学業の成績は学生の「外見の魅力度」によって左右されてはならないはずですが、スウェーデンの工学部修士課程に通う約100人の学生を対象にした研究によって、対面授業では男女問わず魅力度が高い学生の成績が良くなることが判明しました。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリモート授業への移行によって魅力度の高い女子学生の成績が感染拡大前と比べて下落したことも明らかになっています。
Student beauty and grades under in-person and remote teaching – ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.econlet.2022.110782
スウェーデンのルンド大学で経済学を研究するAdrian Mehic氏は、74人の審査員を募集してスウェーデンの工学部修士課程に通う約100人の学生の「顔の魅力度」を求め、魅力度と学業成績の関係を調査しました。
調査対象となった工学部修士課程の必須科目を、テストの得点で成績を決定する「定量的な科目」とグループ課題や口頭発表を評価して成績を決定する「非定量的な科目」に分類した結果、対面授業が行われていた2019年度には「定量的な科目」では魅力度と成績に相関関係は確認されず、「非定量的な科目」では魅力度の高い学生ほど成績が高くなる傾向が確認されました。「非定量的な科目」は「定量的な科目」と比べて教員と学生が相互作用する機会が多いことから、Mehic氏は「教員が学生の顔を見る機会が多い科目では、魅力度と成績に関連が生まれる」と考察しています。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大によって対面授業からリモート授業に以降した2020年度にも同様の分析を行った結果、「非定量的な科目」において魅力度の高い女子学生の成績が低下し、魅力度の高い男子学生は対面授業の成績を維持したことが確認されました。リモート授業では対面授業と比べて教員と学生の相互作用が減少することから、Mehic氏は「女子学生における魅力度と成績の関係は主に教員による差別が影響している」と推測しています。
また、魅力度の高い男子学生の成績がリモート授業への移行後も高かった理由について、Mehic氏は「魅力度の高い人物は社交的な性格であると認識されやすい」という研究結果を元に、「非定量的な科目ではグループ課題を与えられる頻度が高く、社交的な性格であると認識されることが成績向上に影響した可能性がある」と指摘しています。
この記事のタイトルとURLをコピーする
・関連記事
大学の勉強は将来を約束するのか調査してみてわかったこととは? – GIGAZINE
高成績の生徒が多い学校が必ずしも優れた教育を行っているわけではない理由としての「選択バイアス」 – GIGAZINE
「勉強したらお金を払う」という教育方法は有効であることが実験で示される – GIGAZINE
大麻の使用は大学生の学業成績にどのような影響を与えるのか? – GIGAZINE
家計収入によって脳の構造が変化して学業成績に影響することが明らかに – GIGAZINE
・関連コンテンツ