ライターの石井さんが銀座ウエストのクッキーで打線を組む、という記事が公開された。
銀座ウエストへの愛から始まり、守備位置、打順を決めたのち、最後にはオリジナルの応援歌まで披露していた。
その様子があまりにもイキイキとしていたので語らせてください。
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サイドストーリーとは
記事の撮影を手伝った人が傍観者としての撮影のようすを描く短編レポートです。今回は石井さんが書いたこちらの記事。
野球もウエストも知らないのに現場を盛り上げた月餅さんはどう思っていたのか?怒ってないのか。
ハラハラしながらお読みください。
おれは野球がわからない
師走のある日、ナミノリさんの型紙から服を当てるクイズに誘ってもらい、編集部のあるオフィスに行ったときのことである。
会議室で編集長の林さんと石井さんがうきうきしながら何かを準備している。様子を見ていると、暇そうだったからか仲間に入れてもらえた。
見た瞬間、「あ、やばいな」と思った。筆者には野球というものがほとんどといっていいくらいわからないからだ。
何かを野球に例えて打順を組む、というのは聞いたことがある。なんか4番が強いって聞いたことがあるぞ、くらいである。
人選ミスだったと落胆される前に逃げようかな、とも考えた。
何を組むんだろう、と思っていたら石井さんがおもむろに白い箱を持ってきて中身を見せてくれた。
クッキーじゃん。これ最後には食べられるってこと?じゃあやる~!と生半可な気持ちで逃げるのをやめた。だって食べたいし。
正直に「野球わからないんです」と申告すると石井さんは「じゃあ銀座ウエストを通じて学べますね」と言った。そんな学び方あるんだ。
選手一人一人に対する熱意がすごいのに
そもそも銀座ウエストもあまり食べることがない筆者は正直クッキーなんてみんな一緒だろうと思っていた。
しかしどうだろう、クッキーの種類の説明書(石井さんは選手名鑑と呼んでいた)と実物を照らし合わせながら石井さんから解説を受けると、クッキーひとつひとつのボリュームの大きさやこだわりに驚かされる。
チーズバトンは酒のつまみにいいとか、フルーツバーはカロリーメイト代わりになるとか、ひとつひとつ熱弁してくれた。
しかし筆者でも見たことがあるリーフパイになると、石井さんは苦い顔をしながら「好きじゃないんです」と言い出した。
甘いものでコーティングされたお菓子が苦手とのことで、おばあちゃんのぽたぽた焼きも、雪の宿もダメらしい。そんなあ。
楽しそうなおじさんたちを見るとうれしい
いざ守備位置を決める段階になると、石井さんの采配に林さんが意見をして見直される場面もあったり、二人の解釈が一致してめちゃくちゃ笑いだしたり、無邪気にはしゃぐおじさんたちの姿を見ることができた。
林さん「名前とデカさが外国人選手っぽくて、守備はあんまり仕事しないと思うんですよね」
石井さん「確かにレフトでヤジ飛ばされてそうですよね」
野球好きにしかわからないセオリーがあるらしい。筆者が今後野球を見るとき、レフトには外国人選手とかガタイのいい選手がいたら「DPZで習ったやつだ!」となるに違いない。
まなざしは真剣そのもので、たまに昔の野球の思い出を語り合っているが、悲しいほどわからない。選手がタバコを吸っていたとか、守備を結構サボっていたとか、エピソードが何となく昭和的である。
しかし楽しそうな大人を眺めるのはいい。自分の将来も明るいな、と思う。
知らないのに納得させられる応援歌
守備と打順が決まったところで、各選手の応援歌を作ってきたので、と歌詞カードを渡された。この場で歌わされるのかな、とハラハラしていたらスマホから石井さんの歌声が再生され始めた。
それぞれのイメージに合わせて曲調が変わる。しっかりと合唱をするときの、腹から出ているタイプのあの声でのびのびと響く石井さんの歌声。
美声である。これを自宅で録音したのかな、妻やお子さんに今から歌うから静かにしてってお願いしたのかな、とか思いを馳せなくてもいいメイキング映像が頭をよぎる。子供の頃、お父さんの歌声を聞くのってちょっと、いやそこそこ恥ずかしかったよな、と思い返す。石井さんのお子さんは懐が深い。
野球を知らない筆者からすると、もうこれが公式応援ソングみたいな気がしてくる。野球場で流してもみんな歌えるんじゃないか。
実食してわかるその実力
最後には隣で撮影準備をしていたナミノリさんとほりさんと石川さんが来てくれてみんなで食べることになった。
筆者は今回、銀座ウエストの個々の特徴と野球のそれぞれのポジションの特徴を一度に理解することになり、若干の混乱はあったのだが、食べてみることで銀座ウエストと野球の情報が紐づいてなるほど、と思える瞬間がいくつかあった。
セカンド・塩クッキーとショート・チーズバトンの二遊間なんかはそのコンビの強さを味を以って教えられたかのよう。守れる気がする。
野球をどれくらい学べたかと聞かれると、小1時間のつめこみだったので今残ってる知識は2割くらいだ。でも野球という共通言語を通じてわかり合う人たちの様子はかなりうらやましかった。今年は見に行ってみようと思う。銀座ウエストを持って。