パナソニックは1月5日、Biel Glassesと2021年から共同で開発を進める、視覚障がい者をサポートするスマートグラスのプロトタイプをCES 2023に参考出展したと発表した。
今回参考展示された共同開発製品は、パナソニックの5.2K HDR対応のVRゴーグルと、Biel Glassesの弱視者支援技術を統合したスマートグラスのプロトタイプとなる。
周辺視野の喪失(一般にトンネルビジョンとして知られる、緑内障や網膜色素変性症などの病気の影響)がある場合に、使用者が障害物やその他の危険を認識できるよう映像処理などを行うことで、自律的な移動をサポートする。
スマートグラスで実現したい目標
具体的には、AIとロボティクス技術により、カメラとセンサーで捉えたシーンを分析し、障害物、段差、穴などの移動の際の危険を検出。MR(Mixed Reality)技術により、使用者の残りの視力に合わせた映像表示を行うという。
また、視覚障害の状況や必要性に応じてスマートグラスの機能を検眼士が調整し、ズーム、照明への適応、コントラスト強調などの最適な映像処理で視力を支援するとしている。
なお、映像表示には、ミューOLEDディスプレーとパンケーキレンズを採用。小型で軽量、低消費電力を実現し、動きやすく、装着の負担を軽減している。
基本アーキテクチャ
Biel Glassesは、2017年に設立したバルセロナを拠点とするスタートアップ企業。視覚障がい者の移動を支援することで、自律性の向上を図るスマートグラスを開発している。Biel Glassesの技術は、AIとロボティクス技術で現実世界を理解し、複合現実(Extended Reality)技術で患者の残りの視力に適応させることが特徴になるという。
両社は、弱視支援サービスの事業化に向けて、今後も必要な技術開発と臨床検証を進めていくとしている。