黒坂岳央です。
イーロン・マスク氏は誰もが知っている、世界屈指のビジネスの大成功者である。そんな彼にコンビニバイトをやらせたらうまくやってのけるだろうか? おそらく答えはNOであろう。
世の中でそこそこ成功していきがるビジネスマンの中には、「自分が成功したのは努力したから。成功しない人たちはみんな努力不足だ」これしか言わない人がいる。たしかに部分的にそれは正しく、成功には必ず努力が必要だ。だが成功した理由は努力だけでは語ることはできないと思うのだ。
件のイーロン・マスク氏についていえば、誰がどう見ても天才である。だが、世界屈指の大富豪であっても、すべての能力値が平均を上回っているわけではなく、彼の成功は得意分野で勝負したからではないだろうか。
ビジネスは得意な領域を探すゲーム
筆者はこれまでバイト、派遣、正社員、経営者と色んな立場で色んな仕事をしてきた。決して大成功者などではないが、今では自己満足的な結果を出すことができ、毎日楽しく仕事ができている。
しかし、ここに至るまでバイト、派遣、正社員の時期のほとんどを「ポンコツ」として過ごした(全部ではないが)。もしも起業しなければ一生ポンコツとして生きることになっただろう。運良く、最後にようやく適性のある分野を発見できたと言える。
つまり、実力や努力というより「得意な分野」を見つける事ができたという方が正しい。もとい、自分の得意な仕事を見つけるために、努力をするべきだと思うのだ。
スーパーでバイトをしている時はお酒を落として割って弁償したり、弁当屋ではお会計を間違えて給料から減らされてしまった。派遣では研修中にクライアントの目の前で居眠りをしたり、お客さんに間違った案内をして2時間怒鳴られたこともあった。社員時代は頂いていた年収分以上の仕事ができていたか怪しく、常に仕事ができる同僚や上司に対して申し訳なく思っていた。
その後、起業したことで気づいたことがある。自分はチームワークがとにかくできないタイプで、一人で仕事を進めることでしか実力を出せないタイプだと。今では会社経営は妻に任せて、自分は一人でできる仕事しかやっていない。その中でも得意な仕事、苦手な仕事も見てきて今では実力が発揮できることしかやらない。
どんな人でも似たような経験があるはずだ。立場や仕事内容次第で、その人は活躍したりポンコツになったりする。努力しているかどうか?についていえば、まずは活躍できる場所に自分を置く必要があると思っている。自分は英語を教えていて、「英語が好きで英語が使えるようになりたい人はすでに適性については問題ない。適性は問題ないから、後は努力せよ」と伝えているが、それは自分自身の経験からの話なのである。
適性のない仕事をするな
どれだけ優秀な経歴で仕事ができる人でも、内容が違えばポンコツになる。人間は万能ではない。それを思い知ったエピソードがある。
自分が過去に正社員になった時、ほぼ同じ時期に執行役員の立場で入社した人物がいた。入社後に現場を知れということで、自動販売機にジュースを補充したり、空き缶を回収する仕事に同行する期間が2日間あった。
執行役員待遇で採用された人物は、この現場の作業がとにかく段取りや動きが悪く、一緒に同行した現場スタッフから「高学歴高キャリアの人も使えないんですね」みたいに陰口を言われていた。今考えると経営層と現場の仕事では適性が違うので仕方がないのだが、ビジネスエリートでも配属を間違えるとあっという間にポンコツになってしまうのだ。
上述した通り、自分は徹底的にチームワークが苦手だ。仕事内容に関わらず、上司や部下、同僚に囲まれるといきなり仕事ができなくなってしまう。適性がない空間でどれだけ努力をしてもムダでしかない。仕事をすればその期間はキャリアにはなるが、大した実績を残せずせっかくの経験値もあまり蓄積しないので適性がないと分かったら即座に撤退する方がいい。合わない仕事をやり続けるのは人生の地獄である。
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昨今、日本全体で見るとどこの人手不足が深刻化している。労働生産性も低く、大きな社会問題だ。これを解決する方法はもっと労働市場が流動的になり、適材適所がスムーズに促進されるようになることで改善できるだろう。その第一歩は「仕事は自分が得意なことをやりなさい」という理解だと思っている。
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