野球の試合中にARでリアルタイム情報表示、場内の混雑状況も分かる! 楽天が5G SAを使った実証実験 

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 楽天モバイル株式会社と株式会社楽天野球団は、2022年12月に楽天生命パーク宮城(現:楽天モバイルパーク宮城)にて実施した5G SA(スタンドアローン)方式のモバイルネットワークを活用する実証実験の結果を公表した。

 5G SAは、5G専用コアネットワーク設備を使用し、5Gの機能をフルに利用できるネットワークのこと。従来の5G通信サービスでは4Gのコアネットワーク設備が流用されていたが、5G SAでは高速、低遅延など、より高度なモバイル通信サービスを提供可能になる。

 実証実験の内容は、VPS技術(Visual Positioning System:カメラで捉えた位置や物体を特定し、最適な情報を提供する技術)とスタジアムの3Dデータを活用したアプリケーションを使用し、任意の位置にARコンテンツを表示させるもの。シーズンオフである2022年12月15日に、東北楽天ゴールデンイーグルスの試合日を想定して行われた。

 検証専用のアプリケーションはDesignium社のサポートで開発し、ドローンで取得したスタジアムのデータを「Photogrammetry」という技術で解析して3DCGモデルとして活用する。VPS技術と組み合わせることでスタジアムの観客席にあるデバイスの位置情報を高い精度で特定し、任意のARコンテンツを表示できる。

 具体的には、スマートフォンをスタジアムにかざすことで、試合情報や投球実績などの選手情報をAR表示できる。ほか、試合の流れに合わせてヒットの打球方向など、遠目にはわかりにくい情報もARで確認可能で、注目選手の活躍を見逃すことがないとしている。

守備に就いている選手の情報を表示

打球の方向も確認できる

スタジアムの3DCGモデル

 アプリケーションは「楽天市場」とも連携。気になる選手のユニフォームなどのグッズを、楽天市場の楽天イーグルスオンラインショップにて購入できるという。

 「インタラクティブ応援」としてAR花火を打ち上げることもできる。自分の好きなタイミングでAR花火をスマートフォンの画面上で打ち上げるだけでなく、ほかの人が打ち上げたAR花火も自分の画面上にリアルタイムに表示される。超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続といった5Gの特徴を生かし、スタジアムに応援に来ているファン同士で興奮を共有しながら応援できるとしている。

AR花火

 スタジアムの混雑緩和に向けた検証も実施。売店付近に設置されたカメラの映像を、アプリ上にリアルタイム配信した。来場者が売店の混雑状況を確認できることで、分散行動を促す効果が期待できるとしている。スタジアムスタッフ向けには、AIにより行列に並んでいる人数、待ち時間をリアルタイム解析した結果を提供。これにより、試合やイベント時のオペレーション強化が期待されるという。

売店から離れていても、混雑状況を確認できる

 将来的には、5G SAのネットワークを仮想的に分割し、高速大容量、低遅延など用途別に最適化したネットワークとして利用する「ネットワークスライシング」技術の活用も想定。より大勢の来場者にストリーミング配信や解析結果の配信などを同時に実施することで、快適に楽しめるスタジアム環境を目指すとしている。

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