カニトリーナ、釣具屋などで結構売っています。
数年前から釣具屋などに出回りだし、ずっと気になっていた漁具がある。その名はカニトリーナ。プラスチック製のでっかいトングみたいなやつである。
生田名人が開発したというそのメカは、5時間でなんと1,000匹のカニをつかまえたという記録があるらしい。そんなに食べられない。
しかもカニだけではなく、ザリガニや魚をつかまえることも可能だという。カニトリーナ、あまりに魅力的過ぎる。
今回はそんなカニトリーナの能力をフルに活かして、水辺の生き物達と3本勝負をしてみたいと思う。
※2007年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
一本目:ザリガニ釣り
まずは小手調べにザリガニでもつかまえてやろうかということで、カニトリーナを持って近所の池にやってきた。
この池にはザリガニがたくさん生息していて、この日も親子連れなどがザリガニ釣りを楽しんでいた。
カニトリーナをセッティング
自転車のカゴから、今週のビックリドッキリメカ気分でカニトリーナを取り出す。
ああ、この自然の中で違和感たっぷりのオモチャっぽい質感とカラーリングが堪らない。
説明書によると、エサは生イカの切り身が最高らしい。こいつを糸の先に結んだら準備OKだ。
ザリガニとりスタート
カニトリーナを池に向けて軽く握ると、リール部分が回転してヒョロヒョロと糸が出ていく。
エサが底まで着いたら、リールを巻いて糸ふけを軽くとって、アタリがくるのをしばらく待つ。などと書くと釣り雑誌っぽいが、やっていることはザリガニ釣りだ。
しかしザリガニ釣りなんて何年ぶりだろう、と感傷にふけろうと思ったけれど、よく考えたら小学校以来ほぼ毎年やっている気がする。きっと来年もやる。
さっそく釣れた
エサを沈めて十数秒、早くも糸が引っ張られる。どうやらザリガニが食いついたようだ。
慎重にリールをクルクル巻く。このリールは普通の釣り用リールとハンドルの巻く方向が逆なので一瞬混乱する。
獲物の重さを楽しみながらリールを巻いていくと、イカを抱えた真っ赤なザリガニが見えてきた。
水面ギリギリ、カニトリーナの射程範囲まで獲物を引っ張り上げたら、右手で糸を引っ張りつつグッと左手を伸ばしてザリガニを挟んで捕獲だ。
すごいおもしろい
カニトリーナを使ったザリガニ釣り、すごいおもしろい。ただザリガニを釣るだけだったら、糸の先にエサをつけて沈めておき、引き上げて水面まできたら網で掬えばいいのだが、カニトリーナを使ってザリガニを挟んでつかまえるという行為がおもしろい。
子供の頃から指を挟まれ続けてきたザリガニを挟んでやるというのが痛快なのだ。
もちろん、ザリガニをうまく挟めずに取り逃がしてしまうことも多いのだが、そこの無意味な難易度アップがまた楽しい。金魚掬いが丈夫な網ではなく、掬えるか掬えないか微妙なくらいの薄い紙でやるからおもしろいのと同じ理屈だ。
別にザリガニが欲しくてつかまえている訳ではないしね。
カニトリーナの弱点
こんな楽しいカニトリーナだが、ひとつ欠点がある。それはカニトリーナで遊んでいると、いろいろな人が「それはなんですか?」と聞いてくるのがちょっと恥ずかしい事だ。カニトリーナでザリガニをとっているこの状況は、なかなか説明しづらいものがある。
なんだかこの日はザリガニ釣りにきていた人がとても多く、老若男女様々な人がカニトリーナに興味を示していた。
まずは一勝
カニトリーナ3本勝負の第一戦、ザリガニとの対決は、こちらの圧勝といっていいだろう。幸先よしだ。
夢中になってザリガニとっていたら、何カ所も蚊に食われたけれど。
さあ、次の対戦の舞台は海だ。
二本目:魚釣り
カニトリーナ3本勝負の二本目は、海での魚釣りということで、朝早くから神奈川県の海岸までやってきた。
手漕ぎボートに乗り込んで、大海原へと漕ぎ出す。この前、船舶免許をせっかく取ったのに、いまだに乗るのは手漕ぎボートだ。
カニトリーナのカスタマイズ
ボートの上から魚を釣るには、カニトリーナをある程度カスタマイズしておく必要がある。
まず針だが、カニトリーナには元々釣り針が付いているのだが、このポイントでは少々大きすぎるので、一回り小さいものをセレクトした。
次に糸。カニトリーナに最初から付いている糸はボート釣りを想定している訳ではないため、1.5メートル程しか巻いてない。そこで前日に釣り糸を20メートルほど巻き、ついでにオモリも一回り大きい物に交換しておいた。
いざ、魚釣りスタート
ボートの縁からカニトリーナ海釣りバージョンの仕掛けを静かに沈めていく。
このポイントは水深が10メートル以上あるため、底に付くまで時間がかかる。今までのカニトリーナではあり得ない深さだ。
ザリガニ釣りと同様、糸ふけをとってしばらく待っていると、糸が軽く引っ張られ、オレンジ色のパーツが上下にピクピクと動いた。
よし、魚が掛かった。
ドキドキしながら一心不乱にリールを巻く。この小さいリールで10メートル以上の糸を巻き取るのはなかなか大変だが、そのぶん楽しい時間が長くなる。
上がってきたのは、シロギスという魚だ。
魚の頭が水面まで来たら、カニトリーナでガッチリキャッチ。
エサを抱えているだけのザリガニ釣りと違って、針が口にしっかりと掛かっている魚釣りにおいて、わざわざカニトリーナで挟む必要は全くないのだけれど、それでも挟むのが楽しい。
シロギスを釣ったあとも、メゴチというこれまた天麩羅で美味しい魚が簡単に釣れた。カニトリーナ、予想以上に魚が釣れるのだが、さすがにリールの巻き上げが面倒なので、それ以降は普通の釣り道具でやった。
カニトリーナを使ってこそわかる、普通の釣り道具の偉大さよ。
難なく二勝
カニトリーナ3本勝負の第二戦、魚との対決も余裕の勝利だ。
カニトリーナもカスタマイズをすればいろいろな獲物がつかまえられることがわかった。今度、実家の猫をつかまえてみよう。
さあ、次は最後の勝負だ。
三本目:カニ釣り
カニトリーナ3本勝負の最終戦は、もちろんカニだ。カニをとらずしてカニトリーナを語ることはできまい。
大潮の干潮を狙って、カニがたくさんいる海へとやってきた。
カニとり開始
ザリガニ、魚と好調につかまえてきたカニトリーナ、本来の獲物であるカニであれば余裕でつかまえられることだろう。エサも生田名人推薦の生イカを持ってきた。
今日の目標は生田名人の大記録、「5時間で1000匹」を越えることだ。数えるのが大変そうだが。
しかし問題発生
足下の岩場を探すと、カニはすぐに見つかった。岩と岩の間にたくさんいる。
カニの目の前にエサを落とすと、カニはハサミを伸ばして襲いかかってくる。
糸を少しずつ引っ張ってカニをおびき寄せ、カニトリーナでパシッと挟もうとしたその時、問題が発生した。
カニトリーナが岩の隙間に入らないのだ。
この場所はカニトリーナに向いていない
この場所は、岩がぎっちりと並べられており、カニはそのわずかな隙間に身を隠している。そのため、こぶし大のスペースを必要とするカニトリーナが役に立たないのだ。
その上、ここのカニはあまりイカが好きではないらしく、掴んでも引っ張るとすぐに放してしまうので、カニがカニトリーナの射程距離に入ってこない。
どうやらカニトリーナは万能という訳ではなく、使いやすい場所と使いにくい場所があるようだ。
残念ながら、ここみたいに岩の隙間が狭く深いような場所には向いていない。
とはいっても、一匹くらいつかまえないと開発者の生田名人に申し訳ないと、1時間ばかりカニを追いかけ回したのだが…
もう手づかみでいいか
生田名人、ごめんなさい。頑張ったけれど無理でした。
だがしかし、わざわざ海まで来てカニの一匹もとれないとあっては末代までの恥。
カニトリーナは置いておいて、革の手袋をして手づかみでカニをとることにした。
やはり慣れない道具よりも手づかみのほうが性に合っているようで、カニはあっさりつかまえられた。
どうにかカニはつかまえられたけれど、今回はカニトリーナ3本勝負なので、手づかみは明らかなルール違反。よってこの勝負は私の反則負け。
試合に負けて勝負に勝ったというところか。カニ相手に。
カニトリーナ3本勝負、二勝一敗でした。
やっぱり悔しいので再試合してきた
カニ相手に負けたままでは悔しいので、日を改めて生田名人のホームグラウンドである城南島海浜公園にいってきた。
ここのカニは非常にアグレッシブで、イカに対しての反応がすこぶるよく、簡単にカニを捕まえることができた。最初からここにくればよかった。カニとり、とれればすごい楽しい。
ありがとう、生田名人。今度どこかで会いましょう。