「適度な量の飲酒は体に良い」という言説を耳にすることは多いですが、2022年には「少量の飲酒でも心臓に害を及ぼす」ということが35万人規模の実験によって明らかになっています。そんな飲酒と健康について、「1カ月間禁酒すると、その後も飲酒量が減少し、健康状態が改善する」という研究結果をワシントン・ポストがまとめています。
The benefits of “Dry January” last longer than a month, studies show – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/wellness/2022/12/27/dry-january-health-benefits/
アメリカやイギリスでは、1月に1カ月間だけ禁酒する「Dry January」と呼ばれる運動が流行しており、毎年何万人もの人々が1カ月間の禁酒に挑戦しています。Dry Januaryはあくまで1カ月間の禁酒に挑戦する運動ですが、多くの挑戦者は1カ月が経過して制限がなくなった後も飲酒量の減少を経験するとのこと。
心理学者のリチャード・デ・ヴィッサー氏が行った「数千人に及ぶDry January挑戦者の8月の飲酒量を測定する」という研究では、挑戦前の平均飲酒頻度が週4.3日で、挑戦から半年以上が経過した8月時点の飲酒頻度は週3.3日にまで減少したことが確認されました。また、Dry Januaryの挑戦者は1カ月の禁酒によって「お金を節約できる」「体重が減少する」「睡眠が改善される」「集中力が強化される」といった健康状態の改善を経験していたとのこと。デ・ヴィッサー氏は、挑戦者の成功体験がDry January終了後の長期的な飲酒量制限につながっていると指摘しています。
また、1カ月の禁酒によって健康状態が大幅に改善したことを示す研究結果も存在しています。アメリカとイギリスの研究チームは、94人の被験者を「1カ月禁酒するグループ」と「禁酒しないグループ」に分けて健康状態を記録する実験を実施しました。実験の結果、禁酒したグループは「体重が平均2kg減少」「血圧が低下」「2型糖尿病のリスク指標であるインスリン抵抗性が大幅に低下」「がん関連の成長因子の大幅な減少」といった健康状態改善が確認されました。さらに、被験者の飲酒状況を実験の6~8カ月後に再調査した結果、禁酒したグループでは飲酒量が大幅に低下していたことも判明しました。
上記のようにDry Januaryなどで1カ月の禁酒に挑戦すると、健康状態の劇的な改善が期待できます。しかし、デ・ヴィッサー氏によるとDry Januaryの挑戦者の約11%は禁酒終了後に飲酒量が増加するリバウンドを経験していたとのこと。ワシントン・ポストは、Dry Januaryの成功率を高めるために以下のアドバイスを提示しています。
・友達と一緒に挑戦する
・アルコールを含まないお気に入りの飲み物を見つける
・飲酒に代わる習慣を身に付ける
・禁酒によって節約できた金額を記録する
また、ワシントン・ポストは「1カ月の禁酒か難しすぎる」という人に対して「平日は飲酒しない」「1日当たりの飲酒量を半分に抑える」といった比較的簡単な目標から取り組むことを提案しています。
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