犬は平均して89個の単語やフレーズを理解するという研究結果があるように、犬には言葉を覚える能力が備わっていることが知られています。そんな犬の中でもごく一握りの天才犬を集めた研究により、賢い犬は1つの共通点があることが突き止められました。
A comparison of personality traits of gifted word learner and typical border collies | SpringerLink
https://doi.org/10.1007/s10071-022-01657-x
Gifted dogs found to be more playful
https://phys.org/news/2022-08-gifted-dogs-playful.html
‘Gifted’ Dogs Seem to Have This One Characteristic in Common : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/gifted-dogs-seem-to-have-this-one-characteristic-in-common
犬の中には、他の犬より多くのおもちゃの名前を素早く記憶し、長期間覚えておくことができる個体がいます。研究者の間で「Gifted Word Learners(GWL)」と呼ばれているこうした犬の特徴を調べるため、ハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究チームは、GWLの性格を普通の犬と比較する研究を実施しました。
研究には、GWLのボーダーコリー21頭と一般的なボーダーコリー144頭の飼い主が参加しました。各グループの犬の年齢は生後10カ月以上、平均して5歳前後で、オスとメスの割合や去勢もしくは不妊手術を受けている割合も各グループで同じになるように設定されました。犬種がボーダーコリーに統一されたのは、牧羊犬であるためほかの犬種より賢く、GWLの犬のほとんどがボーダーコリーなのが理由です。
研究チームが飼い主たちに、多くの研究で犬の性格を測定するために使用されているDog Personality Questionnaireというアンケートを実施したところ、GWLの犬たちには「遊び好き」という共通点があることが判明しました。GWLの犬たちが持つさまざまな性格の中で、遊び好きだという特徴は唯一の共通点だったとのことです。
興味深い点としては、ギフテッドと呼ばれる才能に恵まれた人間の研究でも、そうした人が遊び好きだということが示されていることが挙げられます。ギフテッドの人は概して経験に対してオープンな性格を持っており、これは目新しいもの好きな性格や知的好奇心と関係しているため、経験に対するオープンさは遊び心に近いものだと研究チームは指摘しました。
また研究チームは、この研究を才能と性格の関連性についてのさらなる研究につながるものだと位置づけており、将来的には「才能が遊び心をかき立てるのか、遊びが学習へとつながっているのか」がテーマになると考えています。
例えば、遊び好きな犬は人間とのアイコンタクトを身につけるのも早いことが分かっており、飼い主と早期にコミュニケーションを確立させるような賢い犬がよく遊んでもらうことでさらに遊びが好きなっていく可能性があるとのこと。また、遊びが好きな素質を持っている犬は飼い主とよく遊ぶため、これが学習の機会の多さにつながっているとも考えられます。
論文の共著者でエトヴェシュ・ロラーンド大学の倫理学部長でもあるÁdám Miklósi氏は「この研究は、犬が持つ極めて高レベルの遊び心と、おもちゃの名前といった言葉を学習する才能の間には関係があることを示しています。ただし、これは遊び好きなら賢い犬だという意味ではないことに注意が必要です。もちろんその可能性も排除されませんが、ギフテッドな犬が遊び好きなのは、愛犬とおもちゃで遊んでいる内に飼い主が『この子は遊び好きだな』と感じるようになったということもあり得るからです」と話しました。
研究者らはさらなる研究のため、うちの愛犬は物やおもちゃの名前を10個以上覚えられるという人に、Genius Dog Challengeのサイトの問い合わせフォームから連絡をするよう呼びかけています。
Home – Genius Dog Challenge
http://geniusdogchallenge.com/
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