立ち食いそば不毛の地である調布駅。広場でマルシェとか開かれてる感じのオシャレな駅前には立ち食いそば屋がない。カフェは何軒もあるのに。
再開発が進む街は綺麗だが、若干、居場所に困った私(中澤)。古びた串揚げ居酒屋に入店したところ、ここがなかなかの穴場であった。
・異彩を放つ居酒屋
その串揚げ居酒屋とは駅前ロータリーにある『ふくろう』。年季の入った黄緑の外観が、キラキラした駅前にあって異彩を放っているように感じたが、それもそのはず13周年のようだ。13年前と言えば、線路やホームが地下化する前か。私が入りやすかったのもオシャレになる前の調布の空気が残っていたためかもしれない。
・ランチメニュー
で、なんで店を探していたかと言うと、とりあえず昼ご飯を食べたかったから。そこでランチメニューの券売機を見ると串揚げ屋感はなく、代わりにそばが結構充実していた。確かに、そばという赤提灯は出ていたが……
価格は「かけそば(税込み430円)」「もりそば(税込み530円)」「ざるそば(税込み550円)」という感じ。天ぷらは「かき揚げ(税込み120円)」「舞茸天(税込み120円)」「茄子天(税込み120円)」などが揃っていて普通に立ち食いそば屋として使えそうなラインナップだ。
しかも、セットにおいても、生姜焼き丼セット(税込み680円)、鶏南蛮丼セット(税込み690円)、かき揚げ丼セット(税込み600円)、舞茸天丼セット(税込み600円)、エビ天丼セット(税込み750円)、鮪山かけ丼セット(税込み800円)とバリエーション豊か。
・マジで野菜たっぷり
そんな中で私が惹かれたのは「野菜たっぷり担々麺(税込み800円)」。これ、中華麺・そば・うどんから選べるらしい。冷しのようなので、そばをチョイスして注文してみたところ、マジで野菜の山が来た。
「野菜たっぷり」と書かれているメニューで本当に野菜たっぷりだったのは初めてかもしれない。なにせ、麺が見えないレベルで野菜が盛られている。
しかも、生野菜だけではなく、カボチャやレンコン、パプリカは素揚げにされていて串揚げ屋オーラも。その食感の違いのためか、野菜だけを食べていても味に彩りを感じる。
・ジャンクうまい
さらに、野菜の下には肉そぼろが隠れていた。つゆはゴマダレ。これはもう風味を味わうというより、混ぜてガツガツいくのが流儀のヤツだろう。
そう言えば、そばと一緒にラー油の瓶もつけ添えられていた。そこでラー油をぶっかけて混ぜた上で食べてみたところ……
たまらぬッ!
ゴマダレのまろやかさの上からラー油のピリ辛が支配する味は、さながら幾重にも塗り固められた油絵のようなコクだ。日本語の用法的に正しいかは置いておいて、ニュアンスだけで言葉にするならば、コクの主張が重い。ジャンクうまい! 止まらねェェェエエエ!!
・調布駅前のオアシス
具だけではなく、そばも普通にボリューミーなので大満足であった。800円は高く見えるかもしれないが、食べた後に後悔はない味とボリューム。なかなかの穴場だ。
ちなみに、店長に話を伺ってみたところ、夜は基本的には串揚げ居酒屋として営業しているとのこと。そばも一応あるが、居酒屋メニューが中心となるようである。
外観はバリバリ串揚げ居酒屋な『ふくろう』。ゆえに、立ち食いそばファン的にはノーマークな人も多いかもしれないが、変わってゆく調布ロータリーに佇むその姿も味がある。ひょっとしたら、調布駅前において立ち食いそば放浪者のオアシスになりうるかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 ふくろう
住所 東京都調布市布田1-41-1
営業時間 月~土 朝食・ランチ7:00~15:00、ディナー17:00~23:00、日・祝日 ランチ11:00~15:00、ディナー17:00~23:00
定休日 不定休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.