職業&趣味の事情で全国を移動する筆者が密かに楽しみにしているのが、ご当地ソフトクリーム。よく見かけるのはフルーツや野菜、郷土料理など、特産品を題材にしているもの。
ところが先日静岡県で見つけたのは、ぶっちゃけ特産品とはまったく関係ない……が、食べたい! と思っちゃうような珍しいものだったのだ。
金銀ギラギラ輝くソフトクリーム、その正体はなんと本物の金とプラチナであった!
・十国峠レストハウスにて提供
やってきたのは静岡県函南(かんなみ)町にある十国峠レストハウス。ケーブルカー駅も兼ねた建物だ。南箱根の尾根に位置し、富士山がキレイに見える「富士見」のスポットとして人気を集めている。
店内に入るとさっそく「金箔 プラチナ箔 コンビソフトクリーム」の宣伝が目に飛び込んできた。
コンビという名の通り、本物の金箔とプラチナ箔が一枚ずつ使われているのだそう。金箔はよく聞くけど、プラチナ箔って初めて聞いたな。
お値段はなんと税込3500円!! ひょっとすると日本で一番高額なソフトクリームかもしれない。
思わず素で「高っけぇ~~~~!」って声が出ちゃったけど、後ほど運営の方にお話を聞いたところシンプルに材料費が高いのだそう。金に比べるとプラチナは打ち延ばすのが難しく、貴重で高価なんですって~!
ちなみに、金・プラチナ単体での提供もある。金箔ソフトのお値段は1000円なのだが、
プラチナ箔ソフトとなると3000円! 金・プラチナコンビの3500円がちょっとお得に見えるかも……?
ということで、えいや! と勇気を出して金・プラチナ コンビソフトクリームを注文した。
・緊張の調理場面
食券を渡すとスタッフの表情に緊張が走り、そのままの面持ちで木箱を取り出す。中身はもちろん、金・プラチナ箔!
真剣な表情で角をめくるスタッフ。それを見守る筆者。まるでクイズミリオネアの「ファイナルアンサー」後の沈黙みたいな緊張感がただよっていた。
箔の準備が整ったらソフトクリームが用意された。ここからは時間との闘いだ。
まずはプラチナ。薄紙にピッタリと貼りついたプラチナ箔を紙ごとめくり上げ、やさしく、しかし確実に押しつける。
続いては金箔。プラチナと反対側に同じ手順で貼り付けられた。
両方を貼り終え、スタッフにようやく笑顔が戻った。想像すればわかる。1個 3500円。それも溶けやすいソフトクリームの上に、破れやすく高価な金属箔を貼りつけるのだから!
ちなみにプラチナ箔ソフトの注文が出るのは週に1回ほどということ。もしも筆者がスタッフだったならば、自分のシフト中に注文が来ないことをただひたすらに祈るであろう。
・金銀ギラギラソフトクリーム
完成したソフトクリームがこちら! 持っているだけで金運が爆上がりしそうなぐらいに金銀ギラギラと光り輝いている。
ピッタリと貼りついた金とプラチナは想像以上に薄く、見たことはないが天女の衣のようにソフトクリームの形を浮かび上がらせている。
食べるのがもったいないぐらいに豪華だが、ガブっと一口いっちゃいましょう!
……唇が輝いてしまった。これがセレブリティ。
残念ながら食用金属箔に味や香りはない。見た目だけを楽しむものだ。そのため金箔とプラチナ箔は同じ食べ応えなのだろうと予想していたのだが……意外にも食感の違いがあった。
具体的にはプラチナ箔の方がサクサク・パリパリというか、噛みちぎる時に歯ごたえがあったのだ。2枚重ねのティッシュを1枚にはぎ取ったやつぐらい、と表現したらわかりやすいかもしれない(急に貧乏くさい例えになってしまった)。
これは箔の厚さの違いによるもの。写真でもプラチナの方が分厚いのが伝わるんじゃないかな。
せっかく注文した高級ソフトクリーム。最初は写真を撮影しながらゆっくりと食べ進めていたのだが、1分ほどで気持ちの余裕が失われた。
季節は夏。当然のことながら、ソフトクリームがものすごい勢いで溶けて垂れ始めたのだ。
こうなってくると金もプラチナも関係ない。我々人間にできるのは、せいぜい床にこぼさないようソフトクリームの表面をペロペロと舐めるだけである。
その結果、あっという間に金銀ギラギラは胃の中へ。ただのバニラソフトクリームが残されたのであった。短い時間だったけど、リッチで良い夢を見させてもらったな。