太陽、水素をヘリウムに変換し過ぎ。
とうとう8月になってしまった。夏だ。こんな季節に誰がした。
というのも、夏は暑い。なので外に出るのがいやになる。
そんな夏の暑さに対抗するための極めて合理的な方法を思いついたので、やってみた。
※2006年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ある思いつき
先日のある暑い日のことだ。暑い暑いとは言いつつ、このままクーラーの効いた部屋の中に篭っているのは不健康だと思って外に出た。
強い日差しの中丸腰では危険なので、近所のスーパーでガリガリさん(先輩には敬称)を買った。スーパーを出た後、手ごろなベンチがあったのでそこに座り、ガリガリさんの袋を開けて食べ始めた。
日光の下で食べる冷たいアイスは最高だ。
「今年初めて食べるガリガリさんだな」と、1年ぶりの味をしみじみと味わう。
ところが、気温の高さや強い日差しによってガリガリさんはすぐに溶け始めたのだ。なんてこった!
溶けたガリガリさんは棒にくっつく力を失い、ズルズルと手元のほうにずれ落ちてくる。液体になった部分はポタポタと地面に垂れる。残りの半分に噛み付こうとすると、もう半分が瓦解して大変なことになりそうになる。しっかりしてくれ。
夏というのは多かれ少なかれこういう悲しみだけが広がる季節であるということを、改めて認識せざるを得ない瞬間であった。
ぼくはアイスで涼みたい、しかし、アイスは暑さで溶けてしまって、その特性を失ってゆく。この激しいジレンマをどうにかして克服できないものか。
つまりアイスみたいに冷たくて、それを使って涼んだときそれ自体は温まっても問題ないモノってないだろうか。
ある。それは冷凍食品だ。図で説明すると、こうだ。
ひんやり冷たくて気持ち良い冷凍食品を、どうしてわざわざ多くの電力エネルギーを消費してまで電子レンジで温めなければいけないのだろう。夏にモノを冷やしておく為エネルギーを使うのは良いとしても、温めるのにエネルギーを消費するのはおかしい。なぜなら周り中暑いからだ。アルプスに住んでいるのにミネラルウォーター買うくらいおかしい。
そういうわけで冷凍食品を体温で温めつつ、ほてった体は冷凍食品で冷やすという行動は、極めて合理的なのだ。
ではでは、クーラーボックスに冷凍食品を詰めて、川原に運びます。
冷凍食品を体温で解凍
今回は解凍する対象を3つにしてみた。
ではまずエントリーナンバー1番。
まずはじめに登場したのは、大塚のマイクロマジック<フライドポテト>。マイクロマジックのマイクロは、電子レンジのマイクロウェーブのことを指していると思われるが、今回は体温で解凍。マクロマジックだ。
今回エントリーした中で一番小さいパッケージで、中身もバラバラなポテトなので簡単に温まりそうな感じはする。これを使って涼むには不向きかもしれないが、温まり具合という観点からだと期待できそうだ。
で、後ろのテカった布はなんだって?
寝袋です。
冷凍食品の冷気を僕の体以外の外気に奪われたくないのと、僕自身が直射日光に当たるのが嫌という理由で、この寝袋に潜ってやろうと思う。これで焼けて、友達から「何して焼けたの?」ってきかれても答えられない。
続いてエントリーナンバー2番。
続いてはたこ焼き。パッケージに書いてあるとおり大粒な感じのたこ焼きが6個、凍っている。今回エントリーした中では、1番一つひとつの個体の体積が大きいのが注目のポイントだ。
最後に登場、エントリーナンバー3番はこれだ。
最後はチャーハン。3者の中で最も量が多いが、米粒ということで表面積が大きいのでその当たりが熱の伝導にどう関わるところが注目である。
パッケージには「レンジでパラッと香ばしい!」と書いてあるが、レンジではなく人肌だとどうなるんだろうか。
寝袋に潜ってだいたい1時間くらい温めようと思う。ただいまの気温は30度を越えたくらいだろうか、暑いぜ。
……。
解凍できた、かな?
まあ、そんなに画像をデカくする必要もなかったが、「1時間ぶりに動きましたよ」という躍動感を伝えたい気持ちの現れであると受け取って欲しい。
寝袋に篭っている1時間のあいだ、冷凍食品を体の冷えた部分から熱くなっている部分に移動させる小さな動きしかしなかった。計算通り寝袋の中は、冷凍食品の冷気のおかげでそこまで暑くならず、なかなか快適に昼寝することができた。
では、冷凍食品のほうはどうなっただろうか。
まずはじめはフライドポテトだ。
箱を手に取った感じではもはや中が凍っているようには思えない。決して温かいということはないが、表現すれば「普通の箱の温度」というところだろうか。
ぺりぺりと箱を開けてみる。見た感じは普通。霜が降ってたりはしない。
一本つまむと、んー、なんだろう、「冷たい」という程ではないが…。なんとも言えないまま口に運ぶ。んー、ひんやり? いや、そこまでいかないな。あ、そうだ、「涼しい」だ。涼しいポテト。
どうやら、箱の中に結構あった何も無い空間がぼくの体温を伝わりづらくしていたようだ。
1時間前は完全に凍っていたポテトは、体温で温めることによってサラダ的温度の涼しいポテトになっていた。既にフライドポテトの形をしているから違和感を感じるが、アリといえばアリかもしれない。
続いてたこ焼き。
これはもうダメだった。中が完全に凍っていた。
付属のソースとマヨネーズは解凍されていたのでとりあえずかけてみた。見た目や表面の様子は普通、あるいは丸々としてておいしそうな感じがする。が、丸々としてるのは、凍っていてかたいまま形を保っているからだ。
口に放り込むと、冷たい。やっぱり大きすぎて中まで熱が伝わっていなかったようだ。噛んでみて、かたくて噛みきれないということはないが、中心に行けばいくほどシャクシャクする。
もし日本のどこかに「たこ焼きアイス」なるものがあれば、おそらくこんな感じだろう。いや、むしろこれはたこ焼きアイスなのではないか。そう思い込めば、アリかもしれない。味で言えば問題なくただのたこ焼きだし。
もちろんナシといえばナシだ。
最後はチャーハン。
たこ焼きがその大きさのためアウト気味だったので、チャーハンの量の多さは心配だ。そんなわけで、袋をふにふに押してみる。かたくもないし、氷のような冷たさもない。ひんやりしているくらいだ。
袋を開けて、中の様子を見てみる。ご飯同士がくっついちゃってるかな、と思ったがそうでもない。全体に油がいきわたっていて、出来立てのチャーハンと同じくパラパラしている。
皿を持ってくるのを忘れてしまったので、袋に箸を突っ込んで食べてみた。これは、意外と…イケる? 「冷やし中華があるんだから、冷やしチャーハンがあってもいいかもしれない」と思わせてくれるような感じだった。油の潤いがあるので、普通に冷めてパサパサになったチャーハンとは全然違う。
完全に冷凍されて食べられない状態のチャーハンと、電子レンジで加熱されてアツアツの状態のチャーハンの間のミッシングリンクを埋めてくれるようなチャーハンだ。
太陽がまぶしかったから。
そんなわけで、暑い夏に体を冷やしつつその熱エネルギーの移動を無駄にしたくない人は、冷凍チャーハンを用いるのが最適、と結論付ける。 ただし一度解凍した冷凍食品は、再度冷凍しても元の品質には戻らないことがあることに注意が必要。
…と、まあ、「熱エネルギーを無駄にしない合理性」とか言ってきたが、単にやってることを見ると、完全にまちがってますな。でもいいんですよ、夏なんだから。