2022年11月11日、映画『ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー』が公開される。前作『ブラックパンサー』は世界各地で社会現象を巻き起こした超大ヒット作品だけに、本作にかかる期待は非常に大きい。だって「アベンジャーズ」超えの興行収入ですからね?
また『ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー』は、これまでのマーベル作品とは違う “大いなるプレッシャー” が伴う作品であろう。果たしてブラックパンサーは全ての不安を吹き飛ばすことができるのか? ワカンダ! フォエバッ!!
・2つのプレッシャー
まずは冒頭でお伝えした “大いなるプレッシャー” について説明しておこう。記者が思うに、本作は他のマーベル作品とは明らかに違う性質を有している。その理由は大きく2つ、以下で説明したい。
1つ目は前作で主役のブラックパンサーを演じた「チャドウィック・ボーズマン」が2020年に病のため急逝してしまったこと。チャドウィック・ボーズマン演じるブラックパンサーの評価は非常に高く、彼以外がブラックパンサーを演じていたら前作ほどヒットしたかはわからない。
設定上「ブラックパンサー」のキャラクターは代々受け継がれていくものではあるが、チャドウィック・ボーズマン以上のブラックパンサーを見せつけられるのか? 非常に過酷な問題ではあるものの、映画「ブラックパンサー」が避けて通れぬ道であるハズだ。
・波に乗れないフェーズ4
2つ目は『アベンジャーズ / エンドゲーム』以降のMCUが、イマイチ盛り上がりに欠けること。サノスとの全面対決を持ってMCUのフェーズ3は終了し(作品としては「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」が区切り)、以降はフェーズ4に突入している。
……のだが、フェーズ4に該当する「ブラックウィドウ」も「シャン・チー」も「エターナルズ」も、以前ほど話題になったとは言い難い。唯一「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」だけが全盛期の盛り上がりに肉薄したといったところであろう。エターナルズとか、もっと話題になっていいと思います。
本作『ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー』はフェーズ4のラストを飾る映画作品で、フェーズ5が2023年2月公開予定の「アントマン & ワスプ:クアントマニア」で幕を開ける。不調だったフェーズ4を帳消しにする役割りが、本作には求められているハズだ。
・黒人社会はどう評価するのか?
で、1つめのプレッシャー「チャドウィック・ボーズマン以上のブラックパンサーが表現できるのか問題」については「観る側に委ねられる」といったところだろうか? こればかりは映画が公開され、前作の爆発的大ヒットを後押しした黒人社会がどう評価するかわからない。
ティ・チャラ亡き後のワカンダを導くのは母の女王ラモンダと、妹のシュリ。希少なヴィブラニウムの扱いを中心に物語は展開され、やがて海の王「ネイモア」と遭遇する。
ネイモアの戦闘能力は「アイアンマン級」と考えて差し支えなく、今後のMCUで大きな役割を果たすハズ。ネイモアのデビュー作品という意味では、上々の滑り出しと評価していいだろう。ネイモア、メチャメチャ強い魅力的なキャラクターです。
そして2つ目の「不調だったフェーズ4を帳消しにできるのか?」についても「どこまで伸びるかはわからない」というのが率直な感想である。誤解して欲しくないが、本作は純粋に考えてフェーズ4では指折りの完成度を誇る上質な作品だ。
一方で、社会現象を巻き起こした前作の評判が高すぎるがゆえ「そこまでのレベルか?」と言われたら「わからない」と答えるしかない。もちろんマーベルファンなら絶対に押さえておくべき作品だし、観終えたときに高い満足感を得られることだろう。
なお、この記事はネタバレなしでお届けしているため触れられないのだが、個人的に1つだけ “腑に落ちない謎” があった。それについては映画公開後に改めて執筆するつもりだが、そこがクリアになるかならないかで、本作の評価は大きく変わってくるハズだ。
というわけで、大いなるプレッシャーがかかる映画『ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー』が、2022年11月11日に公開される。ティ・チャラ、そしてチャドウィック・ボーズマンよ、永遠なれ──。ワカンダ! フォエバッ!!
参考リンク:ブラックパンサー / ワカンダ・フォーエバー(公式)
執筆:P.K.サンジュン
Photo:©MarvelStudios 2022 、 Marvel Studios 2021 、 Marvel Studios 2018