エリザベス女王の国葬に合わせ、カナダも19日が喪に服す日となり、政府関係者は祭日となりました。ただ、民間はどうするのか判断はそれぞれに任せるとなっています。銀行は開業の見込みで一般企業は戸惑いもあるようです。突然決まった喪に服す日で情報も周知されておらず、「休みにしようか」「休めないよ」と様々です。天皇陛下が参列される話もあまり話題にならず、むしろ、日本は日本の国葬の参列者の出欠で盛り上がり見せますが、さて、日本の公官庁、会社や学校はお休みになるのですかね?
では、今週のつぶやきをお送りします。
弱気に戻った株式市場、目先底打ちのサインにも見えなくはないが
先週、私は強気でした。が、CPIの発表で期待ほど物価が下がらず、その後、弱気一辺倒のまま週末となりました。金曜日の北米市場はFedexショックといってよいでしょう。前日引け後に決算見通しが出せないほど散々な状態と公表し、株価は一時24%も下落、これに連鎖反応が出ています。ハイテク関連もグーグル、メタ、エヌビーダは年初来安値更新です。Fedexはコロナ禍の物流の中心的存在でつい先日まではウハウハだったはずです。今般、船便の料金も5割、6割下落とされる中で物流業界の大逆流は気になります。
来週21日のFOMCでアメリカの政策金利がどれだけ上昇するのか着目されますが、私はそれよりも企業業績がどう見込まれるのか、そちらに目線が移ってくるかと思います。パウエル氏は市場に多少痛みがあっても物価鎮静化を図るというスタンスでその純粋な気持ちは評価しますが、我々市民生活も企業活動も社会環境の急変について行けないことはコロナを経験した我々が一番わかっているはず。にもかかわらず、今回、社会がついて行けないスピードで金利だけが独り歩きする現状は世の中を混乱させるに十分な破壊能力があります。
例えば物価の内訳では食糧が上がっていますが、これは金利とは関係なく必要なもの。また住居費が上がったとされますが、それは住宅を買う予定の人が購入を見合わせ、賃貸市場が潤うために値上がりしていることもあります。とすれば日本以外の中央銀行が利上げに忙しいわけですが、経済と市民生活との歯車がかみ合っていないように見えるのです。自動車価格もどんどん上がっていますが、供給が追い付かないのが理由なのに経済学の供給面からすれば金利が上がれば設備投資はしにくくなります。では金利上昇で需要は弱まるのかといえばコロナで2年半も積みあがった潜在需要はそう簡単に下がりません。私の頭の中はグルグルと解けない問題の問答状態です。
国家運営、外交より内政
欧州の女性首相の一人だったスウェーデンのアンデション首相が辞任しました。彼女は中道左派として政権をになっていましたが、選挙で右派の勝利となり、政権交代となりました。ただ、国を二分するほどの接戦で今後はまだ見通せません。25日のイタリア総選挙では極右政党FDIのメローニ党首がリードし、同女史が首相になるのか注目されています。同国は勝てば首相ではなく、大統領が指名するかですが、イタリアがここにきて極右に舵を切ることを良しとするのか、こちらも国内は荒れそうです。
注目された習近平氏とプーチン氏の会談は習氏がウクライナ問題についてスルーしたというニュアンスの報道が流れています。つまり、協議どころか議論すらしなかったという訳でそれは国際社会における中国の孤立化への配慮と解説されています。私はそれ以上に中国共産党大会における国内の力関係に配慮したのではないかと思っています。もっとも本当に議論をスルーしたのか、事実が隠されているのか、ここは闇の中です。
一方、バイデン大統領は再びポイントゲットしました。計画されていた鉄道貨物の組合のストライキ突入を阻止、妥結に導きました。仮にストとなれば物価上昇、国内混乱に拍車をかけたかもしれず、これは高い評価ポイントになるでしょう。また3年ぶりに開催されているデトロイトのオートショーにも自ら参加し、EVに乗り込みアピールに余念がありません。中間選挙の行方は事前予想を覆す勢いが出ています。結局、何処の国も国内情勢で手いっぱい。それは分断化する国民の立ち位置に対して政権が苦心している現れです。渦中のプーチン氏のロシアも同じです。そんな中、岸田氏は内政でポイントゲットできるでしょうか?
ゲームはPCで。ここにも専用機に逆風か?
ゲーム専用機の旗色がイマイチのようです。任天堂スウィッチ、ソニープレイステーション、マイクロソフトXBoxが世界の専用機市場の中心的存在でしたが、この数年、確実にゲームの主軸がPCに移ってきていました。PCといっても家庭で使うPCとゲーミングPCの両方があります。ゲーミングPCはより高速処理ができてグラフィックボードを搭載してリアル感を増すようハイスペックとなっています。
ゲームの専用機については数年前「それぞれ別の生き方」と楽観視する向きも多く、専用機市場は消えないというコメントをこのブログでも頂いていましたが、時の流れは少しずつ変わってきているようです。ソフトもPC向けが過半を占めるようになり5年後には全く違う絵図があるかもしれません。専用機の問題はゲームが複雑化し、より高性能が求められ経済性とのバランスが悪くなっていることです。専用機メーカーがコアなファンのために今後もハードを開発してもソフトがついて行かなければこの世界も厳しいでしょう。
スマートフォンはデジカメをはじめ、様々な専用機市場を破壊しましたがそのキーワードはハードとソフトの融合でした。ゲーム機もまったく同様の道を歩みつつあります。ではその次は、といえば自動車だと思います。自動車というハードウェアがソフトウェア主軸になるまでさほど時間はかからないとみています。ホンダがソニーと手を組んだのもハードとソフトの融合を求めたからです。もちろん、昔ながらのスタイルを愛すコアなファンは残りますが、世代という壁は乗り越えられないでしょう。大ヒットしたクライスラー300Cがデトロイトモータショーで最終モデルを展示しました。485馬力の大型セダンもこれが最後、時代の変化を感じさせます。
後記
異業種交流会を開催したところ、日本からの留学生、学生が多く参加されていました。そこから聞こえてきた声は「何をしてよいかわからない」。それを私に聞かれても私も答えられません。あるいは「マーケティングを勉強しています、なにか職はありますか?」と。マーケティングそのものを理解しているのか疑問です。エスカレーターに乗れば自動的に社会人の年齢になります。でも自分が何段階段を登ったかはわかりません。一方、階段を登った人は苦労しますが軌跡は分かります。ただ今の時代、苦労も汗も流行りません。私ならエスカレーターを歩いて昇れというのでしょうかね?それぐらい世の中は激変しています。確かに言えることは足を止めてはダメということでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年9月16日の記事より転載させていただきました。