「ロシアが中国から輸入した半導体の不良率が40%に達している」とロシアメディアが報じる

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西側諸国からの厳しい経済制裁を受けているロシアでは、友好関係を維持している中国からの輸入が増加しています。ところが、ロシアの経済紙であるKommersantは「中国から輸入した半導体の不良率が40%に達している」と報じており、わずか数カ月で不良率が1900%も上昇しているとのことです。

Chinese distributors reportedly dump dud chips on Russia • The Register
https://www.theregister.com/2022/10/18/russia_china_semiconductro_failure_rates/

Russian Newspaper Reports 40% Failure Rate for Chinese Microchips | Tom’s Hardware
https://www.tomshardware.com/news/chinese-microchips-40-percent-failure-for-russia

2022年2月にウクライナ侵攻を開始したロシアは、西側諸国による厳しい経済制裁に直面しています。侵攻開始直後にはIntelやAMD、TSMCがロシアへの半導体販売を停止したほか、Samsungなども半導体を含む製品の出荷をストップしました。

その結果、2022年6月には「世界のロシア向け半導体輸出が9割減少した」と報道されており、ロシアはハイテク製品や軍事製品にとって欠かせない半導体の確保に苦しんでいます。そんな中でロシア企業は、製造メーカーが意図していない中国のグレーマーケットからの輸入量を増加させているそうです。

ところがKommersantによると、中国から輸入した半導体の不良率はここ数カ月で急激に増加しており、ウクライナ侵攻前には2%ほどだった不良率が最近は40%にまで高まっているとのこと。海外メディアのThe Registerは、「多くの部品で作られた製品は品質上の問題が起きる可能性が高いため、2%の不良率もよくありません。40%という不良率は供給が目的に合致しないのに近い状態であることを意味します」と報じています。

テクノロジー系メディアのTom’s Hardwareも、「現代のデバイスや軍事用ハードウェアの多くがさまざまな半導体部品を必要とすることを考えれば、不良率が2%でも悪いと言えます。40%の半導体が機能しない状態で納品されるということは、まずすべての半導体をテストするために多大な時間と労力を費やさなければ、何も作れなくなるということです」と述べました。


Kommersantは、ロシアの電子機器メーカーは高い不良率に加えてグレーマーケットの遅い流通速度、サプライチェーンの混乱などに苦しんでいると報じています。西側諸国の経済制裁によって主要企業がロシアとの取引を停止したため、ロシア企業はグレーマーケットの業者と取引せざるを得ない上に、サプライヤーや製品を精査する能力がロシア企業には乏しいとのこと。

グレーマーケットはメーカーが意図した正規の流通ルートではないため、もともと品質面での期待値は高くありません。さらにThe Registerは、中国のグレーマーケット業者はロシアのバイヤーが不良品をつかんだところで簡単に代替品へアクセスできないことを理解しているとして、ロシア企業の足元を見て不良品を売りつけている可能性を示唆しています。

中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年2月、北京での会談後に「友情に限界はなく、協力する上で『禁じられた』分野はない」という共同声明を発表しました。しかし、その後のウクライナ侵攻について中国政府は「戦争」と表現しているほか、国連のロシア非難決議についても反対ではなく棄権を選択するなど、微妙な距離感を保ち続けています。

The Registerは、「ロシア政府は不法な侵略を続けるために、より多くの電子機器を戦場に送り出す必要があります。半導体はそのための重要な要素であり、もし不良率が高い製品をロシアに送り込んでいるならば、それは戦争への努力を妨害していることになります」と指摘しました。


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