「大容量ファイルを出先でサクッと共有したい!! Windowsの『近距離共有』機能とUSBメモリ、どっちが速い?」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(127)【急遽テレワーク導入!の顛末記】

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「近距離共有」機能なら、近くにいる人のPCに手間なくファイルを受け渡せる

 テレワークが始まったことで、取材先や打合せ場所などからオフィスに戻らず直帰することが増えた。そこで1つ困ったことになったのが、外出先での大きなファイルの受け渡し。オフィスであれば社内LAN経由で、手早く受け渡しができるのだが。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから305日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はLAN環境のない外出先での、ファイルの受け渡し方法について考えてみた。

【今回のハイライト】

USBメモリでは容量が足りないことも

「近距離共有」で近くのPCを検索!

モバイル ホットスポット機能も使ってみた

1月16日(月):外出先で大容量ファイルを受け渡すことになった

 今日は同僚と一緒に取引先を訪ね、相手のオフィスで打ち合わせ。資料となる動画ファイルを先方から提供してもらったのだが、問題はこれを自分のノートPCに保存したこと。すぐにでも同席していた同僚と共有したいのだが、このまま自宅に帰ると、数ギガバイトのファイル数点をオンラインストレージ経由で共有しなくてはいけない。

 結局、その日はミーティングがてらに喫茶店へ。ファイルをUSBメモリ経由で同僚のノートPCにコピーしたのだが、USBメモリの容量があまり大きくなかったので、作業が終わるまでにPC間で何往復もさせることになった。大容量な外付けSSDでもあれば話は別なのだが……、できればカバンの中身はなるべく軽くしておきたい。

USBメモリの容量が少なかったので、ファイルをコピーしては消して、新しいファイルをまたコピーして……と、何回かに分けてコピーを行うハメになった

1月17日(火):Windows標準の「近距離共有」が使え…ません!?

 PC間でファイルを受け渡す方法といえば、Windowsには標準で「近距離共有」機能が用意されているのを忘れていた。これは、iPhoneでいうところの「AirDrop」のような機能。PC間をBluetoothとWi-Fiで接続して、ファイルを送受信できる。

 なお、「近距離共有」を利用するには2台のPCで、それぞれ機能がオンになっている必要がある。さっそく自宅にあるPCのうち、Bluetoothを搭載しているマシン2台で機能をオンに。エクスプローラーでファイルを選択し、「共有」ボタンから機能を呼び出してみたのだが……、「近くのデバイスを探しています」とのメッセージが表示されるものの、送信先のPCが検索される気配がなかった。えっ、何で?

タスクバー右端の「通知」アイコンをクリックしてアクションセンターを表示。「近距離共有」を有効に

ファイルを選択して、ツールバーの「共有」タブにある「共有」をクリックするが

共有相手のPCが検索されない……

1月19日(木): USBメモリと「近距離共有」機能、どっちが早い?

 「近距離共有」機能を利用することで、ファイルをスマートに送受信できたわけだが、そこで気になるのがファイルの転送速度。いくら操作が楽でも、転送に時間がかかるようでは使いづらい。

 ということで、手持ちのUSBメモリと「近距離共有」機能を比較して、それぞれ1GBのファイルの送信に何分かかるかを計測してみた。

【ファイルの転送時間の比較】
・USBメモリ(USB 2.0):5分9秒
・USBメモリー(USB 3.1 Gen1):1分2秒
・近距離共有:3分58秒

 USB 2.0対応のUSBメモリでは書き込みに3分49秒、書き出しに1分5秒、さらにUSBメモリの抜き差しに15秒ほど時間を取られた。これが、USB 3.1対応のUSBメモリになると、書き込みに54秒、書き出しに8秒とかなりタイムを短縮できる。

 ちなみに、今回用意したUSB 3.1 Gen1のUSBメモリは2年ほど前に購入したもので、書き込み速度は実測で16~23MB/s程度とあまり速くない。同じGen1規格でも高速転送に対応したもの、もしくはGen2規格のUSBメモリなら、さらにタイムを縮めることができそうだ。

 一方、「近距離共有」機能は書き込みと書き出しを同時に行えるのがメリット。USBメモリをPC間で挿し替えることなく、USB 2.0対応のUSBメモリよりも素早くファイルを転送できた。数ギガバイトとなると手こずるが、1GB程度のファイルの受け渡しになら十分に使えそうだ。

「近距離共有」はUSB 3.0超えとはならなかったものの、USB 2.0対応のUSBメモリより早くファイルを受け渡すことができた

1月20日(金):そういえば、「モバイルホットスポット」という機能があったっけ……

 Windows 10/11には、利用しているインターネット回線をテザリングする「モバイルホットスポット」という機能がある。これでPC間をWi-Fi Directで接続すれば、アドホック接続時のようにファイル共有できないかと思ったのだが……、「ネットワーク」画面に接続先のPCが表示されることはなかった。

 まぁ、これでファイルを共有できるようでは、セキュリティがガバガバになってしまうわけだが。とはいえ、これで相手がネットにアクセスできない状態でも、オンラインストレージ経由でファイルを受け渡せるようにはなりそうだ。会社で来客があったときにも、気軽にインターネット回線を共有できるだろう。

 ちなみに、Wi-Fiでアドホックネットワークを構築することもできなくはない。ただ、準備にかなり手間がかかるので、こういう“ちょっとファイルを共有したい”ときには不向きとなっている。

アクションセンターで「モバイル ホットスポット」を有効にすると、使用しているインターネット回線を、ほかのデバイスと共有できる

SSIDとパスワードは、「設定」画面の「ネットワークとインターネット」にある「モバイル ホットスポット」から確認できる

 「近距離共有」機能を利用することで、Wi-Fiネットワークのない外出先でもファイルを気軽に受け渡せるようになった。いちいちメールやオンラインストレージを利用するより、こちらの方が手間なく操作が行えそうだ。

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

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