『メイドインアビス 烈日の黄金郷』がついに来た2022年夏アニメ。しかし、それだけではなく『うたわれるもの 二人の白皇』など、何かとオタク心にぶっ刺さる続編ものが熱いクールである。
一方で、新作アニメはそこまでよく知らない作品が多かったので、とりあえず全部見てみた。夏クール開始から2週間、現在、1話が放送された新作アニメは約30作品。話題性は無視して完全に独断と偏見で選ぶ。1話を見て、私(中澤)がビビッと来た新作はこの6つ。
・異世界おじさん
「色んなところで推されてるだろうな」と感じたのが『異世界おじさん』。異世界に行くアニメは多いが、帰ってきた後の話は珍しい。その切り口に最初から惹きこまれた。
また、帰ってきたおじさんが一般的に見ると社会不適合者になっているのも面白い。異世界を何年も冒険して帰ってきたら、当然そうなるだろうなという変な説得力があるのだ。見ていると、街でたまに出会う変な人って異世界帰りなのかもなーという妄想が働く。松本人志のコントに通じるブラックユーモアが感じられる作品。
・神クズ☆アイドル
今期の東山奈央枠。何を隠そう、私は東山奈央さんの声が大好きなのだが、特に、元気なキャラの演技は絶品だと思う。さく裂するようなアホ可愛さは、元気キャラのゲームチェンジャーと言っても過言ではないだろう。
今期6作品に出演している東山奈央さんだが、中でも『神クズ☆アイドル』の最上アサヒは、そんな元気さが感じられて個人的にはとても良かった。好きとか嫌いとか考える前に思考回路がショートする。もはや尊い。
・それでも歩は寄せてくる
将棋を題材にした作品って大体は勝負のヒリヒリした世界が描かれているが、高校生男女2人だけのクラブ活動を描く本作では盤の外での駆け引きがメイン。アニメとしては『からかい上手の高木さん』を彷彿とさせる雰囲気で、軽く見れて程よくハニかめる感じが今っぽい。
・ブッチギレ!
みんな大好き新選組。ただ、本作は、実は藤堂平助以外全員死んでましたっていう話。で、その事実を隠すため、藤堂平助が、罪人を使って他の組長の替え玉を立てるという『影武者徳川家康』の新選組版みたいなifストーリーだ。ちなみに、主人公は近藤勇役の一番星。
土方歳三ではなく藤堂平助を残すっていうひねくれ方とか、キャラが続々と出てくるところに西尾維新を感じたのだが、公式サイトを見るとどうやらかかわっていない模様。しかし、替え玉を作る時に伊藤甲子太郎役が斬られるなど、ちょっとニヤッとできるネタもある。キャラクター原案が武井宏之なのも90年代後期に少年ジャンプで育った者としては胸アツだ。
・よふかしのうた
エンディングのカットインが良いアニメは名作。個人的には、エンディングテーマが流れ出すタイミングってセンスが出るところだと思う。これによってクライマックスが100倍くらい印象的に見えるからだ。さらに言うと、全体の流れがあっての最後なので本当に色んな個性が出ている箇所だと思う。
で、今期の新作アニメの1話でエンディングのカットインが1番カッコよかったのは『よふかしのうた』だった。久しぶりに鳥肌が立つようなカットインを見た気がする。今後の話も楽しみだ。
・リコリス・リコイル
キャラが可愛い。と言うと、人格の話と勘違いされるかもしれないが、本作はまずシンプルに絵がキレイだと思った。キャラデザや線の雰囲気などが良いのである。で、調べてみたところ、『WORKING!!』や『ソードアート・オンライン』のキャラデザをしている足立慎吾さんの初監督作品らしい。
しかも、本作のキャラデザは、いみぎむるさんだった。『この美術部には問題がある!』を連載する漫画家さんだが、個人的にはイラストを担当する『負けヒロインが多すぎる!』も印象的だ。
なぜなら、通勤の途中にある本屋の外壁にポスターが貼られていて、女の子が可愛すぎて見惚れてしまったことがあるのである。というわけで、絵的には最強のタッグと言えるかもしれない。
──以上。冒頭で続編が熱いと述べたが、全部見てみると新作もなかなかどうして先が楽しみだ。もちろん、まだ1話段階のため本記事でオススメしたものがずっと面白いかは不明だし、他の新作がぶち抜いてくることも普通にある。そんなダークホースが登場するかどうかも楽しみの1つだ。
というわけで、始まったばかりの2022年夏アニメ。まだまだ余裕で追いつけるので、気になるアニメがあった人はチェックしてみてくれ!
執筆:中澤星児
画像:©殆ど死んでいる・KADOKAWA刊/異世界おじさん製作委員会、©いそふらぼん肘樹・一迅社/「神クズ☆アイドル」製作委員会、(C)山本崇一朗・講談社/「それでも歩は寄せてくる」製作委員会、©2022 「ブッチギレ!」製作委員会、©Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11