MicrosoftのArm搭載PC「Windows 開発キット 2023」をさっそく入手した人がベンチマークテストを実施

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MicrosoftがArm版Windowsアプリ開発用のWindows 11搭載マシンとしてリリースした「Windows 開発キット 2023」を、デベロッパーのJeff Geerling氏がさっそく入手しテストしています。

Testing Microsoft’s Windows Dev Kit 2023 | Jeff Geerling
https://www.jeffgeerling.com/blog/2022/testing-microsofts-windows-dev-kit-2023

「Windows 開発キット 2023」は、Microsoftが2022年5月に「Project Volterra」として発表したWindows 11搭載PC。「Windows 開発キット 2023」のスペックや販売価格などは、以下の記事にまとめられています。

MicrosoftがMac miniライクな「Windows 開発キット 2023」を販売開始、Windows 11用のネイティブArmアプリ開発用PC – GIGAZINE


そんな「Windows 開発キット 2023」をさっそく入手したというGeerling氏。「Windows 開発キット 2023」が入っている箱は以下の通りで、本体と大きな電源アダプタ、説明書が入っているだけのシンプルな中身だそうです。

Windows Dev Kit 2023 (aka “Project Volterra”) has arrived. Box is fine, just includes large power adapter and regulatory papers.

A thread ????(1/??) pic.twitter.com/QTtD6NPC9c

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


電源アダプタの出力は90Wで、Windows 11のホログラムシールが少し斜めになっているのが特徴。

Power adapter is 90W and includes a fancy Windows 11 hologram, put on a bit askew. pic.twitter.com/YsFR7GqXhF

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


本体はこんな感じで、前面(1枚目)には何もなく、左側面(2枚目)には2つのボタンと2つのUSB-Cポート、背面(3枚目)には電源ポート、LANポート、Mini DisplayPort、USB-Aポート×3、右側面(4枚目)にも何もありません。

Looking around the unit, front is bare. Left side has two buttons and tiny reset button, two USB-C. Back has DC in, gigabit Ethernet, Mini DisplayPort, and three USB-A (I believe 3.0 or 3.1?). Right is bare. pic.twitter.com/oqWDQCTpE8

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


裏面は4本の2.5mm六角ネジで固定されています。

According to my @LinusTech screwdriver, the bottom has 4 2.5mm hex screws, and they are put in with a dab of blue loctite for better retention. pic.twitter.com/59EmzDxy1E

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


裏面を開けるとこんな感じで、左に基板、中央にファン、右に512GBのSSDが配置されていました。また、裏面側にSSD用の厚めのサーマルパッドがくっついているのもわかります。

No hidden screws here, back pops off (with a THICC thermal pad that has an impression from the SSD), and we’re in! pic.twitter.com/w6ABYCVLCA

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


Geerling氏によると、基板はSurface Pro Xのメインボードをケースに収まるように再配置したものだそうです。他にも、RealtekのUSB 3.0向け1Gbpsイーサネットアダプタである「RTL8153BM」と、USB 3.1 Gen 2ハブチップの「GL3590」が確認できたそうです。

Tons of unpopulated board to board connectors; evidence of reuse of a Surface tablet main board no doubt.

I also spy a Realtek RTL8153BM USB 3.0 1 Gbps Ethernet Adapter, and a GL3590 USB 3.1 Gen 2 hub chip. pic.twitter.com/q4cRuVuQTh

— Jeff Geerling (@geerlingguy)


「Windows 開発キット 2023」のプロセッサは命令セットアーキテクチャにARM64(AArch64)を採用しています。そのため、同じARM64採用プロセッサを搭載しているPCやMacと共に、Geekbenchでベンチマークテストを実施。Dot 1はシングルコアが「533」でマルチコアが「1546」、Windows 開発キット 2023はシングルコアが「1096」でマルチコアが「5755」、Mac miniはシングルコアが「1760」でマルチコアが「7724」です。


Geerling氏は「AppleのM1チップはARMチップがコンピューティングパワーでも優れた選択肢となり得ることを証明しましたが、QualcommのSnapdragon 8cx Gen 3(Windows 開発キット 2023のプロセッサ)はまだその域に達していません」と記しています。

さらに、以下はGeekbenchでCPUのマルチコアスコアを算出するためのベンチマークテストを実施している最中のピーク電力消費をスコア化したもの。数値が高いほど電力効率が高いことを示しており、ここでも2020年に発売されたM1搭載Mac miniにWindows 開発キット 2023は敗北しています。加えて、アイドル状態での消費電力はWindows 開発キット 2023が5ワットであるのに対して、Mac miniはさらに少ない4ワットだそうです。


ただし、Windows 開発キット 2023は512GBのストレージを搭載しているモデルが税込9万9880円であるのに対して、M1搭載Mac miniは512GBストレージモデルが税込12万800円とわずかに高価です。加えて、Windows 開発キット 2023は自力で分解してSSDを換装可能という利点もあるとアピールしています。ただし、Windows 開発キット 2023のストレージはM.2 SSDのうちType 2230という縦22mm×幅30mmのケースのものが採用されているため、より一般的なType 2280のSSDに換装するには工夫が必要になる模様。


Geerling氏は「Windows 開発キット 2023はArm版Windowsアプリ開発に適した堅牢なデバイスですが、Linuxではそれほど役立ちません。Linux用WindowsサブシステムであるWSLでARM版Linuxを動かすことができますが、Linuxディストリビューションをネイティブに起動することはできません」と記しています。

なお、Geerling氏は「Windows 開発キット 2023は全体的にまともなデバイスで、静かに動作し、比較的電力効率も良いため、MicrosoftはWindows 11と自社ソフトウェアをARM上で稼働させるという素晴らしい仕事を成し遂げました」と高評価しつつも、「問題は、WindowsでネイティブARM64ソフトウェアをクロスコンパイルするのにスペックが十分なのかという点です」と記しています。

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