私たちの4人に1人が、人生においてうつや強い不安などの精神的不調を経験するといわれる。昔とは比較にならないほど豊かな暮らしをしているのに、なぜここまで多くの人がうつや不安に悩まされることになるのか。そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。
世界的な大ベストセラー「スマホ脳」の著者であるアンデシュ・ハンセン氏は、本書においてうつの原因を脳のシステムから生物学的な視点で解説している。本書によれば、私たちの脳は1~2万年前、狩猟採集民だったころと大きく変化していないのだという。脳は、生存し、子孫を残すことだけに特化したシステムを持つ。脳にとって、私たちが精神的に安定して、幸せを感じて生きているかどうかなど、まったく問題ではないのだ。
脳はストレスを感知すると気分を落ち込ませ、身を守るために行動を抑制しようとする。うつ状態は、生存率を上げようとする脳の免疫反応なのだと本書は説明する。気分が落ち込んでくると、「これくらいで情けない」「もっとつらくても頑張っている人もいるのに」などと自分を責めてしまいがちだが、それも脳の防衛システムによる反応だと思えば、気持ちが少し楽になる。
社会や技術が高度に発展した現代を生きる私たちは、自分が「人間」という生物の一種であることを忘れてしまいがちだ。しかし、私たちには身体があり、脳は生物として生存し子孫を残すためのシステムに則って機能しているのだということを本書は教えてくれる。厳しいストレス社会を生きるすべてのビジネスパーソン必携の1冊だ。
今回ご紹介した「ストレス脳」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。