安倍派の後継者は誰か?

アゴラ 言論プラットフォーム

「和の国チャンネル」という田中英道先生などの番組を多く出しているところで、「安倍さんはなぜリベラルに憎まれたか 地球儀を俯瞰した世界最高の政治家」(ワニブックス)でいいたかったことを10分ほどにまとめて私から紹介をさせていただきました。短いですからぜひご覧下さい。

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また、深田萠絵TVでは、「安倍派を継ぐのは●●議員だ!!」を公開しています。

すでに同時に収録した二本の番組は、「深田萌絵さんと対談:安倍さんの人柄と憎まれる理由」「旧統一教会と南北朝鮮と国連、自民党の複雑な関係」で紹介させていただきましたが、第三弾です。

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その要旨を、現時点での状況を補足して紹介します。

どうなる清和会?

安倍派がどうなるかですが、正確にいえば清和会についてのことです。岸信介さんの派閥が首相辞任後に解散して、一部は川島正次郎さんや椎名悦三郎さんの派閥になりましたが、大半は福田赳夫さんの派閥となりましたが、これが清和会で、かつて李王家の宮殿だった赤坂プリンスホテルの旧館にありました。

その後、安倍晋太郎さんに大政奉還されましたが、その死後は、三塚派、森派、町村派、細田派と変遷してきました。小泉純一郎さんや福田康夫さん、安倍晋三さんは首相でしたが派閥の領袖ではありませんでした。

安倍さんが前回の総裁選挙で高市早苗さんでは派閥をまとめきれなかったのは、そのためですが、そのかわりに、泥臭い話からは距離を保てました。旧統一教会との接触もあまりしなくてよかったのは、そのためです。

安倍さんの次はということになると、かつては、松野博一、稲田朋美、萩生田光一、下村博文などという名前を安倍さんが挙げたことがあります。

ただ、安倍さんの晩年には、次の総裁候補を出すとすれば、西村康稔か萩生田光一かとかいわれてきました。

西村康稔元コロナ担当相は、岳父が岸信介氏の議席を継承した吹田晃氏でが、自民党候補に対抗して出馬したとき、拉致問題に熱心に取り組んでいた人を落とせないと、官房副長官でありながら応援に入りました。コロナ特命相として、経済産業官僚らしい柔軟さで、財務官僚で手堅い加藤勝信厚労相と安倍さんの大胆な人事で名コンビを組み、ワクチン接種開始までの難しい時期を、小池百合子都知事のスタンドプレーや医療界の硬直さと戦いつつ見事に乗り越えました。

萩生田さんは、馬力と行動力、そして根回しの巧みさで群を抜いており、保守派の期待を一身に集めてきました。まさにたたき上げで、八王子の市会議員時代から、安倍さんが目を掛けてきた人です。ただ、ここに来て、旧統一教会との濃い関係、しかも、創価学会にとって準本拠地ともいえる八王子市のことだけに、ちょっと痛いところです。もっとも、萩生田さんのような世襲議員でも官僚でもないたたき上げの人にとっては、秘書にまかしたりできないのは辛いところですが、一歩後退です。

そこで、第三の男として注目されているのが、松野博一官房長官です。松下政経塾出身で目立たないがまとめ役としては最適といわれてきました。政経塾出身だけに野党にもパイプがあって、面倒見がよいとして信頼抜群です。記者会見は誠実にこなし官邸記者の評判はいいし、テレビには原則出ないということで縁の下の力持ちとして岸田総理を支えていますので、派閥に戻ればまとめ役として浮上するでしょう。

下村さんは、立派な見識の方であることは文科相として示されたのですが、経歴的にも菅義偉さんに似ているので、損をしたと思います。

世耕弘也自由民主党参議院幹事長は、参議院議員から衆議院への転出を狙っていますが、二階俊博さんの選挙区だけに簡単ではありません。夫人は元民主党参議院議員だった林久美子さんです。

安倍さんは、「日本で初の女性総理となるのは稲田さん」といったことがあります。「南京事件百人斬り競争」というでっち上げ記事糾弾の裁判で弁護士をしていた稲田さんの講演を聴いて、「華がある」と郵政解散のときに刺客として擁立しました。

LGBT問題などで伝統的な価値観に軸足を置く路線をとり、保守派からは批判されましたが、夫婦で働きながら二人の子どもも立派に育てた伝統的な家族の実践者でもあり気の毒だという気がします。安倍さんは丁寧に議論を繰り返し、保守派との和解の道を探り、自民党総裁選挙で稲田さんが安倍さんが支援する高市早苗さん支持を決断したときには、Twitterでその喜びを書き込んだほどです。リベラルにも受ける要素がある人という流れになれば再浮上も可能だと思います。

高市早苗さんは、安倍さんの生前に派閥に復帰できなかったことが痛いところで、後継者というのは難しいでしょう。むしろ自分で力をつけて、独力で総裁選挙に名乗りを上げることが出来るなら、安倍派が高市支持派と岸田支持派に分かれるとかいったかたちで浮上するシナリオだろうと思います。そこでどこまで健闘できるかが鍵です。

福田達夫さんはプリンスとして5年以上のちの総裁候補と言われます。統一教会問題で、最初に「何が問題か分からない」と強気に出て、すねに傷がある議員から弾よけによってくれると評判を上げたのですが、腰砕けになったので大臣にはなりそこねるのとダブルパンチ。最初の「問題ない」というのも言い過ぎですが、選挙で絶対に落ちない立場なのだから、弾よけくらいにはならないと一皮剥けないでしょう。

さらに、「いま安倍さんが生きてたら一番総理にしたいのは派閥外だが、茂木敏充幹事長でしょう」といったら、保守派の視聴者から嵐のような抗議を受けました。

安倍さんが茂木氏の仕事師としての能力を高く評価していたのは周知の通りです。内政でも外交でも期待した以上の結果を出すといって評価していました。

保守派は、河野太郎外相のように、派手で挑発的な言動をしないのが不満なのでしょうが、外相が相手を侮辱して感情的に反発させるなど愚の骨頂です。外交を憂さ晴らしのタネにしたい人には、外交を語るべからずです。安倍さんが素晴らしかったのは、敵対しても相手の首脳個人を怒らせるようなことは言わなかったことです。

ついでですが、幹事長と政調会長という立場では衝突した高市早苗さんだって、それ以前は私にも、茂木氏のことを非常に評価していることをいっていました。

統一教会問題

動画の後半は統一教会問題ですが、これは前2回でも扱ったので、これだけ取り出すとマイナーな問題しか扱ってないし、しかも、自民党の調査結果と今後の方針が出る前なのでちょっと前提が違います。

ここで触れたのは、ひとつは、地方政治家などで、有力支持者のひとりがたまたま関係者だったとかいう人などが、必要以上に攻撃されないように配慮することが総理などには必要だということです。

岸田総理の発想は世襲で地盤も安定して、支持者を選択出来る、少しセンシティブな問題は秘書にまかせられるという国会議員の視点です。地方議員などは支持者を簡単に選別できません。

今後の接触は断つというのは賢明だし、党からの指示を理由に謝絶しやすくもなるが、過去の問題について本当に責められるべきなのは、たとえば、前川喜平さんの甥のように、教団の施設で、教団主催で激励集会開いてもらい出席してもらったというような輩で、そういう人たちの責任を薄めるためにあまり広汎な地方議員まで道連れにするのは如何と思います。

あとは、日韓トンネルの問題で、これについてだけは、関係者だといわれる人が気の毒です。構想は戦前の日本政府の構想であって九州などにとっては、メリットの大きい話でありました。嫌韓ムードが高まる中で、それどころでないが、かつてはむしろ韓国で日本帝国主義の侵入の突破口になるから反対という人が多かった話で、それに賛同したからといって旧統一教会関連団体の云々という話ではありません。

なにしろ韓国とはしばらくできるだけ関わりたくないのが現状ですが、長い目で見れば、いずれ北京とソウルは新幹線で結ばれるでしょうし、放置して半島を中国の勢力圏にされてしまうのが賢明かどうかは疑問でありますし、そうした場合のひとつのアイディアとして何も悪いことでなく、将来的には、彼らと係わりのない推進母体があって欲しいと思います。

反共、改憲、スパイ防止法、日韓トンネルなどは、統一教会の主張だからそれに賛成する人はシンパだというなら、平和、南北統一、SDGs、ウクライナ支援、アフリカ援助、環境などどにも統一教会は熱心だから、同じようなこと主張してる宗教団体なんぞ類似宗教団体ということになります。在来仏教や日本のキリスト教はみんなそういうことでしょうか。

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