チルドカップドリンクになった「岩下の新生姜」が、どうにも垢抜けないけど素晴らしく美味しい / 森永乳業とのコラボ

ロケットニュース24

「岩下の新生姜」で有名な岩下食品は、これまで様々な「新生姜」の派生商品を発売してきた。そしてこのたび、「新生姜」のチルドカップドリンクが登場すると聞き、筆者の胸は高鳴っていた。

チルドカップドリンクと言えば、マウントレーニアやスターバックスブランドのシリーズなど、オシャレな商品が多いイメージだ。一方で「新生姜」の派生商品は、巾着袋万年筆のインク焼きそばなど、アーバン感控えめの路線を歩んできた。

ゆえに今回の岩下食品の挑戦は、新時代の風を感じさせてならない。一体どんな仕上がりになっているのか。


改めて説明すると、件(くだん)の商品の正式名は「岩下の新生姜 ピンクジンジャーアップル」という。まさに上で挙げたマウントレーニアを生み出した森永乳業とのコラボのもと、2022年7月26日よりセブンイレブンで先行発売、8月9日より全国発売される。

オンラインショップでも購入することができ、価格は194円となっている。筆者はセブンイレブンに出向いて入手することにした。ちなみに、普段あまりチルドカップドリンクのコーナーには寄らないので、すぐに実物を見つけられるだろうかという心配が少しあった。


が、数秒で見つかった


何故なら視認性が高すぎたからである。べらぼうに異彩を放っていたからである。こういう言い方はあまりしたくないが、喉まで出かかって喉が詰まりそうなので吐き出してしまうと、浮いている。あまりに馴染み深すぎる色合いだ。目にした瞬間に新時代の風が止んだ。

世間では大学入学を機にイメージチェンジを図ることを「大学デビュー」と呼ぶらしいが、言わば「新生姜」の「チルドデビュー」となるはずだったこの新商品、むしろ依然として変わらぬ素朴な岩下色で周囲のドリンクを圧倒している。

想像していた出会いとは違ったものの、しかしここまで来て買わない選択肢はない。この垢抜けなさがいっそ愛おしくもあるし、結局のところ大事なのは味である。ということで、落ち着いて実飲するべく自宅に持ち帰った。

コップに中身を注いでみると、「まあ絶対にそうだろうな」という色合いをしていた。もはや安心感さえ覚える。この色ではなかったらどうしようかと思っていたくらいである。

とはいえ、飲んでみると新鮮な驚きがあった。「新生姜」の漬け液が配合されているとのことだが、辛味はごくわずかだ。透き通るような、優しく舌を潤すようなリンゴの甘味が穏やかに広がり、そのあとそっと生姜の香りがついてきて、奥ゆかしく甘味を引き立てる。

美味しい。美味しいし、美しい。リンゴの風味から生姜の風味への淀みないグラデーションが、たちまちこちらを引き込む。甘やかさと爽やかさを両立させた絶妙な飲み心地に、喉が二口目、三口目を求めてやまなくなる。

岩下食品のHPによれば、コラボ商品を作るにあたり、「新生姜」と何の味を合わせるかについては試行錯誤があったという。はちみつやレモン、ヨーグルトなど、結果として総試作品数が50品以上にも及んだ末、最終的な解に、現在の形にたどり着いたらしい。

もともとの「新生姜」が持つポテンシャルの上に、そうした企業努力が積み重なったゆえなのだろう、この清涼感あるフルーティさは相当に稀有だ。競争の激しいチルドカップドリンク界においても揺るがぬ魅力を感じた。

惜しむらくは、濃厚な岩下色をまとったパッケージに気圧される人が出てくるかもしれない点である。決して誤解しないでほしい。書いてきた通り、これからの暑い季節にもふさわしいクリアな仕上がりとなっているので、興味の湧いた方はぜひ飲んでみてもらいたい。

ある意味、岩下食品はこの独特な味わいをもって、チルドカップドリンクそのものの新時代を切り拓いたと言えるのかもしれない。世間では未開拓の領域を「ブルーオーシャン」と呼ぶらしいが、言わばこの新商品、「新生姜」が到達した「ピンクオーシャン」といったところか。

参考リンク:岩下食品 オンラインショップニュースリリース
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

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