ゲゲゲの鬼太郎でおなじみの一反もめんは、鹿児島県に伝わる妖怪である。
夕暮れ時に回りながら宙を舞い、人を乗せたまま空へ飛び去ってしまったり、首に巻きついたり顔を覆ったりして人を襲うのだという。
おそろしい。
また、一反もめんの一反とは、おおよそ長さ約10.6m、幅約30cmで、かなり細長い。
そんなに長い布が宙を舞うところ、人をさらって空高く飛び去ったり、首にまきついて襲ったりする姿はどんなものなのかアニメではなく、現実の世界でみてみたい!
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一反もめんをつくる
それではさっそく鹿児島まで行って本物の一反もめんを撮影しに行こう!
などと言っても撮れる可能性は極めて少ないので、今回は泣く泣く等身大一反もめんを作って代用することにする。
まずは一反もめんと同等の長さ10m、幅30cmのさらしを用意。
これに目と手を付けて、宙を舞わせられるように竹竿にひもで括りつけたら完成である。
なんとなくベッドにもたれかかるエマニュエル婦人のようになってしまったが、等身大一反もめんの完成である。
これで一反もめんが宙を舞ったり、人を乗せたり、首に巻きつく姿を再現してみよう。
一反もめんの長さを実感すべく広い道へ
街にあるものと長さを比較するために、ひと気の少ないところにやってきた。
しかし等身大一反もめんは想像したより長く、人や車を避けて歩いているとすぐ絡まってしまいうまく比較できない。
また一反もめんは絡まるだけでなく、すぐに巻き付いてくる。このあたりが長い布が人を襲う妖怪と例えられたゆえんかもしれない。
この時点で人を襲うところを再現できたようにもみえるがただ絡まっているだけである。
ここでは埒が明かないので人や車とぶつかる可能性のない広いところへ移動することにした。
一反もめんに翻弄されるままに歩いていたらどんどん墓場に近づいていったのもちょっと怖かったし。
一反もめんが飛来するところをみる
撮影でよく利用する海辺の展望台へやってきた。ここならひと気も少なく自動車もないので安心だ。
一反もめんの長さと高さ9mの展望台を比べてみよう。
一反もめんを縦に伸ばすと、この展望台よりも1m高い。展望台のうえから一反もめんと垂らすわけにはいかないので、あなたの心の目で一反もめんを縦にして比べてみて欲しい。
展望台の下にある砂浜に移動。ここで一反もめんが宙を舞うところを再現してみよう。
果たして長さ10mもの布が、頭からしっぽまで完全に宙を浮かせられるだろうか。
この日の海辺は風が強く、一反もめんは舞い上がるものの、長すぎて完全には宙を舞わない。
展望台からこちらを見ている人たちがみえた。この人たちにも一反もめんが完全に宙を舞っているところを披露したいという気持ちが湧いてきた。
風の力だけでは舞い上がらないので、走ってみることにする。
しかも、うねうねと波うっており本物の一反もめんのようではないか!
これが現実世界で一反もめんが飛ぶところだーー!
人をさらって空へ飛び去る一反もめん
つづいては、一反もめんが人をさらって空へ飛び去るところを再現したい。
ここからは、しばし物語風にいってみよう。
妖怪をとらえて一儲けしようとたくらむねずみ男のような人間に、しっぽをつかまれてしまった一反もめん。
危険を感じた一反もめんは、人間を乗せて空高く飛び上がった。
ショッキングな映像をみせてしまってすまない。実際はこのように撮影されており、決して危険なものではありません。
一反もめんは夕暮れに現れる
最後は一反もめんが人の首に巻きついて襲うところを再現してみよう。
ここからもまた、しばし物語風に展開する。
空高く連れ去られ、痛い目に遭ったにもかかわらず、懲りずに一反もめんを捕まえにきた人間。
その人間にまたしても、捕まりそうになる一反もめん。
危険を感じた一反もめんは、人の首に巻きつきギュウギュウと締め付けはじめた。
これが、一反もめんが首に巻きついて人を襲うところだ!!
一反もめんを操っているのは、撮影中に近づいてきて興味深げにみていた通りすがりのおじさんである。
人手が足りなかったので、一反もめんを持ってくれないか頼んだところ「正面から顔を写さないならいいよ」と言って引き受けてくれたのだ。
撮影中このおじさんは、自ら布を首に巻きつけている私をみながら何を思っていたのだろうか。
一反もめんは思ったよりも長い
念願の一反もめんが飛ぶところがみれた!
今回等身大の一反もめんを作ってわかったことは、想像していたよりもはるかに長いということである。
それは、急遽撮影を手伝ってくれた通りすがりのおじさんに、「実際に一反もめんをみてみてどうですか?」とたずねたら「んー…長すぎだね」と言っていたことからもあきらかである。
くりかえしになるが、今回わかったことは一反もめんは長いということである。
一反もめん、長すぎだぞ!