きもだめしはこちらです。
蒸し暑い夏の夜、過ごしづらいですな。そういうときに体の内側からヒンヤリしようとする夏の風物詩、きもだめし。
僕が所属する関東国際大学学内サークル「ジョイナス」できもだめし大会を企画してみました。もちろん僕はお化けの格好をする側です。
頑張ってみんなをおどろかしちゃうぞ!
※2006年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
コース紹介
終電も過ぎ、明かりも消えようとしているJR埼京線はとある駅。関東国際大学のサークル「ジョイナス」納涼きもだめし大会はここから始まる。
新入生歓迎会のときもそうだったが(参照)、今回も看板を作ってみた。
「きもだめしだから血文字だな」と思っていたら、ついうっかりサークル名を血文字にしてしまった。「きもだめし大会」のほうを血文字っぽくしたほうがよかったかもしれない。ジョイナスは血とは無縁な楽しいサークルです。
そんな感じでスタート地点には僕が立っているのだが、きもだめしに参加する人たちはここを出発してボートコースへと向かってもらう。
水辺には霊的なものが引き寄せられるらしい。
このボートコースにまつわる逸話としてこんなものがある。高校のときボート部に所属していた僕の友人がここで練習していたとき、水の中に邪魔なものを見つけたそうだ。とりあえず引き上げてみると、なんとそれは老人の亡骸だったのだ。散歩中に誤って足を踏み外して転落してしまったであろうその老人の霊が、今でもあたりを徘徊しているとか・・・。
おそろしい。
高校のときボート部に所属していた友達なんて僕にはいないのに、どうしてこんな話を知っているのだろうか。おそろしい。
続いて参加者にはボートコースの横を通ってスロープを登ってもらう。
そのスロープの途中には怪しげなノートが放置してある。無視せずに拾ってみよう。
ノートを拾って中を開いてみると、暗がりで見にくいが赤いペンでこんな風に書いてある。
やはり無視せずに指示に従ってみよう。きもだめしやお化け屋敷の企画者が一番怖いのは指示に従わない乱暴者である。後の人を考えて素直に従いましょう。・・・なんて冷静だったらきもだめしとしては失敗か。
で、
指示のとおり
後ろを見ると…
そこには!!
「ををを・・・」じゃない
こんな感じでお化けの格好をして待機していようとしたのだが、実は正直困っていた。
実際びしっと静止して写真を撮ると以下のようになる。衣装の生地が薄くて服がスケスケだ。
青いラインが入ったポロシャツを着てるってことがばれてしまって恥ずかしい。白いの着て来ればよかった。いや、問題は服の色ではなく、透けているということだ。
東急ハンズにて2000円程で調達した衣装だったが、まさかこんなにスケスケだとは。説明イラストにはフレンドリーな感じのおばけが描いてあったはずなんだが。
本気で幽霊のような格好をしようとも考えたが、お盆真っ最中なのでそれは控えた。なのでフレンドリーなイラストのこの商品を選んだ結果が、これではどうしようもない。
が、まあ、そんなに落ち込んでもいられないので、いきなりだが秘密兵器の投入でもしてみよう。
同じく東急ハンズで買ってきた「ひとだまくん」だ。ひとだまが飛んでいれば、もしかしたらおばけに見えるかもしれない。見えてくれれば。
消えた。
ひとだまくんが灯っていた2分の間はおばけらしく振舞えたであろうか。おばけにしては陽気すぎるかもしれない。
それにしても撮った画像をデジカメで確認すれば服が透けてるし、着心地はただのレインコートだし、不安なことこの上ない。果たして自分はお化けの格好をしていると自認してもいいのだろうか。
心霊写真と言われるものを見たときに本物か否かの判定が行われるかと思う。もしそこに本物の霊が写っているのに、みんなから「これは違うよ」と言われたら、霊としては切ないだろう。なかなか自分から主張できないのがおばけのアイデンティティである。
とまあ、わかったようなわかってないような感じだが、僕はおばけではなく生きている人間だ。何を気にかけているかと言うと、もちろん「こんな格好をしているところ、誰かに見られないだろうか」である。
これでは誰かに遭遇したときおばけとして認めてもらえそうにない。おばけは通報されないが、変な人は通報される。そういう意味で僕は今、おばけになりたい。
深夜なので大丈夫だとは思うのだが、それでも今にも人が通りそうな気がしてしかたがない。
もう諦めて帰ろうと、衣装を脱ごうとしたそのときだった。
ユーレイ登場?
なんと、おばけの衣装が突然ばたばたと動き出したのである。
これはまずいと思い、必死に捕まえようと格闘した。
ばたばたと飛び去ろうとするので、生地の(体の?)端を掴んでぐっと押さえ込むようにして、何とか捕まえることができた。なんと僕はユーレイを捕まえてしまったのである。やったー。
「放してくださいよー・・・」
力無く声を出すユーレイを改めて見つめてみた。・・・あれ?
よくよく確認したら、僕が捕まえたと思っていたのは我がサークル「ジョイナス」のユーレイ部員、斉藤君であった。なんだ、君だったのか。あんまり見かけないのでユーレイと間違えてしまった。 失敬。
そういうわけで、紹介します。斉藤君です。
彼は結構いいやつなのだが、シャイで存在感がないのが欠点だ。生活が夜型なので色白、小食なので薄っぺらい。紹介するとすればだいたいそんなところだろうか。ユーレイ部員なのであまりサークル活動に参加しないのが困りもの。
僕が部長としてちゃんとサークルに来るよう注意したら、彼は「風の強い日に」と言い残して風の吹くほうの闇夜に消えた。あっちに家があるのか。
結局、今回のきもだめし大会では斉藤君としか会うことがなかった。
とても寂しいことではあるが、考えてみると本物のおばけや霊はそれだけ生きた人間と会うことが少ないということだ。みんなこういう寂しい思いをしているのか。
そう考えると彼らと会える限られた場所であるお墓や、限られた機会であるお盆やなんかは、疎かにせずちゃんとしないといけないんだな、と思った。
・・・と締めくくってみましたが、こんなわけの分からない記事を世に披露する事こそがまさにきもだめしなんじゃないか、と思っております。だいじょうぶか。