【買い物山脈】デザインにほれ込んだ「XPS 13 Plus」を購入、性能やコンパクトなサイズ感に納得

PC Watch

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

デルのモバイルノート「XPS 13 Plus」

 デルの「XPS 13 Plus」は、Intelの第12世代Coreシリーズを搭載するモバイルノートだ。2022年1月に発表されて以来、アルミのかたまりのようなシンプルで美しいデザイン、そして最上段がタッチ式になったユニークなキーボードで大きな話題を呼んだ。

 かくいう筆者も大変気になっていたモデルではあったのだが、ちょうどうまく(?)今使っているモバイルノートの調子が悪くなった。リプレースするならちょうどよいタイミング、ということで購入したこのXPS 13 Plus、実際に出張兼旅行に連れていったときの感触なども含め、使い勝手を紹介していこう。

調子の悪いThinkPadに代わるモバイルはXPS 13 Plus

 つい最近まで利用してきたモバイルノートは、レノボの「ThinkPad T14 Gen 1(AMD)」 だ。筆者は自宅では自作PCに2台の4K対応27型液晶をつなげて作業を行ない、こうしたモバイルノートは、出張先やイベント、旅行先での原稿書きで利用する。

 購入してから2年ほど問題なく利用してきたが、2022年3月下旬の出張で突然起動しなくなり、帰宅するまで利用できなくなった。帰宅後Windows 11をクリーンインストールすることで直ったように思ったのだが、それ以降もスリープできなかったり復帰ができなくなったり充電できなくなったりと、いろいろトラブルが発生した。

こちらは14型液晶を搭載するThinkPad T14 Gen 1(AMD)

左に2個搭載するType-Cの調子が悪く、充電できなかったり、モバイル液晶ディスプレイを利用できなかったりすることがある

 ちょっと早いが「これは買い換え時かな」と思って、一番に候補として考えたのがデルのXPS 13 Plusである。モバイルノートとしては珍しく12世代Coreシリーズの中でも高性能なPシリーズを搭載し、DDR5メモリを採用。パフォーマンス面では文句なしで、ほかのノートPCをレビューする際にもベンチマークの指標として役に立つのではないかという考えがあった。

 そういう実務的な話はともかく、何と言っても格好いいじゃないですか。今までもXPSシリーズはデザインにも注力したモデルではあるのだが、今回のXPS 13 Plusは力の入れようが違う。金属の質感を重視したシンプルでシャープなデザインは、所有欲を刺激する。久々に「欲しいなあ」と思ったノートPCだった。

天板に小さなロゴが入るだけという、デルのノートPCでおなじみのデザイン

タッチパッドの領域をマスクしたパームレストも格好いい。タッチパッドの利用範囲が設定されていないわけではない

 キーボード面はフラットで、タッチパッドは隙間の見えないタイプ。最上段をタッチボタンにしたこともあり、メインキー部分は5段で広く取られており、打ちやすそうだ。12世代Coreシリーズ搭載ノートPCを買うならこれだな、と前から決めてはいたのだ。

 長らくThinkPadシリーズを利用してきたこともあり、ThinkPad T14かThinkPad X13の後継モデルも考えていた。ただ購入を検討した5月下旬の段階では、欲しかったAMDの「Ryzen 6000」シリーズを搭載するモデルは直販サイトでもまだ準備中だった。とは言え欲しいのは間違いないので、結局買うかもしれない……。

 そんな流れでXPS 13 Plusに決めた5月下旬に、日本での発売も決まった。まだ即納モデルはなかったので、BTOのフルカスタマイズモデルをから選択する。ベースモデルでもCPUはCore i5-1240P、メモリはLPDDR5 5200MHzの16GBと、基本スペックは十分高い。ただしストレージは512GBだったので1TBに変更、キーボードも英語キーボードにした。購入金額は22万3,023円。

現在の直販サイトでは、ストレージを1TBに変更すると1万5,840円アップ。さすがに512GBでは足りない

 普段から英語キーボードを利用していることもあって、少なくとも仕事で利用するノートPCでは、英語キーボードが選べるメーカーからしか購入できない。今までよく購入してきたレノボや今回のデルは、そうした選択肢を用意しているメーカーの1つである。

 発注は6月9日で、当初の到着予定日は7月5日だった。しかし前倒しで6月23日には手元に届いた。海外のBTOメーカーだと前倒しや遅れは珍しいことではないが、前倒しだったのはちょっとラッキーだ。

【表】購入したXPS 13 Plusの主なスペック
メーカー デル
製品名 XPS 13 Plus
OS Windows 11 Home
Microsoft Office なし
CPU Core i5-1240P(12コア16スレッド)
メモリ PC5-41600 LPDDR5 4GB×4
ストレージ 1TB(PCI Express 4.0)
ディスプレイ 13.4型(1,920×1,200ドット、非光沢)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth v5.2
主なインターフェイス Thunderbolt 4×2
キーボード 英語キーボード
カメラ IRカメラ
バッテリ駆動時間 非公開
本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
295.3×199.04×15.28mm
重量 1.23kg
直販価格 22万3,023円

タッチキーの機能は変更可能、キーボードバックライトは誤算

 PC Watchではすでにレビュー記事(Alder Lakeを搭載しモダンなルックス、OLEDも選択可能な13.4型モバイル「XPS 13 Plus」)がアップされているので、概略的な部分はそちらを参照してほしい。

 金属製で質感の高い筐体、フラットで透明感のある素材を利用したキーボード面は、最近のノートPCの中でも群を抜くデザインだと感じる。狭額縁デザインを採用していることもあり、液晶ディスプレイは13.4型ながらも非常にコンパクトだ。

 横幅をいっぱいに使ってキーを配置していることもあり、狭苦しさを感じさせない。また5段キーボードということもあり、細くなっていたり、小さくなっているキーもない。自宅で利用しているフルサイズのキーボードとほぼ同じ感覚で利用できる。キータッチは軟らかめだが適度なタッチ感もあり、快適にタイプできる。

それぞれのキートップはかなり大きめで、フルサイズキーボードと同じ感覚でタイプできる

実測値で19mmのキーピッチは十分確保している

 気になっていたキーボード上部のタッチボタンは、標準ではボリュームコントロールや輝度設定などを行なう機能ボタンが並ぶ。そしてキーボード左下部にある「fn」キーを押すと、「F1~F12」キーに切り換わる。筆者は日本語変換にATOKを利用しているため、半角全角変換時に「F9」キーと「F10」キーをよく使う。

 そのため購入する前に、「いちいちfnキーを押すのは面倒かもなあ」と覚悟してはいた。しかしfnキーを押しながらエスケープキーをタッチすることで、タッチボタンの機能をその時点の表示に固定できることが分かった。ようするにタッチキー部分を、「F1~F12」キーに固定できるということだ。

タッチキーには当初各種機能キーが割り当てられている

Fnキーを押すと「F1」~「F12」キーの表示に切り換わる。この状態で固定することも可能

 Fnキーを押すめんどくささはないとは言え、タッチキーなのでタイプした感触がないのは正直違和感がある。メインキーほど頻繁に利用するわけではないとは言え、これまで行なわれてきた同じような試みが結局定着しなかった理由は、やはりこういうところにあるのだろう。

 それとちょっと計算外だったのは、キーボードのバックライトだ。XPS 13 Plusではキーボードにバックライトが仕込まれており、暗い場所でもキートップが明るく見える。……のだが、筆者が選んだ本体色はプラチナシルバーで、キートップも明るいホワイトだ。

 そしてバックライトをオンにすると、バックライトの色がキートップ面とほぼ同系色なこともあり、文字がよく見えなくなってしまう。バックライトをオフにすれば文字は見えやすくなるのだが、個人的にデザインにも寄与する部分ではあるのでちょっと残念だ。

バックライトを付けた状態だと、文字が見えにくい

バックライトを消せばきちんと見えるようになる

 もう1つの本体色である黒に近いグレーを基調とした「グラファイト」だと、バックライトを付けたときにキーの文字が白く浮かび上がるため、見やすくなる。そっちにすればよかったかなとも思ったが、購入したモデルのアルミの質感がとても気に入っているので後悔はない。

 搭載するインターフェイスは、左右にThunderbolt 4を1基ずつという構成だ。必要なものはワイヤレス、あるいはThunderbolt 4やUSBのハブで追加する。デスクトップPCの代わりに使うのではないし、出先では単体での利用が主体となるため、特に問題はない。

非常にシンプルなインターフェイス構成だ。完成されたデザインなので、ごちゃごちゃとした穴を付けたくなかったという気持ちは分かる

新幹線やホテル内でコンパクトさを実感

 ちょうどよいタイミングで出張が絡む仕事が入ったので、今回は出張先の京都まで持ち出してさまざまな作業を行なった。ちなみに筆者は仕事があってもなくても、夏の暑い盛りに京都に出かけ、お気に入りのお店でかき氷を食べてくることを趣味としている(こういう仕事もやります)。

 例によって出発までに終わらなかった仕事を片付けるため、新幹線の座席にあるテーブルに、XPS 13 Plusを載せてみる。すると以前のThinkPad T14 Gen 1(AMD)に比べ、かなり余裕があるように感じる。定宿にしているホテルの小さなテーブルに置いたときも、同じことを感じた。

ホテルの小さな丸いテーブルに置いたときにも、かなり余裕を感じた

 調べてみると、XPS 13 Plusは横幅が295.3mmで、奥行きが199.04mm。対してThinkPad T14 Gen 1(AMD)の横幅は329mmで奥行きは227mmだ。液晶サイズが13.4型と14型という違いはあるにせよ、かなり変わる。

 こうしたサイズの違いは、収納性にも影響する。今回の出張では使わなかったが、短期宿泊時に利用している小型のキャリーケースだと、ThinkPad T14 Gen 1(AMD)を詰め込むのが難しい。いっそキャリーケース自体の買い換えを考えていたのだが、XPS 13 Plusにしてからは、インナーケースを含めてもすっきり収納できる。

ThinkPad T14 Gen 1(AMD)の上にXPS 13 Plusを載せると、幅や奥行きがかなり違うことが分かる

 しばらく前から見やすさを重視して14型パネル搭載モデルを選択していたのだが、XPS 13 Plusの13.4型パネルでも使いやすさや見やすさにはさほど影響はなかった。前述したサイズ感や収納性を考えると、狭額縁でコンパクトな筐体を採用するXPS 13 Plusのメリットは大きいなと改めて感じた。

 薄型デザインながら、作業中には指先に温度をほとんど感じないのもよい。もちろん出張中にはそれほど負荷の高い作業をするわけではないのだが、キーボード面がぬるく温まってくるのはあまり気分のよいものではない。底面に熱が集中している印象もなく、CPUとファンの管理が適切に行なわれているのだろう。

 一般的によく利用されるアプリを実行し、その使用感を数値で示せる「PCMark 10」のScoreは、下記の通り4,183。Ryzen 5 PRO 4650Uを搭載するThinkPad T14 Gen 1(AMD)では3,836なので、性能はアップした。

ベンチマーク結果(PCMark 10)

 とは言え最新のノートPCとして考えるとちょっともの足りない部分があるので調べてみたところ、「Dell Performance」というユーティリティがインストールされており、動作モードが「Optimized」モード(最適化?)に設定されていた。最高の性能を発揮する「Ultra Performance」にすると4,680にまでアップする。

Dell Performanceのボタンで動作モードを変更できる

 とは言え、Optimizedモードでも使い勝手にはほとんど影響はない。Webブラウズや今回のような原稿執筆、動画配信サイトの利用はもちろん、筆者が好きなちょっと古めのストラテジーゲーム、日本メーカーの2Dゲームなどは、問題なくプレイできた。

 またUltra PerformanceモードにするとCPUの発熱が上がるのか、低い音ではあるがファンの音がやや響くようになる。Optimizedモードではほぼ無音であることを考えれば、筆者の使い方ではOptimizedモードで問題はなさそうだ。

高い満足感のある1台、でもRyzen 6000シリーズも気になる

 なんだかんだ言いつつも、モバイルノートは毎年1台は購入している筆者ではある。それどころではなく、2020~2022年は小型ノートPCの当たり年で、1台どころでは済まなかったというのが実情ではあるが、デザイン面ではここ最近で一番ビビッときたモデルだ。そして実機の手触りや質感も極上であり、大きな満足感があった。

 前述したバックライトと本体色がかみ合わないことなど、ちょっとした不満はないわけではないが、よい買い物だったと思う。とは言え、飛躍的に強化されたGPUを内蔵するRyzen 6000シリーズを搭載したモバイルノートが気になっているのも事実ではある。MINISFORUMさんのミニPCで、その世代のRyzenを搭載するモデルが登場することにも期待したい。

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