金持ちになりたい。これは誰もが1度は夢見ることじゃないだろうか。あくせく働くのではなく、左うちわで酒でも飲みながら暮らしたい。そんな億万長者の気分が味わえる居酒屋があるという。
その店の名は『一億円で居酒屋建ててみた。億万鳥者 新宿本殿』。PRTIMESに配信されたお店のリリース情報にこう書かれているのだ。「居酒屋なのに『億万長者』の気分が味わえる空間と料理をご用意しました」と──。
ただの長者ではない。億万長者である。一体どれほどラグジュアリーな世界が広がっているのか? 気になったので行ってみた。
・新宿駅前
リリース情報によると、その居酒屋は東京都新宿区新宿3-36-12杉忠ビル4Fにあるらしい。新宿駅東口から東南口に向かう途中のロータリー前に広がる飲み屋街の辺りだ。
乱立する雑居ビルに『鳥貴族』とか『安安』みたいなチェーン店が入ってるイメージなんだけど、あんなところにラグジュアリーな空間があるのだろうか? さっそく、住所の地点に行ってみたところ……
めちゃんこイメージそのまんまの雑居ビルなんですが……!
・エレベーターを上がるとそこは…
ついでに言うと、『億万鳥者』の看板が掲げられていたのだが、文字のノリが『東方見聞録』みたいである。本当にこの店で合っているのだろうか? エレベーターに乗り込む。2階……3階……そして、エレベーターの扉が開いた瞬間、ま、まぶしい!
暖簾に『億万鳥者』という文字があるため、確かにここで間違いはないようだ。しかし、書いてようが書いてなかろうが、常軌を逸してキラキラの扉と内から漏れ出る光が主張している。「ここが億万鳥者である」と。なんだこの圧は。
・扉の向こう側
おそるおそる扉を開けると、フロントには金の延べ棒的なものが積み上げられていた。盆栽も金ピカ、フロントの前に置かれた椅子も金ピカ。
ここまで来るともう言うまでもないことかもしれないが、もちろん席も金ピカだった。我々が案内されたのは、2組分のテーブルがある個室だったのだが、壁も天井も一面金・金・金!
そんな席に着いたところで、ここまで案内してくれた巫女姿の店員さんが言う。「おかえりなさいませ、ご主人様」と。なんだこの嘘臭さは。
・シャイニングもなか
注文はLINEでする形なので、QRコードから友達登録をして、メニューを選んでいると、謎の箱を持ったスタッフがやって来る。ん? まだ注文してませんが? と、思うが早いか、謎の箱を開けるスタッフ。箱からあふれ出すカラフルな光! こ、これは……!!
最中(もなか)とのこと。
すみません、もう帰っていいスか? どうやら、お通しのようでメニュー名は「年貢(380円)」らしいが、もなかを箱の中からライティングして輝かせる意味は全く分からない。
しかし、輝くもなかを見ているだけで「もう何も怖くない」って気分になってくるから不思議だ。何もかもどうでもよくなるほどにバカヤローなオーラが漂っている。
・価格は庶民
そんなシャイニングもなかはさて置き、料理は普通にウマかった。「貴族の遊び 燃える鶏の丸焼き(1780円)」はマジで鶏一羽まるまるだし、「黄金の和牛肉寿司(1280円)」はうに、キャビア、いくら、トリュフが乗っていて豪華。
激安というわけではないが、居酒屋価格としては普通くらいのコスパだ。「黄金のチキン南蛮(780円)」や「フライドポテト 平民盛り(580円)」などの安めのラインナップもちゃんとある。良かった。価格まで億万長者設定ではなくて。
なお、メニューにも「運試しサワー(480円)」など、遊びが感じられるものが。これはおみくじを引いてその結果でグラスの大きさが変わるもののようだ。って、大吉デカすぎだろ!
ゆうたろう(ものまね芸人)かよ! 当たりはもはやネタの領域にしてくる店なので気をつけろ。そんなこんなで宴もたけなわ。最後にトイレに行ったところ……
ま、まぶしい!!
なんと便器まで金ピカなのであった。もうエエっちゅうねん! やめさせてもらうわ!!
・むしゃくしゃした時に
最後までボケ倒してきたこの店。随所に散りばめられたバカヤローっぷりに全てがどうでもよくなったのであった。今なら何でも許せる気がする。ひょっとしたら本当に億万長者ってこんな気持ちなのかもしれない。
さて置き、ある意味、心に余裕は生まれる店なので、むしゃくしゃした時に行ってみると予想外の効果が得られる可能性がある。客も意外と入っていて盛況っぽかったので、世の中むしゃくしゃしている人が多いのかな。
・今回紹介した店舗の情報
店名 億万鳥者 新宿本殿
住所 東京都新宿区新宿3-36-12 杉忠ビル 4F
営業時間 17:00~23:30
定休日 無休