私(佐藤)はとてもドン臭い男である。ちょっと常識的には考えられないような失敗やトラブルを発生させてしまう人間だ。幸い、困るのは自分だけというスケールの小さいものばかりなのだが、それでも48年生きてきて、きっと1000回くらいそんなことをやっている。
つい最近も、人生で初めてポールダンスの発表会のゲストで呼ばれた際にやっちまった……。あやうく始まる前に終わるところだったよ。あえてその原因を挙げるとすれば、アーティスト米津玄師さんの『KICKBACK』が名曲すぎたからではないか? と考えている。
・人生初のゲスト出演で……
ポールダンスを始めて間もなく6年になるが、長く続けているとありがたい機会にめぐり合えるものだ。青森県八戸市の「エアリアルダンス八戸」さんの発表会のゲストにお呼ばれしたのだ。ご相談を受けた時、天に舞い上がるほどうれしかった。
なにしろ学生時代は運動音痴の運動嫌い。動きたくない一心で青春を送ってきたといっても過言ではない。
そんな自分がポールダンスを通して運動に目覚めて、「佐藤さん、来てください」と言ってもらえるとは。行く! どこにだって行くさ!!
何をやってもダメだった自分が役に立てるんだから、こんなに喜ばしいことはない。10代の自分に教えてやりたい。「お前、運動で青森に来てって言ってもらえるようになるぞ」って。きっと信じないだろけどね。
そして2022年11月某日、私は意気揚々と新幹線に飛び乗って、一路八戸へと向かったのだった。
約2時間30分を経て、無事に八戸駅に到着。駅を出ると都内よりも肌寒く感じる。この日の気温差は約5度あった。
それでも私の心のポカポカだ。発表会出演に先立ってワークショップの時間も頂いている。参加してくれる皆さんに、とにかく楽しんでもらわなきゃな! 何しようかな。あ~、楽しみだ!!
さっそく会場のスタジオに行くと、とても広くてキレイ! 私のテンションは秒で爆上げである。新幹線移動の疲れは一瞬で吹っ飛んだ。
というのも、高さ約3メートル5センチのポールが3本も立った広いスタジオは、都内になかなかないのだ。高さはあるけど広さはない。もしくは広さはあるけど高さはない。そんな感じのところがほとんどで、ここまでのびのびと練習できる場所は、およそ見たことがなかった。
おまけに照明はリモコン操作できるし、音響は小型のJBLスピーカーが入ってて、低音がブリブリ鳴りやがる。最高じゃねえか! 少し練習したいとスタジオの代表の大澤さんにお伝えすると、「私、1~2時間用事で出かけますので、好きに使ってください」と仰って頂いた。
ヒャッホー! 暴れるぞ~!!
にわかに私の脳裏に米津さんの『KICKBACK』が浮かんだ。そうだ! ここでかけて踊っていいんだよね! レッツパーリィーーーッ!!
努力! 未来! アビューティホースター!
努力! 未来! アビューティホースター!
努力! 未来! アビューティホースター!!
努力! 未来! アビューティホースター!!
_人人人人人人_
> ブチッ!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
痛ッ! 右脚痛!!
ヤベエ! なんかブチって言った気がする!!
この曲がカッコ良すぎて、脚をやっちまったかもしれへん……。脚も心配だけど、明日はどないしよう~。
前日に何やってんだよ、俺は……。はしゃいでケガとかマジでシャレにならん。ポールの練習でケガするならまだしも……。ダサすぎるだろう……。
幸いというべきかわからないけど、ガッチリ固定すると動けることが後にわかった。そこでテーピングをグルグル巻きにして、サポーターを2枚重ねにした。思い切り飛ぶことはできなかったけど、これで何とかいける!
脚を痛めた時はマジで血の気が引いたけど、時間と共に痛みはやわらぎ、激しく動かさなければ問題ない。一時はどうなるかと思ったけど、何とかワークショップと発表会本番を滞りなく終えることができた。
あぶねえ、奇跡的に訪れたチャンスを台無しにするところだったよ……。ちなみにあれ以降、ほぼ痛みはないけど、用心のためにいまだにサポーターのお世話になっている次第である。
きっと私のようなドン臭いマネをする同世代の人はいないと思うけど、自分が思っているほど若くないってことを常々肝に銘じて、穏やかに過ごして行こうぜ。やればできるとか考えるのは、デンジャラス!
それにしても『KICKBACK』、カッコイイよな! マジで名曲すぎる。努力! 未来! アビューティホースター!!
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24