それはもはや別の駅では(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

乗り換えがやたら遠い駅ってありませんか。

東京だとメトロの大手町駅とか。こういうところで地下通路をえんえん歩いていると、こんなの名前が同じだけで実質は別の駅では、と思ってしまう。

今までなんとなく遠いなあと思っていたいくつかの駅の乗り換えについて、その距離をきっちり測り、ベストオブ・乗り換えが大変な駅を調べてみました。

2006年11月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

東京での候補をリストアップ

今回は東京近郊の駅について調べてみたい。乗り換えの遠そうな駅について事前に何人かに相談してみたところ、

 ・やっぱり大手町駅だろう。東西線から三田線とか。
 ・霞ヶ関駅も遠いよ。
 ・いやいや、東京駅の京葉線が最強だ。

といった答えが返ってきた。それらに自分なりの候補を加えた中から、乗り換えの大変そうな駅を4つピックアップし、調べてみることにする。

乗り換えの際に歩く距離は上の写真のように目安が示されていることが多いのだけど、今回は、電車を降りた瞬間から乗る瞬間まで距離計(ロードカウンター)を転がして、きっちり計ってみることにしたい。

ザ・ロードカウンター

まずは飯田橋駅

最初は飯田橋駅の東京メトロ東西線から有楽町線への乗り換えについて調べてみる。

飯田橋駅の乗り換え図。緑色が地下通路で、青と黄はそれぞれの路線のホーム。
(出典:国土地理院発行の2万5千分の1地形図「東京西部」:地図閲覧サービス「ウォッちず」より)

ここの乗り換えは次のような実体験のために強く印象に残っている。地下鉄で高田馬場から永田町へ行く場合に、

 ・飯田橋で乗り換えると有楽町線への乗換えがやたら遠い。
 ・あえて次の駅の九段下で乗り換えるのが正解。

なのだ。

いつも時間ぎりぎりに出発するぼくにとってはこれはもはやトラップといっていい。この機会にこの乗換えがどれだけ遠いのかはっきりさせておきたかった。

地下での視点を地図上におきかえる

実際にこの乗換えをして、その様子を写真に撮り距離を測ってみた。

下の地図の緑色の道の、通路上の様子を写真でごらんください。

矢印の方面へ移動します

 

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地上での視点はどうなのか

では、この経路を地上で辿った場合どのように見えるのか。地下での視点と比較してみた。

ホームのベンチは ↓
不動産屋さんのあたり。

 

スナッピー(パン屋さん)は ↓
地上から見るとこのへんだ。ガード下あたり。

分かったこと

乗り換えの距離は315mだった。

遠い遠いと思ってたけど、そんなものかという気もする。JR山手線だと、日暮里と西日暮里の駅間が約500mで最も近いらしいので、飯田橋はまだまだ別の駅とはいえなさそうだ。

もうちょっと遠いところはないだろうか。

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次は大手町駅

乗り換えが遠い駅といえばやっぱり大手町だろう。さっそく調べてみたい。

東京メトロ丸ノ内線から都営三田線まで

大手町には全部で5つの路線が通っているけれど、今回はそのうちもっとも遠そうな2つを選ぶことにする。もっとも北東の丸ノ内線と、南西の三田線。

たぶん普段ならうんざりしながら歩くところだろう。疲れている日だったらいったん地上に出てタクシーで三田線まで行くかもしれない。

今回は調査のためだ。ロードカウンターを転がしながら、丸ノ内線から出発する。

出発点の位置はここ。
丸ノ内線を見送る。

(以下、上が現在位置、下が地下での視点です)

出発直後。いきなり400mの表示を見て落ち込む。

 

約300m地点。本屋さんがある。

三田線の改札近くに本屋さんがあった。

さすがに大手町だけあって並んでいる本はこんなのばっかりだ。

M&Aのすべて

「事業計画」に「企業価値経営」に「M&Aのすべて」。

頭上でひもを振り回しても傘にならないといった知識とは無縁の世界がここにある。

一方、ぼくの目下の問題はロードカウンターがふらついて歩きにくいことだ。
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そして到着

三田線のホームに到着。
メーターは435m

10分ほどで三田線のホームに到着した。距離は435m。

さきほどの飯田橋駅に比べると距離が5割増しくらいに伸びた。でもまだ日暮里―西日暮里に負けている。

地上からの眺めはどうか

地下だと、通路の見通しが悪いから何となく歩いてしまうという感じがある。でも同じ道のりを地上に置き換えれば、こんなに長い距離を歩いていたのか!ということが分かりやすいはずだ。

出発点の地上位置。青が丸ノ内線ホームで、緑が乗り換え経路。
向こうの交差点まで歩いた後、左折する。
その信号から左折した先を見た。青い標識のある交差点の向こう側が三田線ホームだ。

地上から確認すると、乗り換えの距離は信号3つ分だった。

意に反して、なんだか近いような気もしてきてしまうのが悔しい。おかしいぞ。乗換えが遠いと思っていたのは錯覚だったのか?

いやいや、もっと遠い所があるはずだ。

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本命:東京駅のJR山手線から京葉線まで

東京駅で京葉線に乗り換えたことがある人なら、誰しもその遠さに一度は驚いたことがある思う。

通路に動く歩道があるって何なのよ。空港か?

山手線を降りて ↓
フォトジェニックな通路をくぐる。
階段を下りて……。と、間違えた。こっちは横須賀線だ。最初からやり直し。
エキセントリックな動く歩道で、
黄金風呂が気になる。
京葉線に到着!

事前に通路を調べていったはずなのに、途中で2回も迷ってしまった。上の写真で通った以外の遠いルートもあって、そっちにはまってしまったのだ。恐るべし、京葉線。

というわけで、その距離は518mだった。これまでの調査で最も遠い。

東京駅の山手線―京葉線間については、尊敬の念をこめて「もはや別の駅で賞」を進呈することにしたい。

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さらに遠くへ

今回の調査で、さらに乗り換えの遠い駅が見つかった。今さらだけど、調査のルールは次のとおり。

1.駅名が同じ (ex: 赤坂見附―永田町間等は除く)
2.同一構内で通路がつながっている (屋外に出ない)

東京近郊で、上記を満たすもっとも乗り換えの遠い駅、すなわちベストオブ乗換えが大変な駅は、おそらく新宿駅の丸ノ内線―大江戸線間だ。

丸の内線を見送って ↓
自動販売機でお茶でも。って、んー?
近寄ってみる。これは入らんて。
階段ではロードカウンターを壁沿いにして、
大江戸線に到着!
距離は597m。

その距離は597m。

山手線の日暮里―西日暮里間は611mらしいので、たぶん、ホームの端から端まで移動すればその距離は越えられただろう。

新宿駅の大江戸線と丸ノ内線には栄えある「別の駅」の認定を行いたいと思います。

さらに遠い駅があるはず

今回の調査は、都合上あくまで東京都心の駅だけで行ったもの。各都市ごとにもっと洒落にならないくらい乗り換えの大変なところがあるはずだと思う。例えばJR武蔵野線の新三郷駅が前まで上下線のホーム自体が500mくらい離れてたみたいに(住んでました)。

1kmを超える……なんていうところがどこかにないかなあと思っています。

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