ASUSは、CESに先立って報道発表を行ない、第13世代CoreやAMD Ryzen 7000シリーズなどを搭載したノートPCを多数公開した。ASUSはCESの会場の1つであるベネチアン・エキスポに出展し、そうした新製品を展示した。
その中でももっとも注目を集めたのは、同社の第13世代Core Hシリーズを搭載したノートPC「Zenbook Pro 16X OLED」で、ASUSがIntelと共同して開発した通常版よりも短い第13世代Core Hシリーズのパッケージを採用しており、CPUの実装面積などを小さくすることで、より強力なGPU(GeForce RTX 4080 Laptop)を搭載するなどの新しい設計を採用していることだ。それにより従来製品よりも圧倒的に高い性能を発揮するとASUSは説明している。
通常のType3パッケージよりも小さな特別版第13世代Coreを採用しているZenbook Pro 16X OLED
ASUSがZenbook Pro 16X OLEDにおいて採用している第13世代Core Hシリーズは、「ASUS Supernova SoM Design」とASUSが呼んでいる、CPUとメモリ(LPDDR5X)をサブ基板に統合したモジュールに搭載されてマザーボードに実装する形になっている。
特別のサブ基板にCPUとメモリを実装しているのは、CPUとメモリ間の配線を短くすることで、メモリのクロックを引き上げることを可能にするためだ。第13世代Core Hでは標準ではLPDDR5-6400までの対応になっているが、この仕組みを採用することで、LPDDR5-7500として動作させることが可能になる。
また、このASUS Supernova SoM Designに搭載されている第13世代Core Hは、Intelが通常提供しているBGAのType3と呼ばれるパッケージ(50×25mm)に比べてやや小さなパッケージを採用している。具体的な数値は分からないが、横の長さ方向がやや短くなっているように見えるパッケージで、それによりCPU+メモリの実装面積を従来製品に比べて38%小さくすることが可能になっているという。
小型化のメリットは、そのスペースを熱設計に回してより強力な冷却機能を用意することで、CPU+GPUが消費電力を引き上げることができる点。それによりCPUに負荷をかけた状態の温度を最大で摂氏7℃ほど引き下げることになっており、CPU+GPUの合計TDPは155Wに対応することができるようになる。
CPUだけを中心に使っている状態では、ターボモード時のクロック周波数に長い時間とどまっていることが可能になるなど、パフォーマンスが大きく向上することになる。従来製品に比べて3Dレンダリングで約8.9倍、ビデオエンコーディングで約1.4倍の性能を発揮するとASUSは説明している。
また、キーボードはディスプレイ部を開くことで、自動チルトするようになっており、角度がついてタイピングしやすいようになっているほか、内蔵ファンなどがより放熱しやすくすることで、さらに冷却性能を高める工夫の1つになっている。
CPUはCore i9-13905H、ディスプレイは16型3.2K(3200×2000ドット/120Hz)のOLED(100% DCI-P3)、1TBのSSDという構成になっており、96Whrという大容量バッテリーを搭載しており、重量は2.4kgとなる。
16型裸眼3D対応OLEDディスプレイを採用したProArt Studiobook 16 3D OLED
ProArt Studiobook 16 3D OLED (H7604 3D OLED)は16型3.2KのOLEDディスプレイを採用したノートPCで、裸眼3Dに対応していることが最大の特徴となる。この裸眼3Dは、アイトラッキングのカメラ技術を実現して実現される裸眼3Dの機能で、両方の目に少しずつズレた映像を見せることで立体に見えるように画面表示を行なうという仕組みで実現している。
このため、写真にはまったく映らないので、見え方で説明するしかないのだが、アイトラッキングがきちんと両目の動きを追える場所に立つと、物体(デモでは蜂を表示していた)が3Dであるように見える。そしてアイトラッキングのレンズをふさぐと、3Dでは見えなくなるので、そうした仕組みで人間の目に立体であるように見せていることがよく分かる。
現状ではちょっと横に行くと、アイトラッキングカメラが正しく終えなくなるためだと思うが、立体に見えなくなるなどの制限はあるが、これが発展すると通常は普通のノートPCとして使っていても、必要な時だけ3Dにして使うという使い方はありだと感じた。
ハイエンドなWi-Fi 7ルーター2製品が発表され展示される、今年中にはさらなる製品の登場も予告
ASUSはGT-BE98というゲーミング向けのWi-Fi 7ルーターと、RT-BE96UというWi-Fi 7ルーターという2つのWi-Fi 7ルーターを展示した。
GT-BE98はアンテナが8本用意されていて角度などが自由に変えられる同社のハイエンドWi-Fiルーターとしてはおなじみのデザインで、そのWi-Fi 7対応版になる。従来製品では160MHzのチャンネルに対応していたが、今回の製品ではそれが320MHzに拡張されており、6GHz帯で約11Gbpsの通信速度で通信することができるのが最大の特徴となる。ほかの帯域(5GHzや2.4GHz)も合わせて最大で仮想的に約25Gbpsで通信することが可能になる。有線側は10GbpsのWANポートが1つ、ほかにも2つの10GbpsのLAN、4つのGigabit Ethernetが利用できる。
RT-BE96Uも同じようにWi-Fi 7で320MHzのチャンネルをサポートすることができるようになった製品で、6GHzや他の帯域を合わせると仮想的に最大で約19Gbpsで通信することができる。有線は10Gigabit EthernetのWANポート、10Gigabit EthernetのLANポート、4つのGigabit Ethernetが用意されている。
ASUSによれば、今後ASUSはより多くのWi-Fi 7に対応した製品を計画しているとのことで、今後は今回発表されたハイエンド製品だけでなくミッドレンジ製品などの登場にも期待があつまるところだ。
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