甘いんだけど辛かったです。
ハラペーニョというメキシコ料理でよく使われる辛い青唐辛子を育てたのだが、秋になると完熟してパプリカのように赤くなった。
とてもおいしそうなので、もしかしたら甘いんじゃないかなと食べてみたら、やっぱり辛かった。ですよねー。
ハラペーニョは赤くなる
ハラペーニョを週に数本でも収穫できたら便利だろうなと畑で育ててみたら(こちらの記事)、週に数十本もの収穫があった。
これはさすがに食いきれぬ。辛いからな。
もりもり食べたり、人にあげたりしまくったけど、取り残したものがだんだんと赤くなってきた。
ハラペーニョも赤くなることを知識としては知ってはいたが、緑から赤への華麗なる転身に驚いた。
唐辛子なので赤くなるのは当たり前なのかもしれないが、目の前にすると「おおっ!」となるものなのだ。
こんなに完熟なら甘いんじゃないだろうか
青いハラペーニョはかなり辛い。それはよくわかっている。だがこの赤い完熟ハラペーニョはどうだろうか。見た目はかなり甘そうじゃないか。
これが同じナス科のトマトだったなら、真っ赤になった今こそが食べ頃である。もしかしたらパプリカくらいは甘いかも。きっと甘い。
唐辛子で辛いのは内側。ヘタの下にあるタネがついている胎座(たいざ)と、そこから伸びる仕切り部分の隔壁だ。タネはそんなに辛くない。
甘かったらいいなと思いながら外側の果皮部分を齧ってみると、これが見た目通りでパプリカのように甘い。歯ごたえも香りもパプリカそっくり。
やっぱりハラペーニョでも赤く完熟すれば甘くなるんだ~と思った瞬間に辛さがやってきてヒー。おっかなびっくりおちょぼ口で食べたからか唇まで痛い。
羊の皮をかぶった狼、パプリカの甘さと色を持ったハラペーニョ。確実に甘くはなっているのだが、そもそもの辛さは削減されていないという人生によくあるなんらかの縮図。なんなら辛味も増している。
超完熟のハラペーニョならどうだ
そして12月。霜が降りるとハラペーニョは枯れた。唐辛子は本来なら多年草だが、南国生まれなので埼玉の冬は超えられない運命(さだめ)。
霜に当たってブヨブヨとした超完熟のハラペーニョ、今度こそちゃんと甘くなっているのでは。白菜とか大根も霜に当たると甘くなるっていうじゃない。
いや人生もハラペーニョもそこまで甘くはないことは重々承知だが、こいつの味がすごく気になる。
パプリカは皮が黒くなるまで焼いて、焦げた部分を剥いて食べるのが好きだ。
同じようにハラペーニョを調理したところ、皮だけでなくその内側まで焦げてしまった。見た目が似ているからといって同じ方法が通じるとは限らない。
あらあらまあと思いながら焦げた部分を外してみると、その下は加熱によってねっとりとトマトペーストのようになっていた。
よし、これは絶対甘いやつだ。
唇が触れないように歯をむき出しつつ、内側の胎座まで齧らないよう慎重に歯を立てる。
どろんと柔らかくなった果皮を前歯で削り取ると、ものすごく甘い上に香りが高い。これはもうフルーツジャムだ。
これはうまいぞと調子に載って深く齧ってしまった。
すごく甘い……と思ったらやっぱり辛い。
あー、あーーー!
そうだ、外は甘くても中は辛いんだった。超辛い。辛いというか痛い。なんで忘れていたんだ、バカなのかと自分に文句を言いながら牛乳をたくさん飲んだ。
パスタにしたらどうだろう
これは単体で食べたらだめだ。当たり前か。
中心部分を丁寧にとって油で炒めてパスタにしてみた。味付けは塩少々のみ。これでどうだ。
結果、人生で一番むせた。
口に入れた瞬間だけはうまいのだが、一秒と持たずにケホンケホン。
完熟ハラペーニョの甘さや香り自体は素晴らしいので、ここまで辛くない品種があれば、すごく魅力的な食材だろうなと思った。
そんな欲望から生まれたのがパプリカなのかもしれない。