 1日の電気代:約5.2円
というわけで、これまでの計測結果から、自宅で仕事をしていると、デスク回りで1日に61.3円の電気代を使っていることが分かった。2月は16日間テレワークで約981円かかるというのは、思ったより安いと言えるだろうか。
さらに、仕事部屋で作業をしていると、エアコンを使う場面が出てくる。一般的なスマートプラグやワットチェッカーは、エアコンが使っている200Vの電源に対応していないので計測できなかったが、TEPCOによると10畳用のエアコンが暖房運転で消費する電力は660W。これを我が家の電気代の計算式に当てはめると、1時間あたり約20円、1日で約182円の電気を使っていることになる。
ただ、筆者の仕事部屋はカーテンを開けることで温室状態になるため、日中はあまり暖房を使わない。むしろ、電気の値上げが行われた後の夏場は、クーラーをつけることで電気代が恐ろしいことになりそうだ。
とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。